頬の熱
ぱしっ
音か、痛みか ―――
どちらが先だったかは覚えていない。
気がつくと、頬が熱くなっていた。
頬をかばうことなく、ただ睨み返す。
目の前には、あたしを殴った手を震わせて呆然としてる、彼氏の森田。
―――――― 違う、『モトカレ』だっけ。もう。
「気が済んだ?」
「……か、かわいげのねえ女!……コッチから別れてやるよっ」
そんな言葉を聞いても、心に痛みはなかった。
かわいげ? 無くてけっこう。
自分の自慢ばっかりで中身のある会話一つ出来ないあんたなんかに言われてもちっとも堪えやしない。
負け犬のなんとかにしか聞こえない。
「じゃあね」
頬だけがじんじんと痛む。
ほんとにサイテー。女殴るなんて、ろくでもない男。
すたすたと、あたしはいつものように歩き出した。
見る目がなかったと。一言で言ってしまえば、そうかもしれない。でも、
「好きだ」
と言われて、嬉しかったのは本当。
初めての彼氏だった。
思えば、すごく短い付き合い。1ヶ月?
あたしを『好き』と言うわりには、自分の思い通りにしようといろいろと口を出してくる男だった。
髪を伸ばせ、だとか。
話し方をどうにかしろ、とか。
挙句には歩き方にまで注文つけて。
何一つあたしの心を動かすようなことを言わないくせに、口うるさくって。
楽しい、嬉しい。
そう思えたのは、告白された瞬間だけだった。
苦い。でも、心は軽症で。
―――だけど頬はじんじんと痛んだ。
あたし、佐野真由美。
付き合い始めのころ、森田に言われて初めて自覚したことがある。
あたしはヒトより歩くのが早い、らしい。
だからなにさ。……ソレぐらい。
うるさく聞く友人を引き離すように、さらにすたすたと歩く。
「もうっ、話してくれてもいいじゃないさー」
「だからぁ、長くなるから面倒くさいんだって」
「そんなこと言わずにさー」
「……置いていってやる」
朝の登校ラッシュ。
人波にぶつからないよう気をつけながらも、歩きとしてはフルスピードで校舎へと向かう。
ちらちらとあたしに向けられる視線の行き先は、分かってる。
昨日、殴られたあとすぐに冷やさなかったせい。
赤く腫れちゃったから、仕方なく絆創膏を貼り付けてきた。
いつも膝とかひじに使う大きめのヤツで、キャラクターモノ、それもピンクだったのが余計に人目を引くらしい。
髪が長かったら隠せたかもしれないけど、あいにくあたしはショート。頬は丸見え。
……でもまあ、あたしはそゆの気にしない。
でもヤツは気にするかもしれない。実のとこ、それが狙いだったりもするんだけど。
教室に入った途端、あたしの周りのざわざわとした空気は一瞬だけ静かになり、そのあとはよりいっそう大きくなった。
「おはよ」
クラスメートたちは頬の絆創膏に視線を釘付けになっちゃったよう。
ふう。小さなため息をついた。
予想以上の反応。早まったかな?
