19 魔導書
『ところで、お主これからどうするつもりじゃ』
「そのことなんだが」と冒険者として俺は、マギと本を武器にする職能
表向きは”召喚士”として活動することをクロに伝えた
『それは、お誂え向きでは無いか
さっそく、そのギルドとやらに行こうではないか』
「ちょっーと待った! 」とミーアが二階からミーアが何やら黒い布をひっつかんで
あわてて降りてきた。
「まず、クロちゃんにはこれを付けていただきます」と差し出して来たのは
これまた豪奢なフリルやレースが付いたブックカバーであった。
「これは、以前シアズ様のご本につけようとして打ち捨てられていたのを拾って隠しておいたのデス」
というと
『シアズ? 』とクロが言ってきたので
「そのことはまだ話して無かったな」と俺は俺自身に降り掛かった災難? を
クロに説明した。
『何と! 面妖な、自分が造ったホムンクルスに自分の魂が入ったじゃと しかも男の魂が』と
『有りえぬ。ただの人間の魂がしかも別の性別の身体に入ることなど聞いたこと無いわい。
通常なら一度死を迎え、記憶と経験が消去されて転生すのが普通じゃが』
とさらりとすごい事を言う。
『どうりで言葉使いが男臭いと思うたよ、全く面白い奴じゃよお主は』
『して、今のお主はそのシアズとやらの経験も知識も記憶もあるのじゃな』
「その、通りだ」
『こいつはますます儂に取って好都合だ、とことん付き合ってもらうとするぞ』
と言い放った。
くるくる周りを回りながら
『せっかく美しい少女になれたんだ。もぅ少し少女らしくふるまえんか』
「無茶を言うな男の方が長いんだ、少し大目にみれくれ」と言うとミーアが
「これでは、いけませんよねぇクロちゃん」と魔導書に同意を求める。
『全くじゃわい、儂は性別なぞ無いからの 如何ようにも振る舞えるぞ』と追い打ちをかける。
「では聞くが、そのブックカバーを嫌がってるのは、どういうことだ」とクロをにらむ
『これはじゃな、儂の顔が塞がれるのが嫌いなだけじゃ』
「しかしさっきも説明したと思うが悪目立ちは困るんだ」
『ぬう、分かったわいお主が冒険者の活動が出来なくなると儂も困るでの
それ(ブックカバー)は本の形のときは着けいていてよいぞ』
「えっ、本の形の時? 」
俺は訝しげった。
『儂を誰だと思うておる生きた魔導書じゃぞオーパーツ一つあれば、小さいが人型にだってなれるわ』
「ほぅ、そのオーパーツが鍵で一度喰らえばいつでも人型になれるのか? 」 と推論を交え言った。
『そうじゃ変化する時少々マギは多めにいただくがお主なら大丈夫じゃろ』
(これは、興味深い俺も見てみたいんもんだ)
ミーアも興味深げにしている。
『それじゃまず儂にそのブックカバーを着けろ、でないと儂の裸体を晒すことになるのじゃ
それから老若男女どれでも良いので姿をイメージしておけ。人型は二度と別の人型に変更できんからな
慎重にイメージておくのじゃぞ』言って倉庫の隅に置いてあった虹色の結晶塊をクイクイと動きで
指し示した。
「了解」 とおれはクロが開いたページにその虹色の結晶塊を姿をイメージして
押し込んだ。
《 我、汝のフアウムを再び我に舞い降ろし型と成す 》
とクロが詠唱するやいなや俺の胸のピンクのウロコから太い赤黒い紐の様にマギが伸びクロを
包んだかと思うと次第に収束して収まる とそこには、
ゆるいロングウェーブで白に近い淡い紫、毛先の方になるに従い濃くなっているグラデーションカラー
やや怜悧な印象を受ける目、淡い金色の瞳、可愛い小鼻・唇はピンク、肌は白いのがよく似合う
黒いフリルやレースたっぷりのワンピースそして、頭には小さいミニハットを被って黒い日傘まで持った
手首から肘ぐらいの背の高さがある一人の少女が浮いていた。
『ほぅ、お主なかなかメンクイじゃな』 と貴族の娘の様にスカートを軽くつまみ
足を交差させて可愛くお辞儀をして、足にはご丁寧に可愛い編上げブーツまで履いていた。
『お主もこれくらいは出来んとな』 とのたまった。
『今の儂は、クローティアと呼べお主らに名を付けさせるとロクなことにならん』 といって
『面倒な詠唱は先の一回きりじゃ安心せいこの姿になる時は、本の時にクローティアと呼んでマギを
寄越せ さすれば、愛しのクローティア様になってやるわい』 といって舞踏の様に
スカートを広げてくるりと回る。
「これは、たまげたな」 と俺はつぶやいていた。
『ちなみにな、そのブックカバーとやらを変えてくれれば着ている服も変わるぞい、儂一人では本ゆえ
着替え出来なんだ』 それを聞いたミーアは目を輝かせニマニマ笑っていた。
「嫌な予感がする」
(俺は、今後の展開が予想出来てぶるりと震えた)
「私も、クロちゃんもとい クローティア様とお呼びしてもいいですか」
『ああ、構わぬよ もとよりコヤツの友人は儂の友人でもあるからの遠慮はいらぬよ』
「ところでクローティア様は、そのお姿の時は何をお召し上がられるのでしょうか? 」
『食事は、コヤツのマギを喰らうて居るから いらぬよただし匂いは分かるでの
食卓に一緒に居させてもらうだけでよい』
「では、食事の時はそのお姿でいてくださいませ」
『うむ、相分かった』
『シーア、お主も聞いていただろう食事のはこの姿にしてくれこれはお主しか出来ん事じゃからしての』
「分かった、ところでクロは地面に降りないのか」 と聞くと
クローティアは
『あんな小汚い地面にこのクローティア様が地に足を付けられるものか魔導書としての沽券に関わるでの
このままでも不都合無いわい』
更に
『せっかく ”見目麗しい美少女” になっても儂をクロ呼ばわりかのぅお主』
「やっぱり、お前はクロだ、 ”見目麗しい美少女” にしたい時はちゃんと名を呼ぶさ」
『仕様のないヤツじゃのぅ』 と持っている小さな日傘で頭の天辺をぺしぺし叩く
「お互い様だろ」 『じゃな』
「ところでその姿の時は衆目からはお前は何に見えているんだ」
『心配せんでも、衆目からは妖精の一種として視えておるよ愛想でも振りまいて於けば問題なかろうて』
「そうかそれならその姿でも悪目立ちはないな」
『そういう事じゃ 後お主とはパスで繋がっているからの離れていても互いの位置はわかるし念話も
可能な上、気絶していなければ生命に関わる事も分かる様になっておる どうじゃ便利じゃろ』 と
<<こんな風にな>>
と早速念話で俺に語り掛けてきた
(便利なやつだな)
突然クローティアが俺の長い髪を抱くように掴んできた
「な、なんだ?」
『お主の髪は綺麗じゃの少しこうさせてくれんかの』 と俺の髪にへばりつくように抱きつき自分の
身体にさらさらとふりかける様にして楽しんでいた そしてこれはクローティアのお気に入りとなった
「あんまり人前でやるなよ」 と念を押すと気の入っていないような生返事で
『うむ、相分かった』
と背中から聞こえてきた
魔導書のプロフィールを掲載しました。




