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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(8)レヴィアスの拠点造り おかえり!令嬢のカラダ 

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作物も栽培するんだぞ

ノエルはエラにもらったハーブの種を懐から取り出した。

村長の家で飲んだ甘ったるい匂いを思い出す。

エラによると、『スイートシトリン』というらしい。


(正直、あれは苦手な味だったけど……ルーナは美味しそうにしてたからなあ)


種は黄色くてごつごつしている。

いったいどのような形の花なのだろう。

ノエルは種を地面に植えて、土を被せた。


「フローラ!」


魔法を唱えると、青い光が種を包み込んだ。

すると、その種は驚くべき速さで成長を始めた。


「うお!? け、けっこう大きいな!?」


芽は、勢いよく地面から伸び出し、あっという間に大きくなっていった。

ノエルの膝下ほどまで伸びた草から、にょんにょんと花が咲く。

葉はくすんだ緑だったが、花は白く可憐で、周囲に甘く爽やかな香りを放っていた。


「これは……」


ノエルは驚きを隠せなかった。見たこともない花と芳香が辺りに広がっていく。カワウソたちも興味津々で花に近づいてきた。

一番小さなカワウソが花の香りをかぎ、嬉しそうに跳ね回った。


「キュイッ! キュイッ!」

「すごいな、これが獣人のハーブ……スイートシトリンか」


ノエルはその花をじっくり観察した。

長い間、この花は獣人たちに愛されてきたらしい。もしかすると、このハーブには彼らにとっては特別な意味があるのかもしれない。


「エラさんに感謝しないとな」


ノエルは気合いを入れ直した。

今日は新しいことを試すのだ。


「食料を作りたいな……家庭菜園的な……」


これくらい地面が潤っているなら、小さなトマトのような作物くらいなら育つのではないだろうか。


しかし、前回のように節操なしに草を生やすのではなく、範囲を決めたい。


ノエルは新しい魔法を試すことにした。


「えーと、庭……庭、だから……あれだ! フローラ・ガーデン!」


ノエルは慎重に呪文を唱え、地面に手をかざした。周りの空気が一瞬静まり返った。次の瞬間、池全体に美しい花畑が広がり、花の香りが風に乗って広がった。辺りは甘い香りで満たされた。


「すげぇな……我ながら」


コボルトの首を刎ねるより、こちらの方が自分に合っている。

ノエルは花の咲く砂漠の池の美しい光景に目を見張りながら、自分の新しい魔法の成功に満足していた。


「待てよ? フローラ・ガーデンを応用すれば……」


ノエルは深呼吸をして集中した。ゆっくりと手をかざしながら、新しい呪文を唱える。


「フローラ・ベジタブル・ガーデン!」


地面がやわらかく輝き始めた。


次の瞬間、色とりどりの光が地面から湧き上がり、そこから様々な種類の野菜が次々と生えてきた。殆どは枯れてしまったが、トマト、キュウリ、そしてカボチャ、ナスがみるみるうちに成長した。


「おおおおお! ツヤツヤ野菜!」

ノエルは感動した。


「と、いうことはフルーツもいけるのでは!?」


こうなると、研究は加速していく。



「フローラ・フルーツ・ガーデン!」

「フローラ・サボテン・ガーデン!」


「フローラ・アルコール・ガーデン! は、さすがに無理か……酒の花が咲かないかと思ったけど……テキーラ・ガーデンなら……いや、無理か……」



ノエルの挑戦は日暮れまで続いた。


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