1 ソレは起きた
オルティア・レコード開幕しました
※ 序詩 ープロローグー ※
〜 男の御霊に麗しき銀の乙女の器
汝、魔魅の囁きを受けしも
縷縷に姿を失わぬものよ
汝、世界を巡る銀の光とならん 〜
「この詩を銀の娘に捧ぐ」
剣と・魔術・魔法とオーパーツが人々の生活を支え、古代の遺構を利用して
ディーボ・魔物や獣に怯えながらも慎ましい生活を営む人々が住まう街
世界と同じ名を持つ大陸の一角。
”トルティア”で普通よりは少しばかり財貨が有る偏屈な大錬金術師”レフィキア”が屋敷
それに住まう次の主は、”レフィキア”に13の季節を巡る頃から入門した
唯一無二の一番弟子して
若き大錬金術師 ”シアズ” 偏屈ながらもお人好しを絵に描いた様な青年である。
シアズは深酒をしながらも、自身の集大成をメイドに捧げるべく
”装置”を見守っていた。
ブィーン コポリ・コポリ カチカチ と ”装置” は正常に”稼働”していた
しかし連日の夜通しの作業と深酒は精緻な作業を狂わせてしまい
”ソレ”は起きてしまう
1 ソレは起きた
「んっんっーーーん」
あれ、どこかおかしい
妙に高音な声質、そして白磁の様な肌、頭にかかる軽い重み、そして胸部の淡い双丘、鼠径部を見れば
そこには虚無があった。
「いったいどうなった?」
これでもこのオルティアの研究者たる錬金術師なのだからな
まずは、現状を把握するため、ゆっくりと少々バランスを崩しながらも立ち上がる。
もとより整理はあまり行き届いていない部屋だったが、散々たる様相を呈していた。実験器具・装置の
すべてが、素人目みても修理不能なぐらいに破壊されていた。
が、何より目を引いたのはかろうじて
元自分と分かるくらいには判別できるモノがそこにあった
「じゃあ この身体は誰だ? 」 と破壊された装置の硝子片を恐る恐る覗いてみた
そこには、訝しげな表情を浮かべた可愛らしい少女の顔があって、そしてこの顔は見覚えがあった
先程までに後は、擬似魂を入れる工程のみだったホムンクルスの少女が映っていたのだ
「何事ですか シアズ様」
ミーアが地下実験室の物音を聞きつけて降り来てきたのが足音でわかった
俺、あわてて散らかったボロ布で鼠径部を隠したのとほぼ同時にミーアが入ってきた。
「これは 一体?」
「ちょっと、ミスをしてな この有様だ」
「そして、お前は誰だ」
と鋭い猫目で俺を睨めつけてきて、護衛術の嗜みもある彼女はすぐ手刀で戦闘の構えをとった
「わーーーまてまて」と両手を上げてこちらには戦意がないことを示す。
一拍の後、彼女はこちらの雰囲気を読んだのか構えを緩め近づいてきた。
そしてここにいるホムンクルスの少女とかつて俺だった”モノ”をゆっくり値踏みする様に視線を行き来させてから
「まずは、状況の説明を もし納得がいかなければこの場で 分かってますね」と猫目を眇めてきた
(これは、彼女が本気の時の癖だ)
と、かすかに震えた手足が物語っていた。
登場人物はストーリーに従い増えていきます