第13話 月の民と末裔
※この小説はフィクションです。
実在の薬や人物や団体などとは関係ありません。
夕ご飯を終え、3人はそれぞれの部屋に戻った。
ミオは日誌に今日の出来事を書き留めていた。
すると、部屋のドアがトントンと軽く叩かれる。
「はーい!」
ミオがドアを開けると、そこに立っていたのはレオンだった。
「少し、話してもいいかな?」
レオンは微笑みながら言う。
「話って、なんですか?」
ミオは首をかしげつつ、部屋の中へ招き入れた。
「昼間話した、月の民の末裔についてだ。」
レオンは少し真剣な顔で続ける。
「月の民は、月からこの地球に移住してきた古代の民。月の加護を持ち、星を生き返らせる不思議な力を持つ。命を終えた星を空に返し、地球の夜空を星で照らすために、あちこちを旅してきたんだ。僕はその末裔で、星が夜空を照らし続けるように旅をしている。」
ミオは静かに頷きながら聞いた。
「月の民の末裔は、金の髪に青い瞳を持つんだ。それでね、君も僕と同じ見た目だから、もしかしたら月の末裔かと思ったんだ。」
レオンは微笑み、そっとミオの頬に触れる。
突然のことに、ミオの頬は赤く染まった。
「月の民の末裔は、末裔同士惹かれ合う運命にある。僕が君に初めて会ったとき、心惹かれたのもきっと君が月の末裔だからだと思う。」
ミオは申し訳なさそうに答えた。
「私は、生まれたときから孤児院にいるから、自分が何者か分からないの。
多分、月の末裔じゃないと思う。」
そして勇気を振り絞り、言葉を続けた。
「それに……レオンさんの気持ちには応えられない。私には他に好きな人がいるの。」
「……和井先生だろ?」
ミオは驚きのあまり、顔を真っ赤にした。
「な、なんで分かったの!?」
「君を見ていれば、すぐに分かるさ。」
レオンの表情には、少し悲しみが混ざっていた。
「でも、彼は人間じゃないんだよね?」
「月の民の末裔である僕は、星の声が聴こえるんだ。和井先生は長い時の間、星を守ってきたって星から聴いた。」
「それでも……私は和井先生のそばにいたい。」
ミオは迷いなく、ハッキリとレオンに告げた。
「……そうか。その恋は茨の道だ。それでもいいのかい?」
「それでもいい。」
ミオの瞳は真っ直ぐに澄んでいた。
レオンは少し寂しそうに笑い、手に持っていた小さく輝く石をミオに差し出す。
「もし、君が月に願いを叶えてほしいとき、この月のカケラが役に立つ。薬師の君なら、願いを叶える月の薬を作れるはずだ」
「ありがとう、レオンさん」
ミオは深くお辞儀をして感謝の気持ちを伝えると、レオンは軽く笑った。
「明日の朝、旅立つから……和井先生にもよろしくね!」
レオンはそう言い残し、部屋を静かに去っていった。
ミオはベッドに倒れ込み、手元に輝く月のカケラをじっと見つめる。
(これなら……先生の命を削らなくても、星の薬が作れるようになるかもしれない……)
夜空の月が静かに輝き、森の風が窓をそっと揺らす。
ミオは深く息をつき、ゆっくりと眠りに落ちた。
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