後編
仕事を早めに終わらそうとしたのだが、このままだと昼抜きが決定されていた。
私は仕事終わりに相談に乗りたいと会社メールをだした。
その数分後、彼からメールが来たのだがどうやら彼も仕事が終わらないらしい。このままだと、残業だと書いてあった。
結局、次の日のお昼休みになった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−次の日
私は、予定通りお昼休みに相談されるため休憩室にいた。
室内は私が持ってきたコーヒーの香りが漂っていた。
トントン………
「部長、こんにちは。今日はすみません。」
「あっ、いいよ。座りな。」
佐々木くんは、申し訳なさそうに私の前に座った
今見ると、本当にかわいい顔をしている。
こんなかわいい子を困らせるとは、全くけしからん!!
「えっと、いきなり本題に入るけど相談ってなにかな?」
「あっ………はい。あの、部長はコーヒーがお好きですよね」
「えっ、うん。」
「僕、飲めないです。コーヒー。」
「あっ…うん、それで?」
「ど、どうしたら飲めるようになりますか?!」
顔を真っ赤にした佐々木くんが、目の前にいる。
仕事の相談でもなく、まさか好き嫌いを治す方法?
驚きで、声も出なかった。
「…すみません、子供じみてますよね」
「………………あ、いや。てっきり、仕事の相談だと思ったから。驚いた。」
「すみません。」
しゅっん、かわいい顔が萎れていく。まるで、小型犬が悲しんでいるように耳を垂れさせ、全身で悲しんでいますと、表現アピールしているあれ、と同じだ。佐々木くんのまえにいると表情が犬に見えてしまう。
「そんなに、悲しまないで!!。なんで、コーヒー飲みたの?無理に飲めるようにしなくてもいいんじゃない?」
「それは、そうですけど…………………けど、飲みたいんです!!…………近づきたいから。」
「近づきたい?誰に?」
そう聞くと、佐々木くんは静かに視線をさげた。
私は、彼が答えるまでずっと見つめていた。
すると。
「好きだからです。」
「へっ?」
「あなたが、好きだから。少しでも近づきたいから。だから…………あなたが大好きな、コーヒーが飲めるようになりたいんです。」
彼の目に嘘はなかった。
この歳まで、告白されたことはなかった。
いつも告白するほうだから、今どうしたらいいか分からなかった。
ただ、わかるのは。
無性にコーヒーが飲みたい。
コーヒーに手を伸ばそうとした。
その手を誰かに取られてしまった。
佐々木くん。
「僕は、苦いのが苦手です。けど、甘いのは大好きなんです。
部長は、甘いのは苦手ですよね。
コーヒーも、自分自身の評価も、仕事の事も。
全部、全部。甘さはない。妥協しない。
けど、疲れませんか。
僕は、そんなあなたの癒しになりたい。甘さになりたい。
付き合って下さい。」
手から伝わる、彼の甘いもの。
だんだん、全身に広まっていく。
初めての感覚。
頬が熱い。
クラクラする。
今はこの甘さはまだ苦手です。
だから、
「甘さはいりません」
けど………………
「すこし、癖になりそうです。」
「えっ、それって…………」
その後の2人は、想像に任せます。