「むかつくー、ホントに置いてくんだもんっ」
登校途中置き去りにした加奈が、唇を尖らせて教室に入ってきた。
加奈の席は、私の斜め前。
自分の席に荷物を置くなり、あたしへと突進してきて机の上にちょこんと座った。
「ささ、話して話して。ほんとーのところ、真由美も話したいんでしょーが。うりうり~」
「別に」
「そんなこと言っちゃ、ヤ。私は聞きたーいっ」
「んな、勝手な……」
加奈は知りたがり。苦笑しながらあたしは言った。
「昼休みにでも話したげる」
「う……我慢できるかなぁ」
「我慢して。あたしはちょっと職員室行って来るから」
手を振って送ってくれる加奈に、ちょっと悪いな、と思う。
職員室行くなんて嘘、だもん。
……ちょっと息を抜きたくなっちゃった。
加奈には話してもいいかな、とは思ってる。でも少しぐらい準備させて。
正直、こんなに反応あるなんて思ってなかったんだもん。
それに。話すにしたって、どんな風に話せばいいかわからない。
頬を叩かれたこと。……その点については向こうが悪いと思うけど。別れる別れない、そういうことはきっと当人にしか分からないから。
教室を出て、一応職員室のほうへと向かう。でも、本当の目的地は体育館。
HR始まるまでまだ時間あるし、少しだけでも1人になってぼーっとしてたかった。
今はテスト前で朝練やってるとところないし、たぶん1人になれるだろ。
だいぶ頬に向けられる視線にも慣れてきた。あと少し。
だけど、指で絆創膏に触れたら、まだ熱かった。
「佐野?」
「あ」
人がいたとは思ってなかった。
体育館の扉を勢いよく開けると、そこには男子生徒が1人、いた。
背が高くて、すらりとした立ち姿。手にはバスケットボール。
あたしに向けられた顔は、知った顔だった。
「及川先輩」
「なに、オマエも息抜き?」
も、ってことは先輩も息抜き?
曖昧にうなずいて、自分の所在を探す。
入ってきた手前、なんとなく出て行きにくい。かといって、先輩の息抜きの邪魔はしたくない。どうしようか……。
「邪魔じゃないから、好きにしろよ」
「は、あ……」
先輩は、コッチのほうをあんまり見ないで、その場からドリブルしながら走り出した。
手から離れたボールは宙に曲線を描いて、それから静かにゴールの中に吸い込まれていく。
あたしの考えなんて、お見通しかぁ。
思いがけず作ってもらった居場所に、あたしはぶらぶらと体育館の中を歩いた。
及川先輩は、男子バスケ部の元部長。
あたしの入ってる女子バスケ部は男子バスケ部と仲が良くて、けっこう交流があったりするので、大会の打ち上げとか、合同練習したりとかで、及川先輩のことも知ってる。
後輩には慕われてるし、仲間内でも頼りにされてるし。
そこそこモテるから女子部のほうにだって噂ぐらい流れてくる。
大学、難しいところ受けるって聞いた。
勉強、大変なんだろうな。
なんとなく、ステージの端に腰掛けてけっこうハードに動いてる先輩を見つめた。
先輩は、あたしの存在を特に気にするでもなく、ただ黙々とドリブルシュートを繰り返してる。コートを右に、左に……。
体育館に響く足音、ボールの跳ねる音、ゴールに吸い込まれる音、受け止める音。・・・それから息遣い。
今はもう引退しちゃったけど、先輩がバスケのこと大好きだっての、よくわかる。
「なぁ。……どうした? ソレ」
先輩の声。
あたしと先輩の間の距離は、ちょうど体育館半分ぐらい。
「?」
先輩は、腕でぐいっと額の汗をぬぐった後あたしを指差した。ちょうど顔の辺り。
「……ああ。コレ、ですか」
今頃聞くの、反則。うまく意識しないでいられたのに。
「殴られたんです」
あ、言っちゃった。
「……冷やさなかったから腫れちゃって」
どうしてか、視線が下を向いた。
思わず正直に言っちゃって、先輩がどんな風に思ったかが気になる。
「誰に?」
「……」
黙っていると、先輩がゆっくりと近づいてきた。
うつむいた視線の中に靴が入ってきて。それから、手からこぼれたボールが跳ねて転がるのが見えた。
「見せてみ」
及川先輩の手が、あごにかかる。
そのまま上を向かされて、その距離に驚いた。
こんな至近距離、アリですかっ!?
まじまじと先輩の顔見たの、初めて。……顔整ってマスネ。
っていうか、こんな体勢もはじめたなんですけど、テレるじゃないですかっ!!
