17 リアの提案
「ちょっと、アイツ呼んで来ますね」
ちなみにアイツというのは、昔の冒険者馴染みらしい
俺は、一人取り残されヒマを持て余し、ひと際色の濃い髪をひと房をまるで少女がそうするように
くるくると指に絡めて弄っていた。
ふと強めに絡め取った毛先を指で弾いてみる するとピリリとイカヅチのようなものが頭の走った
俺は、思わず「ひゃっ」を可愛い悲鳴を上げたが幸いまだ自分の他はいなかった。
(髪なのに何故鋭敏な感触があるんだ?) そのうちノックの音が聞こえたので、俺は居住まいを正した。
階下のロビーにリアがいたので
「ねぇ、今手ぇ空いてる? 」と声をかけると
「ちょうど、待機列も無いし手なら空いてるよ」と言ってきた
「あの娘は、どう? 」
「今、目が覚めてちょと遅めのお昼が終わったことろ」
「じゃあ、上に来てくれない?ここじゃ何だから」
「いいよ」
と言って2階に上がってきた
コンコンと軽くノックの音がする。「どうぞ」 と俺は、ノックの主の入室を許可した。
そこには、ケット族のミーアと同じぐらいの年齢の女性が立っていた。
アッシュグレーのショートボブ、銀の目、全体に闊達そうな雰囲気を纏い気さくな印象の女性がそこにいた。
「お嬢様、紹介しますねこちらが私の冒険者馴染みのリアといいます」
「私は、ギルドの受付をしてますリアと言います」 と事務的な返事が返ってきた
「わたくし、シアズ様のお屋敷にお世話になっていますシーアといいます」
と咄嗟に考えた ”対外用設定” を口にした。
令嬢の様な挨拶もできる訳もなくそのままべこりと頭を下げた。
するとミーアは「コホン」 とわざとらしく咳を放つ
(またお作法かなぁ)
そして、ミーアは俺をシアズが創造したホムンクルス体であること 今は、あの屋敷にいること
等を説明したが流石に、中身が当のシアズ本人で在ることはミーアと申し合わせて伏せておいた。
「さぁ、さぁ堅苦しい挨拶は終わり!アナタのことを ”シーア” って呼んでいい? 」
と言ってきたので
「構いませんよ」と言った。
どうやらリアという人物はやはり印象通り気さくな性格らしい
「わたくし、リアさんと呼べばいいんですか?」とこちらからも聞いてみた
「今みたいなプライベートな時は ”リア” で結構よ」
ただし、下のロビーにいるときは「さんは付けてほしいな」
俺は異を唱える必要は無かったので快諾した。
「ところで、シーア アナタのあのワザ? あれは何? アレが武器でもいいけど皆の中じゃ
悪目立ちするわよ、冒険者として悪目立ちしたくなかったら得物は慎重に選ぶべきね」
と親切にアドバイスを俺にくれる。
(どうしようか? ) 思案にくれているとリアが「取り敢えずギルトカードは発行してあげるから
マギパターン登録だけはできるけど実績を積まないと報酬は現金で手渡しだね
それでいい? 」 と言ってきて
俺がしばし黙考しているとミーアが
「買い物はコレで出来るのですが、手間賃や購入代金がギルド経由
で支払われる関係で、実績を積まないと現金で直接購入することになるのですよ、シーア様」
「うーーん、それならしょうがないか」
「リア、それでいい」と言うと既に用意していたのか各項目が空欄のカードを差し出してきて
俺は、血を垂らしてマギパターンを登録した。
名前と性別以外は ??? なカードがそこにはあった。
「後で得物と職傾向が決まったらもう一ギルドに来てもらえる? モグリの活動を防ぐためでもあるの
だから分かってもらえる? 」 といいてきたので大きく頷く。
「まずは、一旦屋敷に戻るか」 と外をみれば日の光りは西の地平に近づきつつあった。
ロビーにも喧騒が戻ってたようだ。酒や食事の匂いが立ち込めてきた
もらったショールを被ると髪の色は目立たなくなり、悪目立ちすることは無いだろう
それでも、どやどやと足を踏み入れて来る老若男女の冒険者がちらちら視線を向けて来ていたようだが
買い物を済ませ、手持ち無沙汰な俺はまたもや色の濃い髪のひと房を指に絡めてくるくる
弄っていた。
その時、ニヤニヤとミーアとリアが視線を交わし合っていたのは俺が知る良しも無かった。




