第八十一話 成長の証(中編)
---主人公視点---
アストロスのスキル割り振りの番ね。
さてさて、どうしようかしら?
アストロスは魔法剣士。
攻防のバランスは取れているけど、
特化した能力がないのも事実。
だからどの分野を成長させるかが重要になるわね。
「それでアストロス、貴方はどのように自分を成長させたいの?」
するとアストロスは、
右手の指を自分の顎に当てながら、自分の意見を述べ始めた。
「そうですね、自分を卑下する訳ではないですが、
私は剣術ではお嬢様に劣り、魔法ではエイシルに劣ります。
またジェインのように色んな事が出来る訳ではないです」
「まあそうね」
「ですのでここはスキルポイントを
魔法剣士のパッシブ・スキル『マジック・フォース』に
全振りして、とある職業能力を習得したいと想います」
「とある能力? それはどんな能力かしら?」
「『魔封陣』という職業能力です。
この能力を使えば、
敵味方の関係なく周囲の魔力を一気に吸収する事が可能です。
この能力は使いようによって、戦術の幅がかなり広まります」
「……確かにそうね」
「成る程、確かに凄い能力ですね」
「ウン、オイラもそう思うよ」
私の言葉にエイシルとジェインも賛同する。
そうね、ここはアストロスの言うとおりにすべきね。
『魔封陣』があれば、今後の戦いが楽になるわ」
「分かったわ、じゃあ貴方の好きにすれば良いわ」
「はい、それでは早速ポイントを全振りします」
アストロスはそう言って、指を動かして自分の冒険者の証を操作する。
「……全部振りました、『常時・力+40』と『常時・知力+40』も習得。
それと『魔封陣』も無事に習得しました」
「そう、それは良かったわ。
それじゃ貴方の全ステータスとスキル表を見せて頂戴」
「はい、こちらをご覧下さい」
「どれどれ……」
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名前:アストロス・レイライム
種族:ヒューマン♂
職業:魔法剣士レベル35
能力値
力 :563/10000
耐久力 :780/10000
器用さ :504/10000
敏捷 :887/10000
知力 :459/10000
魔力 :1338/10000
攻撃魔力:705/10000
回復魔力:261/10000
※他職のパッシブ・スキル込み
魔法 :各種エンチャント、アクセル、フライ
ウインドカッター、ワールウインド、
ブレードカッター、アイスバルカン、
ウォーター、アクア・スプラッシュ、シューティング・ブリザード
スキル :結界、対魔結界、魔法剣、
魔力パサー、魔力吸収、
武器スキル:ピアシング・ドライバー、ヴォーパル・ドライバー
ダブル・ドライバー、トリプル・ドライバー、
クロス・スラッシュ、プロセクション・ドライバー
能力 :属性強化、属性変化、属性破壊、魔封陣
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「いい感じね、全体的にステータスが強化されたわね」
「ええ、全体的なバランスが良いと思います」
と、エイシル。
「うん、うん、オイラもそう思うよ」
「ありがとうございます。
とりあえず自分に関してはこれで終わりです」
「そうね、じゃあ次は誰にしましょうかしら!」
「ハイ、ハイ! 次はオイラがやるよん!」
ジェインが右手を上げながら、そう言う。
そうね、ここはとりあえずジェインから先にしましょうか。
とはいえジェインの職業ハイ・レンジャーは、
色んな事が出来るけど、器用貧乏になりがちなのも事実。
「ジェイン、貴方は何の能力を上げたいの?」
「そうだねえ、オイラは小柄な獣人だから、
接近戦、武器スキルも魔法スキルもヒューマンみたいな大きい相手には、
あまり通用しないワン。 だからこの辺を上げてもあまり意味ないのね。
その代わりに皆を守れる能力が欲しいワン」
「皆を守れる能力?
それはどんな能力かしら?」
「ハイ・レンジャーの職業能力『ガーディアン・ミスト』だよ。
この能力は、一度だけなら敵の状態異常系攻撃、
魔法を防ぐ事が出来るんだよ。 なかなか便利な(アビリティ)でしょ?」
「そうね、確かに便利な(アビリティ)だわ」
「ウン、だからオイラもハイ・レンジャーのパッシブ・スキル『サバイバル』に
全40ポイントを全振りするよ、そうすれば『ガーディアン・ミスト』を習得できるよ!」
……そうね。
ここはジェイン一人の技や能力を上げるより、
パーティ戦を想定した能力を上げる方が良さそうね。
「振ったよ、『常時・器用さ+40』と『常時・敏捷+40』を習得したよん。
後、『ガーディアン・ミスト』もちゃんと覚えたよん」
「そう、それじゃジェイン、全ステータスとスキル表を見せてもらえるかした?」
「うん、いいよ」
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名前:ジェイン・ステアーズ
種族:犬族♂
職業:ハイ・レンジャー レベル37
能力値
力 :185/10000
耐久力 :270/10000
器用さ :931/10000
敏捷 :1724/10000
知力 :461/10000
魔力 :1507/10000
攻撃魔力:876/10000
回復魔力:1314/10000
※他職のパッシブ・スキル込み
魔法 :ヒール、ハイヒール
キュア、キュアライト、アクセル、フライ
ストーン、ストーンシャワー、アースハンド、
ウォーター、アクア・スプラッシュ、アイスバルカン
サイコキネシス、テレパシー、サイキック・ウェーブ
スキル :結界、対魔結界、トラップ解除、
トラップ発動、ピッキング、軌道変化、
投擲命中アップ、射撃命中アップ、スリング・ショット
武器スキル:トマホーク、ハイパートマホーク、
ブーメラン・トマホーク、スマッシュ、
ダブル・スマッシュ、クロス・スマッシュ
クイック・ショット、ダブル・ショット、
スナイパー・ショット、クイック・スロー、
アイス・スロー、パワフル・カッター
能力 :精霊召喚、魔力探査、
調教、ガーディアン・ミスト
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「うん、良い感じじゃない」
「そう?」
「ええ、ボクも良いと思います。
ジェインちゃんは色々出来るのね」
「うん、でも器用貧乏になりがちだけどね」
「それは私も同じさ」
と、アストロス。
まあこれでジェインも無事に成長したわね。
残りはエイシルだけね。
「次はボクですね」
「ええ、でも少し休憩しましょう。
この作業は意外と頭を使うからね。
今のうちにお手洗いへ行くか、
何か欲しいものがあれば注文していいわよ」
「んじゃオイラ、干し肉が欲しいワン」
「いいわよ、注文しても!」
「やったぁ、ウェイトレスのお姉さん!」
「はい、何でしょうか?」
「干し肉の盛り合わせ一皿頂戴」
「はい、畏まりました」
ふふふ、ジェインも意外と食い意地張ってるのね。
そして私はコップに入ったオレンジジュースに口をつける。
うん、悪くない味ね。
でもこれ以上何かを食べると、太りそうだから我慢するわ。
戦乙女も普通に太るからね。
この辺に関しては、良くも悪くも他の人間と同じね。
次回の更新は2023年6月18日(日)の予定です。
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