それに。先輩、手ぇ冷たすぎ。
「ふうん。今からでも、冷やしたほうがいいかも」
「……」
先輩はあたしがどきどきしてるの、気付いてるのか気付いてないのか。
絆創膏の上から頬をゆっくり指でなぞった後、目を見てニヤリと笑った。
「親? じゃないな、オトコか?」
「……っ」
「図星みたいだな」
そこ、笑うところでしょうか。
確かに森田に叩かれて頬が痛むけど。今。……こんなに頬が熱いのは、確実に先輩のせいだと思う。
「別れたら? そんな男」
頬に触れたままの先輩の指は、動かない。熱くなった頬に、その指の温度が気持ちいい。
「……先輩には関係ないと思いますけど」
「まあな」
「ついでなので言うと、別れたいって言ったから殴られたんです」
「そうか。あれ、じゃあ、今フリー?」
「そうなりますね」
「オレなんてどう?オレは女の子の顔なんて殴らないから」
「はあ。あの、からかわないでくださいます?」
「からかう?まあ、そう思われてもしょうがないか」
この人は……!
いくらクラブ同士で交流があるって言ったって、面識があるとはいえ……こんなふうにからかったりしないでしょ、普通。
なんだか思っていた及川先輩のイメージが壊れちゃったみたいで頭がガンガンする。
バスケしてるときの先輩って、すっごくかっこよくて頼れるカンジなのに、こんなふうな軽いこと言って人をからかったりもするわけ?
勝手に想像して、勝手に幻滅してるあたしもなんだかヘンなんだけど。
やっぱりこんなふうにからかう先輩は。……なんか落ち着かない。
「そろそろタイムアウトかな」
腕の時計で時間を確認して先輩が言った。
触れてた指が、やっと離れたてく。……そして気付いてしまう。離れてしまったことに対する心の微妙な物足りなさ。
入り口の横。入ってきたときは気がつかなかったけど、荷物が置いてあった。
先輩は歩きながら無造作に汗の染みたシャツを脱ぐ。
「……ちょ……っ」
「ああ、わりい。ついいつものクセで」
筋肉質な裸の背中。
ボールは自分のものらしくて、スポーツバッグの中に押し込まれた。入れ違いに出され たタオルで汗をぬぐって、新しいシャツに着替える。
「目の保養になった?」
「なりません!」
つい吸い寄せられてしまう目を、無理やりに閉じる。
意識したことなんて、一度もないのに。
「朝はさ、たいていここにいるよ。とくに朝練のない時」
「……どういう意味ですか」
「べつに?」
あたしには背中を向けたまま、先輩はそう言って黙り込んだ。
顔、見えないし。その言葉の意味が判らない。
「さー、勉強、勉強。じゃあな」
ぽんと肩を叩く手。
いつもと変わらない先輩だった。
ぽつんと体育館に残されたあたしは、そっと頬に手を当てた。
「許せない~っ」
昼休みになり、加奈に頬の絆創膏のわけをかいつまんで話した。
箸を握り締めてカラダを震わす姿を見てると、なんか笑えてきた。
「何で殴り返さなかったのよ」
「え?ああ、そうか。そういう手段もあったのか」
「真由美ってば~っ。それにしても、森田のヤツ。ホントにさいてー。フツー女の子の顔殴るかっての」
「だよね。でもま、勉強にはなった。あたし、男見る目ないのかも。それとさ、スキでもない男と付き合っちゃいけないってことよ」
窓の外。青い空を眺めながらあたしは言った。
パックの牛乳をちゅーっと一気に飲み干して加奈へと向き直る。
「まだ腫れてる?」
「少し」
加奈は肩をすくめてから再びお弁当箱を手に取った。
「……でもさ、なんかくやしい」
「そう?……なんかもう、あたしはどうでも良くなってきちゃった」
「えーっ、……って、私が口出しすることじゃないんだけどさぁ……。う~っ、なんていうの? なんか、ぎゃふんって言わせたい気分なわけよ。分かる?」
「ぎゃふんって、また死語だしてきたね」
「女の顔張るやつは、女の敵。……あ~あ、誰かヤツに天罰下してくんないかなぁ」
加奈のぼやきを、笑いながら聞いてる自分に驚く。
昨日も、今朝も。加奈が言ったようなこと、あたし自身が考えてたのに。
でも、今は違う。
投げやりになってるわけでもないのに、ほんとうにもうどうでもいいと思ってる。
絆創膏。もう取ろうかな。
―――――― 罪悪感を覚えればいい。
そう思って貼った、大きな絆創膏。
放課後になってようやく効力を発する。
