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高校生の異世界奮闘記  作者: 零式
第2話 ~平和の為に~
14/15

ようやくバハムートへ

次の日、目を覚ますとメリアが俺の上で眠っていた、この世界に来てから朝起きると女の子に密着されている気がする、男として嬉しいシチュエーションだが、実際に体験すると結構ツラい、更に今回は上に乗られているので体全体に柔らかな感触がある、女の子の体は柔らかいというが、これは大変よろしくない、しかも彼女に抱きしめられているので身動きも取れない、出来ることといえば彼女に声をかけるか無理矢理起き上がるか彼女を抱きしめることしかできないが、下手に動いて彼女の逆鱗に触れるのは避けたいところだ


「おーい…朝だぞ……メリアー」


「んぅ……すぅ…」


声をかけたが可愛らしい寝息を立てながら幸せそうな表情で眠っていた、いくら声をかけても全く起きる気配がなかった


「起きないと抱きしめるぞ-?」


彼女の耳元で声をかけるがこそばゆい表情をしながら寝ていた、これはそろそろ実力行使にでるしかない、というか今のうちに行動しないと再び野宿をしないといけなくなる、それだけはなんとしても阻止したい


「ん?…ぉはよ…」


起き上がっても落ちないように彼女を抱きしめた瞬間、彼女は目を覚ましてしまった、まさに最悪のタイミングだ


「お…おはよう……メリア」


若干表情を引き攣らせながら彼女に挨拶を返した、今の状態は言わなくても分かるがお互いが抱きしめ合っている、もしも彼女が完全に覚醒していつもの感じになればまず殺される、どうにか寝ぼけている今の内に彼女から離れる必要がある


「う?……えへへ…」


起きた彼女は離れるどころか俺の胸に顔を埋めて頭をぐりぐりとしてきた、抱きしめられているのが嬉しいのだろう、いつものメリアでは見られない光景だ、なんか猫みたいで可愛い


「メリア?…朝だから起きてくれると助かるんだけど」


「う~…頭撫でてくれたら起きる」


そう言って彼女は甘えてきた、仕方なく頭を撫でてあげると気持ちよさそうにしていたが、意外と覚醒は早く、彼女はハッとすると一度咳払いをした


「…んんっ…おはよう、英樹」


「おはよう…メリア…」


挨拶を交わすと、彼女はすぐに立ち上がり、何事をもなかったかのように向かい側に座った


「あの…メリア?」


「…………忘れてくれ」


少し恥ずかしそうにそっぽを向くと一言呟くように今の姿を忘れろと言ってきた


「え……えーと……」


「忘れろ……じゃなきゃ…記憶が無くなるまで……」


ゆっくり立ち上がると近くに置いていた槍を持ち、こちらに槍先を向けてきた


「待て待て待て待て!?冗談じゃ済まなくなるから!?」


そうして、しばらく彼女を落ち着かせることに時間を費やされることになった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はぁ……お前って寝起きだとあんな感じなのか?」


「……うるさい」


しばらく話しながら歩いていた、しかしいつもあんな感じだと、いろいろと危ない気がする


「…というか、無防備な女を抱きしめて何をするつもりだったんだ?」


「いや……起き上がるときに落とすのもあれだったから落ちないようにと思って抱きしめたらタイミング悪くお前が起きたんだよ」


「……本当か?お前のことだから変なことをしようとして……」


「だとしたらすでにやってるだろ……そんな姿で無防備な状況、それに柔らかいのが当たってたんだ…耐える方の身にもなってくれよ……」


「っ……わ、悪かった………って!?なんで私が謝っているんだ!!というか柔らかいとか言うな!!」


メリアがこちらを睨みながらポカポカと殴ってきた、槍ではない分あまり痛くない、というか可愛い


「悪い悪い、とりあえずまた野宿しないようにどこか町とかあればいいんだけどな」


彼女の頭を撫でると、落ち着いたようで、俺の言葉に頷いて地図を見始めた


「確か、周りにいくらか町があった気がする」


「気がするって…曖昧な言い方だな……」


「仕方ないだろ、普通大陸間を歩いて渡るなんてあり得ないんだから」


彼女の言葉から察するにどうやら何かしらの乗り物があるみたいだ、確かに元の世界にも飛行機やら船やらで国を行き来するし、近場でも車などがある、この世界にも乗り物があっても不思議ではない


「しゃあ、なんでお前は歩いて移動してるんだ?俺と違って城に居たんだから」


「……てなんだよ」


「え?」


彼女が俯いてぼそりと何かを呟いた、歩いている音で彼女の呟きを聞き取ることが出来なかった


「ごめん、なんて言ったんだ?」


「………だから、私は高いところが苦手なんだよ!!」


恥ずかしそうに睨んできた彼女から意外な言葉を聞いた、高所恐怖症らしく、移動する為に乗るのですら嫌らしい、ということは大陸間を移動する手段というのは空を飛んで移動するだけしか無いらしい、いわば飛行機的なものがこの世界にはあるということがわかった


