11 シーア はじめての その3
二人が店から出た途端ミーアがさり気なく俺に耳打ちしてきた
良く見るとせわしなくミーアの耳が有る一箇所を中心にピクリピクリ
動く
「あそこの路地の辺りに、すごく質の悪い殿方が3人ほど居ります。」
「えっ!!!・・・」
「静かに!」とミーアがとっさに俺の口を塞ぎ言葉は出てこなかった。
狙いはどちらだろうか?ミーア程の経験者でも分からなかった
「お嬢様はこの荷物をお店に預けて来てもらえませんかそうしたら私があの殿方に仕掛けます
それを合図に裏口からあのギルドまで逃げて下さいそうすれば冒険者がきっと助けてくれます。」
「いいですね、ご武運を」
有無を言わせない物言いに俺は圧倒されただ頷くしかなかった。
俺は、店に入り事情を説明した時。
外から裂帛の勢いで声が聞こえてくる
「イャャャャャャャャャャーーア」
私、ミーアはお嬢様が店に入り荷物を預けたのを確認すると「イャャャャャャャャャャーーア」と
合図代わりのありったけの雄叫びを上げ、ガーターベルトより愛用の短剣を手に取り
右手に順手左手に逆手で短剣を構え、身体を半ひねりしつつ男に斬り込んでいった。
すると「けっ、俺の相手はケット族の女かよぉーー」と大剣をぶん回しして来た。
カンッ ドンンッ キキン キン 鋭い剣戟音が響いてくる
俺は、店の裏口から外へでてギルドの方へ行こうとしただが
「「ヘヘッ 俺らは銀髪ちゃんをイタダキィーー サァ! 俺らとイイッショに来いよ」」
ニヤついた顔が怖かった
そして「煩い!!!」ありたっけの声を上げる
「オンナの子がそんな言葉使いはいけませぇーん」
俺は何とかミーアの手刀を真似て構えていた。
「お、やるのか? やれるものなら おい、キズものにはするなよ」
「わーってらぁ、こっちも商売だ ちーとおっかない目に合ってもらうだけだ」
「お前たちは、闇奴隷商!?」と声を荒らげると
「おーぅっと、じょーちゃんよぉ 誰が街中でヤバい商売の名乗りを上げるかよ」
(やはり、ミーアの言う通り相手に、誰何されるまでは名を名乗るべきではないな)
俺は、悪意を込めて睨めつけると
「だーっ、もぅめんどくせぇ俺らには治癒師もいることだしよぉ」
「「なら、死なない程度にやっちまうか」」と得物の切っ先をこっちに向けた
一人は槍もう一人は短剣のようだ
相手は俺が致命傷にならないように細かく斬りつけてくる。
武器なんて持っているわけはない俺は、
上手く躱せているつもりでも身体のあちこちに小さなキズが刻まれていく
絶え間無い攻撃は躱しているだけでスタミナを奪っていき
スキを見て一息つこうとした瞬間。
「「うらぁーー」」と二人同時だった、槍は上手く躱せせたものの短剣の方が手首あたりを目指して
斬りかかってきて咄嗟に払いのけようと手を上げた瞬間、手首に熱い鉄線でも当てられたかの様な
痛みが走った。
「うぁぁぁぁーー」と悲鳴。その瞬間昨夜のあの声が語り掛けて来た。
(今は、自分にも戦える力がほしいミーアに守ってもらうばかりじゃ情けないではないか)
『・・・ーアよ われは・・・・・・なり お前の牙をそのキズに突き立てその己の血を己の物とせよ』
舌で口の中をまさぐると左の犬歯が熱を帶び鋭くなっていた。
(これをキズに突き立てろということか)
ほぼ無意識の動作で俺は、その己を手首の浅いとは言い難いキズに突き立てた
ドクン・・・ドクン・・・ドクン
と今までおぼろげに視えていたマギが今度は明確に視えて来た
「その己の血を己の物とせよとはこういうことか」と本能が訴える
俺は、立ち上がるとキズを軽く振ってムチをイメージした。
するとまるで生き物の様に動くではないかソレを、男たちに巻き付くよう意思を込める
するすると蔦の様に伸び男達に巻き付くそして締め上げる様にイメージすると
呆気なく泡を吹いて気を失った。
暫く呆けた様にしていると俺の戦意か消えたのを待っていたかの様にしゅるしゅるとキズ口に
戻っていった
(状況を推察してみると自分の左の牙でキズを付けて出した血は自分の意思で操れるらしいという
事と、それ以外のキズは普通のキズで血も操れなさそうと事だった)
キズを確認すると、薄皮が張り初め回復しつつあった
口の中の牙も今はもうちょっと目立つ犬歯程度に戻っている。
それを確認した俺は意識を失った。
私、ミーアはただ大剣をぶん回すしか能のなさそうな男一人に遅れを取るはずもなく
スキだらけの所を間合いを一気に詰め鳩尾に一発、柄頭を叩き込み昏倒させた。
当分は、目もさますまい。
それより、心配なのはシーア様だ格闘の心得なんかあるはずもないので上手く
ギルドまで駆け込めて助けを請えただろうかと、ギルドの方を見ると何と赤黒い
モヤのようなものがシーア様を取り巻いているではないか!
得物を構え直すと急ぎ、そして走る。
段々、近づくに従って得体のしれない気配に圧されて足を緩めてしまう
本能が咄嗟に私の身を建物の陰に隠させた。
よく見ると手首を怪我していると思われる箇所をシーア様は、更に口を付けて何かしているではないか
瞳も淡く光りただならぬ様相を呈している
そうこうしている内に赤黒いムチの様なを取り出し相手の男二人を締め上げてあっさり昏倒させて
ご自身もそこに伏せられた。
「お嬢様!」
近寄ると浅く呼吸をしてるので、生命には危険がないようだった
取り急ぎ担ぎ上げその体重の軽さに驚きつつも馴染みのギルドへ駆け込んだ。
戦闘シーンは、ちょっと苦手ですね