人影のまだらな正面玄関であたしはヤツとすれ違った。
森田のほうが早く気がついたようで、一瞬揺れた影にあたしは顔を上げた。
「あ……」
森田の視線はあたしの目ではなく頬に向いた。
そして、あたしの視線も彼の目ではなく頬に向いた。
もしかして腫れてる? 口元に紫のあざもあった。
「森田?」
「悪かった」
「え」
「手、出したこと。痛かったろ、ごめんな」
しゃべって痛かったのか、森田が顔をゆがめた。
バツが悪そうに無理やり作った笑顔を浮かべ、それから足早に行ってしまった。
振り返り、その後姿を見送る。
そうしたら、なぜか及川先輩の顔が思い浮かんだ。
まだ早い時間だったから、ほとんど生徒はいなかった。
鍵のかかった体育館の扉の前で、待つ。
ほどなくその姿が見えて、あたしはほっとした。
気付いた先輩が、にやりと笑う。
「息抜きか?」
「そんなところです」
「よかったな。俺が来なかったら入れなかったぞ」
「?」
「ヒミツにしとけよ。俺が勝手に合鍵作ってるの」
「……先輩ってば」
ズボンのポケットから出てきた鍵で、扉が開いた。
「ほら、入れって。見つかるとやばいからさ」
扉の隙間に、二人して身体を滑り込ませた。
しんとした体育館。
「お前もする?」
重ね着してたシャツを脱ぎ捨てて、タンクトップ姿になった先輩が軽くストレッチを始める。
「や、そんなつもりじゃないので」
「じゃ、見学?」
「先輩の?」
「そ、俺の」
「……違いますよ」
先輩は肩をすくめ、鞄からボールを取り出した。
ダン、ダン、……とあたしの足まで伝わってくるような力強いドリブル。
「じゃ、抗議しに来たとか」
コートを走りあたしの前を通りすぎてく。遠いほうのゴールに向かって。
「……ちっ」
ボールはリングにはじき返された。それをジャンプしてキャッチする。
再び、静寂の体育館。
―――――― ああ、やっぱり。
あたしはすたすたと先輩のほうに向かって歩いた。
「佐野?」
「やっぱり先輩だったんですね。ヤツに天罰下したの」
「余計なことだったか、すまん」
「そんなふうにも思います。……でも、ちょっとすっきりしました」
「そうか」
にやっと先輩が笑った。
「でもどうして?」
「どうしてだと思う?」
はぐらかされるばっかりで、あたしは戸惑う。
だけど、今朝ここに来た目的だけでも果たしたい。
「じゃあいいです、答えなくて。その代わり……」
「その代わり?」
「この絆創膏、剥がしてくれませんか」
先輩は、驚いた顔してあたしを見た。
なんで?って聞かれたら。
なんでだと思う?って聞き返してやろう。
そう聞かれた時の答えは用意してなかった。
だから、何も言わず手を伸ばしてきた先輩に少し安心した。
あたし自身よく分からなかったし。
この絆創膏。どうして先輩に剥がしてもらおうと思ったかなんて。
ただ。
そうでもしないと、もう2度と先輩の指があたしの頬に触れることなんてないんじゃないかと思ったから。
指が触れて。
絆創膏を端っこからゆっくりと剥がしていく。
ぴりぴりと皮膚が引っ張られて視界が斜めになる。
「腫れは引いたな。痛いか?」
剥がすときの痛みのことかな。
「痛くないです。でも熱い、です」
「そう」
もう片方の手が、もう片方の頬に触れた。
「あと少しだから」
「はい……」
そんなあたしと先輩の姿は、遠くからだとキスしてるように見えてるかもしれない。
無表情な先輩の顔を、あたしは見上げてた。
先輩が、どんな気持ちで森田を殴りに行ったのかあたしには分からないけど。
今も、どんな気持ちであたしの頬に触れてるのか分からないけど。
―――ただ、頬が熱い。
「ありがとうございました」
「これぐらいならいつだって。……あ、忘れもの」
「はい?」
頬に触れてた手が離れて、肩の上に置かれた。
迫ってくる、先輩の顔。
「快気祝い」
「……って……!」
痛いほど熱くなった頬を、私は両手で覆った。
指が触れたときの比じゃない。
頬を打たれたときの比じゃない。
まるで、凶器のような唇。
本当にさりげない、とても自然な動作で。
あたしの頬に唇を押し当てた先輩は、何事もなかったかのようにボールを拾った。
―――――― 分からないよ。何も言ってくれないから。
あたしはくるりと先輩に背を向けてすたすたと歩き出した。
まともにしゃべれないし顔も見れない。
先輩なんて、先輩なんて……っ!
