宙からの侵略者
それは突如として宙に現れた。
その形状も動き方も何もかもがあまりに異質だった。我らの知る理の外にあると感じた。
最初のうちは老若男女問わず騒いでいたが、どうすることもできない、どうする必要もないと分かると次第に無視するようになった。宙の何もしない物体よりも食料問題、環境問題、外交問題など我々には喫緊の課題があるのだ。
しかし、そのような問題を気にしない者もいる、子どもたちだ。子どもたちは相も変わらずアレを観察している。アレも子どもたちを観察しているように思えた。そんな日常が続くかと思えたある日のこと、急にアレが降下すると子どもの命を奪ったのだ!
こうなると話は変わる。危険な存在だと分かった途端、また大騒ぎになった。すぐに臨戦態勢が整い、ボスが開戦を告げると総攻撃が始まった。戦いは苛烈を極め、多くの被害を出しながらも勝利することができた。
「クソ、未開のサル共め!」
探査機は破壊されてしまった。いや、問題はそれだけではない。事故とは言え保護区で死傷者を出したとなるとタダでは済まない。何とか言い訳を考えねば。しかし、うまい言い訳を考える間もなく追及が始まった。
「これはいったいどういうことかね?」
「事故であります」
「観察対象に近づきすぎたのではないかね?」
「あまりに興味深かったためつい」
「保護区の調査は政府の許可が必要なのだ。あのようなことがあれば調査は続けられないのだぞ」
「わかっております」
「まったく、ドローンの操縦を誤り、チンパンジーにぶつけて死なせるなど前代未聞だ!」