表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(14)激ヤバ侵略国ロタゾ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

186/278

モルフェの場合

「もう我慢がならねえ!」

と、モルフェは斜めにざく切りにされた前髪をそのままに、ノエルとリーヴィンザールが談笑している客間に、ぷんぷんしながら飛び込んだ。

目が血走って、黒い前髪は片側がやけに短い。


「おいノエル! あのバカ王子をどうにかしやがれ!」

「と言われても……え、モルフェ、その髪どうしたんだ?」

「どうもこうも無ぇよ! バカ王子の精霊だとかなんとかいう、金バエみてぇのがやりやがった」

「金バエ?」

「あいついつか燃やして」


ノエルはいぶかしげに首を傾げた。

「レインが精霊を使ってるのか?」


モルフェが吐き捨てるように言う。

「使うなんてもんじゃない。あいつのためなら何でもするような化け物だぞあれは」


ノエルの隣で椅子に座り、黙って成り行きを見守っていたリーヴィンザールが、おもむろに口を開いた。

「精霊は主を選ぶ。主無しに消えゆく精霊もおるが、力の強いものほど運命の主人を求める。レインハルトは精霊に選ばれたんやな」


モルフェは納得がいかないようだった。

「にしても、あんなのアリかよ? 勝手に動く剣なんてそんなもの、魔物でも何でもないだろ。化け物だ化け物」


ノエルは苦笑いを浮かべながら、モルフェの言葉に耳を傾けた。

「確かに、そんな精霊がいるとはなあ……でも、レインハルトが選ばれたってことは、それだけあいつが強いんだろ」


モルフェは未だに怒りが収まらない様子だった。短くなった前髪を指でつまんで見せる。

「これが強さの証か? 証明か? 冗談じゃねえ! あいつのせいで、俺の髪はこんな有様だ! 見ろ、もう少しで額どころか、生え際直撃じゃねぇか!」


リーヴィンザールは穏やかな口調で言葉を続けた。

「モルフェ、精霊はあるじを守りたいと願うもんや。レインハルトの精霊も、おそらく主人を守るために動いているだけや。もっとも、そのやり方がちょっと荒っぽいみたいやけどな」


ノエルは腕を組み、少し考え込んだ。

そして、思いついた顔をしてポンッと手を叩いた。


「モルフェも欲しいのか。精霊」


モルフェは吠えた。

「違ぇえええええええ! ちげぇよ! 話聞いてたか!? 俺は髪をこんな惨状にされたのにイラついてんだよ!」


「あー……ごめんごめん、分かったよ」


ノエルは何も分かっていない。

モルフェは全身の毛を逆立てる寸前だった。

モルフェは精霊に憧れているわけではない。

少し油断していたとはいえ、簡単に攻撃を許してしまった自分のふがいなさが情けなかった。


ノエルはフムフムと言いながら、モルフェの紅潮した頬を見た。


「あのな。精霊はエルフじゃないと使えないんだ」

と、ノエルが言う。

それくらい知っている。


「だからぁぁ! 俺は精霊なんざいらねぇって!」

「必殺技とか、欲しいんだろ?」

ノエルの紅い宝石のような瞳がきらりっと光った。


「必殺技……?」

モルフェはぼうっとしながらその言葉を噛みしめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] モルフェ落ち込まずにがんばれ! ノエルどんな必殺技が欲しいだ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