扉の前まで来たとき、先輩の声がした。
「なあ。俺のことどう思う?」
「……」
すぐには答えられなかった。
「なんとも思ってない後輩のために、人を殴りに行ったりなんかしないだろ。普通」
「……じゃあ、どう思ってるんですか」
それが問題。
先輩が、あたしのことを……なんて。考えたこともなかったから。
あたしがじっと見つめていると、先輩が笑った。
「明日の朝、教えてやる」
「来ると思ってるんですか?」
ひらひらと、先輩が手を振る。
再びボールをドリブルし始めて、その表情が見えない。
あたしはため息をついて扉に手をかけた。
「そうだ。バスケ出来るカッコして来いよ?」
「……来ません」
「そう?」
先輩はコッチを見もしないでうなずく。……それがくやしい。
そして、明日。
……きっとここへ来てしまうだろう自分が、もっとくやしい。
体育館から教室まで廊下を、歩いてく。いつもよりも、足早に。
立ち止まってしまうと、何かに捕まってしまいそう。
頬に当てた手が離せない。
触れただけの唇が、何かあとでも残してるんじゃないかとドキドキする。
すれ違うヒト全部が頬を見つめてるような気までしてくる。
叩かれたときよりも、ダメージ、大きいなんて。
「佐野」
その声に、心臓をつかまれたみたいに立ち止まった。
「オマエ、相変わらず歩くのはやいなぁ。……コレをさ、お前に預けとこうと思って」
剥き出しの肩に、シャツと鞄を引っ掛けた先輩が手を差し出した。その中からするっと落ちてきたものを、反射的に受取ってしまう。
「鍵?」
「そう。これで明日来る理由が出来るだろ?」
どんな顔で言ってるんだろう。
慌てて顔を上げると、あさってのほうを向いた先輩の横顔が見えた。
「……そんなにあたしに来て欲しいんですか?」
「来て欲しいね」
その言葉を口にした後、一瞬だけあたしのほうを見た。
―――――― あ。
「じゃあな」
昨日と同じように、ぽんと肩を叩いて歩いていくその後姿。
手の中に残された鍵を見つめて、あたしは唇を噛んだ。
……ほら、捉われてしまった。
「先輩!」
ゆっくりと振り返るその姿。
逆光で表情が見えなかった。
ただ、さっき垣間見た先輩の真剣な眼差しだけを思い浮かべる。
「……こんなものなくてもあたしが明日行くこと、分かってるくせに」
「まあな。保険だよ保険」
なんて人だろう。
頬の熱が、心にまで伝わった気がした。
過去サイト初出2003/09/20
以下、当時のあとがき
恋を拾う瞬間?見たいな感じで。
私自身経験ありませんが、女の子の頬を殴る男も………いる?
森田君は損な役回りですねぇ。
「男の手は女殴るためにあるんじゃねぇっ」と、
及川先輩に言われたとか言われなかったとか。(どっちだ
真由美にとっては
特に意識もしなかった先輩との『はじまり』になりますが。
たぶん先輩のほうは以前からけっこう関心を持ってた
………ようです。
こんなのも、アリということで。
及川クンの初出は【君のいる風景】デス。
彼に関してはもうひとつエピソードがあるんですが、
まだ書くの迷い中。




