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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(5)聖ルキナス修道院

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魔女プルミエ

「事情をお聴きします」


と言った屈強な門番に連れられて、ノエルたち一行は塀の中に入った。


巡礼者の長い列を離れ、身分確認もなしに中に入れたのは良い。


ステンドグラスが張られた美しい建物に案内されたのも良い。


良かったのだが、これはどう考えても取り調べだ。



(なんか、馴染みがある風景だな~……懐かしいぞ)


意味もなくワクワクする。

が、この後のことを考えると少し気が重い。


ノエルたちは大きな円形のテーブルに座らされた。


それだけであればまだ、お茶会のような雰囲気だが、ノエルたちの両端には屈強な門番が立っている。



「お前のせいだ」

レインハルトはまだ未練がましくテーブルの下でモルフェを小突こうとしている。


「なんでだよ。んなに文句言うんだったら、俺が動く前にお前が動けばよかっただろ」


モルフェも言われっぱなしではない。口を尖らせて反論している。


「簡単に言うな。動こうとする前に、俺の前にお前がズイッと出てきたんだ」


「俺を連れて行ったのはお前だろうが。それなら最初から一人で行けばよかったんだ」


「そういう話をしているんじゃない! だいいちお前は自分勝手過ぎる」


「んだよ、仲良しごっこなんざ御免だ」


「こちらのほうこそ遠慮する。そうでなく、護衛という仕事を考えろ」


「バァサンの護衛になったつもりはない」


「そういう話じゃないだろうこの馬鹿者」


「あぁ!? 馬鹿って言ったテメェの方が馬鹿だ」


もう言い合いが小学生レベルだ。


ノエルは見かねて口をはさむ。



「あのさあ、二人とも」


レインハルトとモルフェの背中がピッと伸びる。

身長は二人に思いっきり負けているというか勝負にならない。

が、人生経験だけは豊富なノエルだ。


「モルフェはさすがに魔法が上手だね。ちょっとやり方がまずかったけど、人質も一応無事だったし良かったね」

モルフェが眉を上げてノエルを見た。

頭ごなしに怒られると思っていたのか、予想がはずれた顔をしている。


「レインも悔しかったよね、剣抜いて出て行ったのに一つも使えなかったもんね」

レインハルトは対照的に眉をひそめた。

心外だと言われるかと思ったが、言い返してこないのを見るとわりと図星らしい。


「二人が一緒に戦おうとしてくれて有難かったよ。これからも二人に頼むことが多く出てくると思う」


レインハルトとモルフェが居心地悪そうに長身をすくめている。

こういうところだけは連携がとれている。

ノエルは二人の目を交互にのぞき込んで、『令嬢』にしては少し低い声で言った。


「仲良くはしなくていい。でも、うまくやってくれるか?」 



ヒュンッとモルフェが息を吸った音がした。

レインハルトがコクコク頷いている。

ノエルはにっこり微笑んだ。

それが妙な威圧感を放っている自覚はまるでなかった。


「俺が言ってること、分かる?」

とノエルが言うと、

「……ハイ」

「……ああ」


二人はおとなしく頷いた。


その時、

「いやいや、お待たせしましたなぁ」

と、円卓に座った人物がいた。

しゃがれた声や見た目では男か女か判別が難しいが、老人であることは確かだった。


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