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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(15)オリテ編 かぜにはきをつけようぜ

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対決! 魔剣士三人衆

「おい、分かってるだろうな」

モルフェがくるりと振り向き、ドスをきかせた。

あたかも何かをキメたような目の開き方をしている。よっぽど作戦を台無しにされたのが腹立たしかったようだ。


「俺が回復。モルフェが攻撃」

ノエルはのろのろ言った。

昨夜の作戦会議では何度も確認した。

さすがに覚えている。

爺さん、いや、婆さんと思われているのではないか? とノエルは疑った。


モルフェはふんと鼻息を荒くした。

「そうだ。俺が攻撃する。だからくれぐれも! 作戦通りに行くぞ」


「分かってる分かってる」


「2回も言うんじゃねぇ。分かってなさそうに聞こえる」

モルフェが苛立ちながら、背中の大剣を引き抜いた。

ノエルがモルフェと一緒に、オリテの町外れの焼け跡から拾ってきたものだ。もとはただの錆びついた剣だったが、魔法をかけ続けた結果、切れ味が増すというよりも打撃でぶつぎる大剣になってしまった。

見た目が強そうなので、これも使うことにしたのだ。


ウェーブのかかった黒髪を紐で束ねたモルフェが、真剣な目をして肩越しにノエルを見た。

黄色と緑色の瞳がふと揺らぐ。


「いいか、チャンスは一度だけだぞ……というか本当に大丈夫なんだろうな?」


「さあ」と、ノエルは空とぼけた。


「おい!」


美少女は弧を描いて唇をほころばせた。

気安ささえ感じさせる口調で言う。

「あーのーなあ。ガラ取りに行くのは、俺らだ。天気予報じゃねぇんだぞ。絶対とかたぶんとか、そういうことじゃねえ。条件整えりゃあ、確実だってわけでもねぇんだ」  


ノエルは無意識に胸の中心を抑えていた。

あの時、自分の命の火種を絶やした忌まわしい弾の痛みをまだ覚えている。

生まれ変わったって忘れない。


確かに人間に寿命はあるのだろう。

しかし、天命でも運命でもなく、ただ生の反対に死があるのだ。


殉職した結果に憎しみも恨みも無いが、心を砕いて自分の面倒を見てくれた恩を返せなかったことや、大きなヤマを解決したかったという小さな悔いはあった。


「俺らは、俺らの最善だと思うことをするだけだよ」


ノエルの言葉にモルフェが押し黙って、顎をあげた。

やせぎみの浅黒い頬の上にぴり、と緊張が走っている。


「お? モルフェ、いっちょまえに緊張してんのか」

「……っせぇな」


モルフェの肩が目の高さにある。

ノエルは背伸びをしてそれを軽く叩いた。


「ま、俺もお前もアイツもいるんだ。何とかなるだろ」


「……おう」


「ほら、また来たぞ。とりあえず二階の謁見室を目指して進もう」


モルフェの向こう側から、兵士たちが王城の廊下をバタバタと走ってきた。

よく見ると明らかに走るのが遅い老人も紛れている。全体的に兵士たちは痩せており、服や靴も汚れ、やつれて疲労が見て取れる。


「おいおい……オリテの兵士は人手不足か?」


モルフェが呆れて言った。ノエルは頷く。


「本当にそうなんだろう。兵士っていったって国民だ。国がこんなんじゃあ……」


モルフェが手をかざし、睡眠魔法を放つ。

巨大な光の球はふよふよと廊下に出て行ったかと思うと、兵士たちを直撃した。


「うわあっ!? なんだ!?」

「あ……眠い……だめだ、まだ仕事が……」

「無理だ、最高の羽布団みたいなあったかさだ……俺はもう……」


次々と廊下に崩れ落ちる兵士たちは、幸せそうにすうすうと寝息を立て始めた。このまましばらくは時間が稼げるだろう。


そのとき、モルフェが鼻をすんと鳴らした。

手を出してノエルが進むのを止める。


「待て」


と、言ったモルフェは廊下の先をじっと見据えた。


「どうやらお出ましだぞ」


モルフェの額にじんわりと汗が滲んでいた。

ノエルは目を細めて、暗い廊下の奥をじっと見た。




「あー、いたいた。ここだよ、侵入者」

「野郎と娘ッ子か。俺は女には手ェあげない主義なんだが」

「ボクがやろう……ああ、血を浴びられるなら……いくらでも、ああ、早く、早く」

「もー、こいつキモチワルイ。吸血鬼じゃないの? げ、兵士もごろごろ転がってんじゃん。死んでる?」


先頭の少年が、一番後ろでなすすべもなく転がって眠っていた老兵を蹴り上げた。


「あ! アイツ、何するんだっ」

ノエルは憤慨した。

敵の兵とはいえ、無抵抗な老人を蹴り上げるなんて卑劣過ぎる。


「侵入者はお前らか」

少年が言った。

「手間かけさせないでほしいな。まあいい、すぐ同じところに送ってやる」


モルフェが何か言おうとしたが、ノエルは手をつかんで耐えさせた。


「お前らは誰だ?」


「令嬢は先に名乗るものだよ、ノエルブリザーグ。とはいっても、もう知っているけどね……赤目の小娘はこいつだな。僕はラン」

「コシュだ」

「メィル……」


三人の魔剣士は名乗りを上げて、刀を抜いた。


銀に光る刃がノエルたちに向けられた。

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― 新着の感想 ―
執筆お疲れ様です、戦闘かいな~相手はノエルを女の子と侮ってくれるといいのですが・・
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