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おっさん令嬢 ~元おっさん刑事のTS伯爵令嬢は第2王子に婚約破棄と国外追放されたので、天下を治めて大陸の覇王となる~  作者: 丹空 舞
(8)レヴィアスの拠点造り おかえり!令嬢のカラダ 

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ノレモルーナ城での作戦会議(ゲロダセェな!)

それから数日後。



「じゃあーん!」

嬉しそうなルーナが看板に顔を寄せて微笑んだ。

「どうですか? けっこう自信作です」




ノエルたちの『拠点』の玄関口に深々と突き刺さった木の看板には、こう書いてあった。



「ノレモルーナの城」



ノエルたちの『拠点』は、かつての元・騎士団の寮から大きく変貌していた。

確かに、これはもはや城である。

そこに関してはノエルは納得していた。だが――。


「ねえ、ルーナ。この、『ノレモルーナ』っていうのは……」

「ふふ、私たち4人の名前からとったんです」


レインハルトが

「ああ、なるほど」

と納得した。

「つまり、ノエル・レインハルト・モルフェ・ルーナの4人の名前の一部分をつなぎ合わせたということですね」


ノエルとしては、城の名称など何でもよかった。

だから、ルーナに『適当になんか……名前つけてよ。看板作って』と発注したのだ。レインハルトもこだわりはないようで、

「それにしても大きな一枚板ですねぇ」

と、名称よりも看板自体に興味を示している。


しかし、一名だけ様相の異なる者がいた。


「ゲッ……」

何か言葉を飲み込んだ様子のモルフェである。


「げ?」

ルーナがきらきらした目でモルフェを見る。


モルフェは案外にもアニキ肌のようで、年下の少女のルーナには優しくありたいと思っている節がある。昔はスラムに住んでいたこともあると話していたから、妹のように可愛がった存在もかつてはいたのかもしれない。


しかし、現在の『妹』分のルーナには、翻弄されっぱなしのようだ。


「げって何ですか?」

「いや、その……なんだ」


ルーナの大きな瞳がしぱしぱっと瞬く。

そして少しの間の後、


「あ……もしかして、お気に召しませんでしたか?」


と、ルーナは熊耳をしゅんと萎びさせた。

モルフェが見るからに慌てる。


「ゲ……現実的。なんつーか、現実的だ、と言いたかった」


(おい! モルフェ、厳しいぞ! それはかなり言い訳としてはレベルが低い!)


ノエルは内心突っ込みたかった。

おそらく、『ゲロ面倒くせぇ』とか『ゲロダセェ』とか、まあそんなような言葉が口をつきそうになったのだろう。


レインハルトが金の前髪を指先でかき分けながら、優美に微笑んだ。

「モルフェが無い知恵を絞っている姿を見るのは心底愉快ですね」


(俺はお前のそういう腹黒いところがちょっと怖いんだけどな……)

とノエルは思いながら、曖昧に微笑み返した。

ここは黙っておくのが吉だと判断したのだった。


「ノエル様、もしや俺のことを腹黒いとか陰険だとか思ってやしませんか」

「俺ってサトラレなの!?」

「なんですかそのサトラレというのは」

「いや……昔流行ったんだよ、思っていることが全部周りの人に筒抜けになるっていう……」

「周りの人間はともかく、俺はノエル様のことならお顔を見なくてもたいてい分かりますよ」

「え、こっわ……」


凄腕の占い師、もしくは精度の高いコンピューターのようなレインの発言に、ノエルは思わず自分の肩を両手で抱きすくめた。


看板を確認した一行は、館の中を歩いて移動した。

今日は作戦会議の日だ。


ルーナの名付けのセンスはともかく、『ノレモルーナ城』の内部は荘厳だった。レインハルトの元王族の貴族的センスと、モルフェの魔法の力が結集し、この館は優美でありながら実用的な空間に進化を遂げていた。


壮大な大理石の柱が天井までそびえ立ち、壁には彫刻されたレリーフが装飾されている。室内には優雅な家具が配置され、一つ一つに植物をモチーフにした美しい飾りが配置されている。


建物の外側には、ジャバウォックの素材の一部も使用されていた。

堅牢な鱗は城壁の一部に加工され、光景の勇壮さを一段と強めている。


「あのさ、確かにすごいんだけど、レインもモルフェもさ、一個きいていいか?」

「なんなりと、どうぞ」

「俺たちたったの4人なのに、なんでこんな、超豪華な城なんだ? 広すぎない? いや、だって……このシャンデリアみたいなやつとかさ……いる?」


「要ります」

とレインハルト。


「飾りでも付けとかねーと、ナメられるだろーが」

というのはモルフェ。


こういうところだけ無駄にチームワークがいい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 『ノレモルーナ城』えらいもんを作ったもんだ!! よその国からちょっかいが来たりして・・
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