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名ばかり皇帝の跡継ぎに転生したけど没落したのでイチから成り上がることにした  作者: ウエス 端
新章

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043.甘い調査対象

「うーん。なんて甘い香りなんだろう」


 オレたちはオルストレリア大公領の首都ウェーインへの玄関口とも言える都市ショコラリッツに到着した。


 名前通りの甘い雰囲気のこの街では、少なくとも帝国内では最も古くからケーキが作られて売り出されたという。


 なんというか全体的に砂糖とクリーム、そしてチョコレートの香りが充満しているといっても過言じゃない。


 今は既に夕暮れ間近の時間帯だが、商店街にはまだまだ多くの観光客が楽しそうに行き交っている。


 店先を覗いたり、イートイン席のあるスイーツ店や喫茶店に入っていく人……主に女性たちだが、それが絶えることがない。


「ぬふふふ! おれたちもさ、疲れを癒すためにちょっと食っていこうよ〜!」


「え〜……俺は甘いものはちょっとなあ。タツロウはどうなんだよ?」


「オレはまあ、嫌いじゃないけど」


 うん、嫌いではない。嘘はついてねえよ。


 実は結構スイーツとか好きだったりする……前世でも一時期コンビニスイーツにハマったりしてたなあ。


 しかしオレみたいなコワモテ顔の男が好きだと言い切るのも、自分のことながらどうなんだろうなあ、と。


 そしてロベルトはオレの答えが思い通りであったと解釈して間を開けずに話を進める。


「というわけだアルヌルフさん。俺たちは先に宿へ行くから、一人でゆっくり味わうといいよ。スイーツをさ」


「ちょ、ちょっと〜! 頼むよ〜、男一人じゃ入りにくいから〜!」


「そんなこと言われても……」


「まあいいじゃねーかロベルト、付き合いで入るくらい。甘いのが嫌ならお茶だけ飲めばいい」


 急にオレがアルヌルフの肩を持ったことにロベルトは一瞬だけ目を見開いたが、反論するのが面倒になったのか諦めの表情で承諾の返事を呟く。


「しゃあねーなー」


「お、恩に着るよ! タツロウ、ロベルト〜!」


 アルヌルフのヤツ、礼を言ってくれるのはいいのだが……泣きそうな顔でやたらと大声を出すもんだから、結局は注目を集めながらとあるスイーツ店の中へと入る羽目になった。


 そんなこんなで席に座ってから、ついでだからと今後の方針について男3人で語り合っている。


「なあロベルト。ここでの調査は明日からなんだな?」


「ああ。もうすぐ日が落ちるし、今からはやめておくほうがいい。それとも何か理由でもあるのか?」


 理由は早いところこの任務を終わらせてソフィアのもとへ……だがさすがに今回は控えることにした。


 もちろん心配だけど……もしもの場合は、あの時のように『魔力の共鳴』がソフィアの危機をオレに知らせてくれるのでは、と密かに思っている。


 その時は強引にその場を抜け出してでも……しかし今は任務に集中すべきだろう。


 それにソフィアはただ守られるだけのお姫様じゃない。少しくらいのピンチは自力で何とかする、そんな自立した女性なのだ。


 そしてオレはそんな彼女が好き……おっと、惚気ちゃって失礼。


「いや何でもねーよ。一応聞いただけだ」


「あっそう。で、ここでの調査対象だけど……商館が仕入れを行なっているお菓子の製造元をいくつか訪ねることになる」


「お菓子だと? まさかそれをブランケンブルクまで運んでいるのか?」


「もちろん、焼き菓子とかで日持ちもするものだよ。それでも1週間以内には届くようにしてるはずだから運送代が高くつくからさ。向こうで買える客は上級貴族や金持ちだけになるけど」


「そこまでして食いてーのかよ?」


「こちらには有名なブランド店がいくつもあるからね。どうしてもそれらを食べたいって客は一定数存在するってわけだ」


 ひええ……恐るべき人間の食への欲求……!


「まあ商館にとってはおいしい商品ってわけだ。それと商館長の件が……でも関連は薄いんじゃないかな?」


「いつも言ってるだろ、可能性を一つずつ潰していかないと。例えそれが低くても」


 まあそりゃそうだけどさ。


 そんな感じで調査の順番や方法をオレとロベルトで具体的に話し合った。アルヌルフは食ってばっかで全く役に立たなかったけど。


 そして宿で休んでから翌朝より早速調査を開始したのだが……。


「ああ、それなら、『フックス商会』からいつもの倍……いや3倍の注文を受けたよ。しばらく前に」


 なんと!


 普段よりも異常に多くの仕入れを行なっていたらしいことが判明したのだ。それもいくつもの製造元で。


 どこかの貴族から特別に注文が入ったのだろうか。それにしたってなあ。


 しかし肝心の商館長の姿はこの都市では見つからない。


「なあロベルト。もう一日調査したほうがいいんじゃねえの? あからさまに怪しいだろ」


「うーん。そうだな……」


「おれはさんせーい! もう一日お菓子を楽しめる……ゲフンゲフン、じっくり調査することで手掛かりを得られる予感がするのだよ、ぬふふふ!」


 一人動機が不純なヤツがいるけど、もう一日続行で決まった。まあ、元々の日程よりだいぶ前倒しでここまで来てるしね。


 それにここで解決すればすぐに駆けつけられる。それまではソフィアの身に何もないことを祈りつつ、今日はとりあえず休むことにするよ。

いつも読んでいただいてありがとうございます

次の更新は1月12日(月)の予定です

よろしくお願いします

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