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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(12)タルザール編 気になるアイツは新興国

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レインハルトの覚悟

月曜日に元気出そうキャンペーンで、今日は二回更新しやす。

「父上……」

「そうだ。その手を引いてくれ。言うことをきくんだ」


催眠をかけるようなリーヴの低い声にレインハルトがゆらりと腕を動かす。


「そうだ。いいぞ。そこに跪け」

「レイン! そいつは偽物だ……むぐっ!」


リーヴは片手でノエルの口を塞いだ。


「んー!」

「ごめんなぁ。これ、一人用なんや。ノエルはちょっと待っとってな。順番や」


リーヴは小声で耳打ちすると、崩れるように膝をついたレインハルトの前に堂々と立った。


絶対的な君主のようだ。


周りを従えることを当然に思う人間がいる。


カリスマというやつだ。


善や悪ではなく、当人はそうなるべくして権力者になっているのだ。


リーヴはそのような、権力者たる権力者だった。


ノエルは空気を吸うようにレインハルトを跪かせたリーヴを見ながら、リーヴが並々ならぬ者であることを察した。


(リーヴ、まるで王様みてぇだ。こんなの、街の酒屋の主人っていうか、それよりもまるで、まるで……)



リーヴはレインハルトの金糸の髪を見下ろしながら、何でもないことのように言った。


「ほな、洗いざらい喋ってもらおか。君のお姫様返すんはその後や。まずは名前から……」


絶体絶命だ。

口も塞がれているから詠唱はできない。


(どうする!? 無詠唱で攻撃魔法を発動させるか……? でも、何が起こるか分からない。俺はまだ力を使いこなせてないから、もし、前みたいに暴発でもしたら……)


狭い裏路地。


つい砂漠に意図せず山脈を現出させてしまった、先日のやらかしが思い返される。


ここで膨大な魔力の魔法が暴発したら、密集した小さな建物など全壊するだろう。


(どうする……どうすれば)


だけど、レインハルトを守らなければ。


失った家族の思い出の傷。

そこに塩を塗ることだけは避けなければならない。


無詠唱でのファイアにノエルが踏み切ろうとした、その瞬間だった。



「あ゛……?」

不思議そうにリーヴが呟いた。

何が起こったか分からないといった感じだった。


ブシュッと飛んだ赤黒い液体が、バタバタッと地面に落ちた。


細かい花びらのように縁をギザギザにさせた赤い水滴が、ノエルの足元にも降り掛かった。


ノエルの口を塞いでいたリーヴの腕が離れた。


裏路地の陰の多い地面の砂の上、激しく飛んだ血が石粒を真っ赤に染めあげている。


「言ったぞ、次は斬ると」


レインハルトは膝をついたまま血のついた矢を持っていた。

低い姿勢のままで、レインハルトは目にも止まらない早業で、リーヴの足元を切りつけたのだ。


レインハルトは息も荒げずに言った。

「ノエル様の命令を守るのは骨が折れますね。殺さないように攻撃するなんて」


リーヴが地面に尻をついた。

ノエルは弾かれたように走った。

レインの隣にいけば、ひとまずは距離がとれる。


リーヴが信じられないように、斬りつけられた己の足を見ている。ズボンの布が剥がれ、足の傷口が見えていた。

これが腹ならば、致命傷になったに違いない。


レインハルトは剣のような持ち方でエルフの弓矢を持っていた。矢じりの先からは、細い刃のように青白い炎が吹き出ている。


(炎の……刃?)


「ずいぶん使いにくいですが、威力はありましたね」

と、レインハルトは言った。


今このときも、リーヴの足からは血液が出続けている。ノエルはきゅっと唇を引き結んだ。

敵の怪我など心配してはいけない。


「お前、なんで……幻覚は」

リーヴが、初めて苦しげな顔をした。


「幻覚は鮮明に見えた。だが、ノエル様に危害を加えるなら、実の父でも俺は斬る」


「くそ……この女好きめ」


(それはお前だろ!?)

と、ノエルは思ったが、レインハルトは涼しい顔で言った。


「女が好きなのではない。俺は俺の主に忠誠を誓っているだけだ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 「女が好きなのではない。俺は俺の主に忠誠を誓っているだけだ」きゃ~レインハルトさま~かっこいい!
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