「そうなんだ…うん、なんかごめん……」


「今謝られるとなんかムカついてくる、ムカついたからおんぶしろ」


「意味分からん……」


「疲れた、歩きたくない」


「なら、始めから空飛んで……」


「死にたいか?」


彼女の周りに禍々しいオーラが出てきてはゆっくりと槍を取り出した、最近の若いのはすぐに暴力的になる、全く社会で生き残れないぞ


「分かった分かった、おんぶいたしますよお嬢様」


俺はやれやれといった感じで、彼女の前でしゃがんで背中に乗れるようにした


「お嬢様とか言うなし」


「痛っ…」


恥ずかしそうな呟きが聞こえると同時に軽く背中を叩かれた、その後背中に彼女の重みが来るのと同時に柔らかい感触も来た


「っと、しっかり掴まってろよ」


「分かってる……ワザと落とすなよ」


「……考慮しとく」


「後で殺す」


あんまり意識しないように冗談を言いながら再び歩き始めた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しばらく歩いていると、ようやく町みたいな所に着いた、既に太陽が一番高いところにある、朝から歩きっぱなしな上に飯は食べていない、更にメリアをおんぶしたままである、さすがに疲れた


「メリア…そろそろ降りてくれるか?」


「……すぅ…」


静かだと思っていたが、まさか寝ているとは思わなかった、仕方が無いのでこのまま町に向かうことにした

町に入ると、結構人が行き来していて、いろんなお店が並んでいた


「レンディアとバハムートに挟まれているのに平和だな、いや、その二国がアレなだけでその周辺はそんなでもないのかな?」


「……いや、こう見えて治安が良いとは言えないからな、そもそもここら辺はバハムート側だ、何が起きるか分からないぞ」


「うぉ!?お…起きてたのか……」


背中で寝ていたメリアがいつの間にか目を覚ましていた


「周りがうるさかったら嫌でも目が覚める…よっと」


彼女は背中から飛び降りると目を擦りながら隣りに並んだ


「んっん~ん……すまなかったな、良い天気だったからいつの間にか眠っていたようだ」


「別にいいよ、まぁ疲れたけど」


冗談でもここまで来る間、背中に柔らかい感触がずっと当たっていてよかったなんて言えば激怒するので言わないようにしよう


「しかし、治安が悪そうには見えないけど」


周りの人々は笑顔で歩いている、これだけだと悪そうには見えない


「ここら辺はな、少し道を外れればゴロツキ共がうじゃうじゃしてる、それに人ごみの中だと持ち物が取られることだってある、まぁ私の槍やお前のその武器は大丈夫だとしても、お金とかは大事にしまっとけ」


「というか、お前金持ってるの?」


「…まぁ、あるけど……あんまり期待するほど持ってもないけど……お前こそどうなんだ?」


「一応……もらってはいるけど」


村を出るときにエリアさんに食べ物とお金ももらっていた、エリアさんいわく渡されたお金は宿である程度の期間は泊まれるぐらいらしい、胸の内ポケットにしまって取られないようにしとかないと


「とりあえず宿探ししないとな」


「そうだな、泊まるところの確保はしとかないとな、んで、分かるのか?」


「…多分」


少し自信なさげでメリアは呟くと、二人で宿を探し始めた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しばらくして、ようやく宿を見つけて部屋で休んでいた


「…腹減った」


朝ご飯を食べずに歩き続けて、宿を探してからにしようとして意外と時間がかかってしまった、陽が少し傾き、だいたい14時過ぎぐらいだろう、この世界の時間が元の世界の時間感覚とは違うかもだけど


「……まぁ、何も食ってないからな」


彼女は時計を取り出すと時間を確認した


「何時?」


「14時15分」


「時間って24時間制?」


「は?当たり前だろ?お前何言ってるんだ?」


どうやら元の世界と同じらしい、まぁ、それが分かったところで特に意味はないけど


「…あぁ、そういや説明してなかったな……とりあえず飯食いながら説明するよ」


そうして、適当な飯屋を探して、ようやくご飯を食べることが出来た


「で、説明ってなんの事だ?」


飯を食べながら俺達四人はこの世界の人間ではないこと、どうしてこの世界にきたのか、どうして戦争を止めようとしているのかを説明した、彼女はすべての話を聞くと、俺の話を否定することは無かった


「支配者というのは分からないが、まぁ、お前達が異世界から来たというのは本当なんだろうな……」


「なんだ…てっきり、私を馬鹿にしてるのかとか言うかと思った」


「ふん、お前と最初に会ったあの時、そういう類いの事が起きてるから城の周囲を警備してたんだ、そしたらお前がいた、見たことの無い服装だし、そもそもお前達が使っていた物がこの世界の物でも無さそうだったしな」


テーブルに立てかけてある刀を指差していた


「お前達が使っているその武器はなんだ…見たことがない」


「これは刀、まぁ剣に似たものだよ」


「ならお前が助けたあの女の手にはめていたヤツは!」


「あれは手甲…ガンドレッドかな?魔法使いの杖の代わりになるやつ……かな?」


「なら…なら」


メリアの質問攻めを受けることになってしまった、しばらく彼女の質問に答えるとようやく落ち着いたのかようやく質問攻めが終わった


「……満足か?」


「あぁ、なかなか面白い話だった、刀に双剣、銃剣に手甲…使ってみたいな」


「まぁ、機会があればな」


そう言って食べ終えるとお代を払って外を出た


「さてと、とりあえず今日はここに泊まるとしてここからバハムートまでどれぐらいあるかだな」


「そうだな、何事もなくすすんだとして後2~3日ぐらいか」


「…まじか」


「まじだ」


宿に戻ると地図を見ながらバハムートに向かう道のりをメリアと一緒に確かめ、行動計画を立ててから宿で一晩を過ごした

そして野宿、町に着いたら宿にと繰り返しながらようやくバハムート国に着くのはこれから五日後の話になるのだった

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