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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(15)オリテ編 かぜにはきをつけようぜ

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5人の新しい旅

ノエルとレインハルトの会話をきっかけに、オリテの奪還計画は次第に形を成していった。


祭りから数日が経った。

ノエル、レインハルト、モルフェ、修道士のニコラ、そして女体化したイーリス。

5人はノレモルーナ城の会議室に集まっていた。

特に、モルフェ以外の4人は、それぞれが全く違った人間だが、目的は一つだった。


――オリテのバルナバス国王を倒すこと。



一方で、ルーナは西の都の治政をしに、マールの村を離れた。

そこには本人の強い希望があった。


「あたし、今だったら――できると思うんです」


というルーナは、突然視力を失いながらも、希望を失っていなかった。


(嬢ちゃんは強いなあ)


ルーナの知識とカリスマ性に信頼を寄せる者は多い。

ノエルはルーナの姿を見送りながら、


(すっかり女王らしくなったなあ)


と、感心していた。

オクラとよその子の成長は目を見張るほどに早い、という格言だか何だか分からない言葉が胸を去来する。


ルーナは明るく強いが、視力は完全には回復しなかった。

事情を聞いたニコラが回復魔法をかけたものの、『傷』ではなく『呪い』だという結論になった。

傷を単に回復させるのではなく、呪いを解くことが必要らしい。

どんな呪いかも分からないので、できることはないとニコラは眉を下げたのだった。


ノエルはオリテの計画の進行に並行して、ルーナの視力を回復させる薬を手に入れることができるのではないかと思っていた。

プルミエに頼めば、きっと何かしらの手がかりを得られるはずだ。

そのためには、やはりオリテをどうにかしないといけない。

あのときのハッタリを、本当のものにするのだ。


オリテ奪還を果たすことで、プルミエの信頼を得る。

そうすればルーナを解呪する薬の完成を依頼することができるはずだ。




「まず、オリテの現状を知る必要がある」

ノエルは地図を広げ、みんなの目の前に置いた。


「どうだ、レインハルト。何か作戦は」


ふむ、と顎に指を置いて考えたレインハルトは口を開いた。


「バルナバスの城下には、彼の部下たちが固めた防衛線が張り巡らされています。強さはともかく、潜入が知れ渡ると厄介です」

「てことは、まずは町での隠密行動ってことだな?」

レインハルトがうなずいた。


「みんなそれで異論はないか?」

「ええ。ですが、単に忍び込むだけじゃなく、敵を攪乱させられればおもしろいかもしれませんね」


知的な美女、イーリスが言った。

あの陰険メガネが突然美女になって現れたので、レインハルトとモルフェは初めは動揺していたが、今はかなり慣れたようだ。


「そのために――ニコラ、わたしとあなたの修道士としての影響力が役に立つかもしれません」

ニコラは困惑したように眉をひそめた。

「修道士の影響力……どう使うおつもりですか?」


イーリスは笑みを浮かべて答えた。


「オリテの民衆はバルナバスに抑圧されています。でも、彼らに信仰の力を思い出させることで、心を動かすことができるかもしれない。教会を通じて反乱の火種を広げるのです」


「大胆ですね……。でも、それは確かに効果的かもしれません」

ニコラは頷いた。


モルフェが呟く。

「相変わらず女になってもえげつないな……」


レインハルトが、

「しっ! 心の言葉がそのまま声に出てますよ!」

と突っ込んだ。


イーリスが地図を指で指しながら口を開いた。

「わたしたちの情報によれば、バルナバスの配下の中には、彼に不満を持っている者も多いらしいです。特に、獣人への対応が厳しすぎ、レヴィアスとの国交を断絶して経済を圧迫している。税が高くなっていることで、不平を漏らしている者が……そこを少しずつ突いていくのです」


「つまり?」

ノエルが促すと、イーリスは少し得意げに笑った。


「その不満を煽り、彼らを寝返らせるんですよ。内部から崩壊させるのが、一番確実です」


ノエルはイーリスの提案に考え込んだ。

たしかにそれは好都合だ。


「それなら、誰かがその交渉役を担う必要があるな」

「我々がやりましょう」

ニコラが幼ささえ感じられる顔で微笑んだ。


女体化してなお、その威厳を失わないイーリスが静かに話を切り出した。

「万が一戦闘になったとしても、私とニコラが組んでいればなんとかなるでしょう。彼は回復、わたしは剣術があります」


「剣術?」

ノエルが興味を示すと、イーリスは淡々と答えた。

「オリテの兵士として鍛えた剣術と、今の私の魔力を組み合わせた術があります。これを使えば、バルナバスの精鋭も恐れることはありません」


ノエルは叫んだ。

「イーリスは、オリテの兵士だったのか!?」

「昔の話です」


イーリスはにこりともせずに言った。


ノエルはイーリスの言葉に頼もしさを感じつつも、念を押した。

「でも、無茶はしないでくれよ」


イーリスは笑みを浮かべたまま軽く頷いた。




準備を整えたノエルたちは、まず隠密行動として、バルナバスの城の近くに潜入することを決めた。

内部から情報を探り、弱点を見つけるためだ。



「絶対勝つぞ」


馬車に乗り込んだノエルの言葉に全員が頷いた。

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ノエルが動き出すと頼もしいね!
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