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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(5)聖ルキナス修道院

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レヴィアスへ出立

※レヴィアスに入国するまで、主人公は青ひげのおっさんとなります。ご了承下さい。

画的に我慢できなくなった方は、ep83「拠点作り」へ飛んで下さい。

修道院を出立したノエルたちは、新街道を意気揚々と歩いていた。

結局途中の宿屋に2泊して、ようやくオリテの端までやってきた。


薔薇に例えられた令嬢の紅毛は見る影もなく消え去っていた。

代わりには青い短髪と髭。筋骨隆々とした肉体。

そりたての髭はすっきりさっぱりとして気持ち良い。

ノエルは満足気にチョリチョリした手触りの自分のあごを触った。


(ここまでなんだかんだ、色々あったなあ〜。この期に及んで、ゴリラマッチョ青ひげに変化するとは思ってもみなかったが)


ノエルはしみじみと、筋肉のついた自身の肉体にひたった。

我ながら惚れ惚れするボディーである。レインハルトやモルフェのような、いわゆる若者の見栄えの良い女受けしそうな筋肉ではない。ボディービルダーのような、魅せる筋肉なのである。一度は映画スターのような身体になってみたいという、前世の深層心理が反映されたのかもしれない。


「いやー、清々しい晴天だな!」


機嫌よく言ったノエルの後ろから、黒猫がチョコチョコ着いてきている。

目つきが悪い。三白眼の猫だ。

変化が完了したモルフェだった。


「……」

「おい、なんか言えよ」

「にゃあ」

「モルフェ」

「……猫は喋らねぇ」

「何を拗ねてるんだよ」

「拗ねてない。お前がマジでおっさんだったことに衝撃を受けてるだけだ」

「もう少しゆっくり歩くか? それとも抱っこしてやろうか?」

「いらねぇ!」


毛を逆立ててモルフェは威嚇した。


「カリカリするのは種族が変わっても治りませんね」


どことなくツンとした若い男の声がため息交じりに聞こえた。

が、音の出どころは頭上からだ。

見上げると、青い空に映える美しい金色の小鳥が優雅に飛んでいる。


レインハルトは言った。

「空から見下げると、自分の機嫌すら自分でとることのできない、その滑稽さが際立ちますね」

モルフェが鼻白んだ。

「うっとおしいことこの上ないなお前は! なんなんだ! 弟分みたいに思ってたやつが、突然青ひげのマッチョなおっさんになったんだから、少しくらい無言になってたっていいだろ!」

「俺は知ってましたよ。ノエル様の中にはずっとコイツが入っていたんです」


可愛い顔で小鳥がとんでもない台詞を投げつけてくる。

ノエルは不本意だった。


「あのな、確認するけど、俺はあくまでも前世は成人男性だったってだけで、さすがにこんなゴリゴリマッチョな見た目じゃなかったぞ」

と、ノエルは言った。


東洋人の平均ちょい上の背丈にそこそこの筋肉だった。

こんなハリウッドの映画俳優も顔負けの肉体は馴染みがない。

モルフェは野性的な勘なのか、鋭くノエルを見つめて言った。


「のわりに、ノリノリだったじゃねえか! 昨日修道院で古い男もんのシャツもらって、鏡の前でニヤついてたの知ってるんだからな」

「いやそれはいいでしょ! 少年用のシャツじゃまさに変態みたいじゃないか。パッツンパッツンで! ニヤついてたんじゃなくて安心してたんだ」

「どーだかなっ」


ケッと吐き捨てるように言って、モルフェは後ろ足で砂をかいた。

なんともふてぶてしい猫だ。


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