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第七十話 リーファ対野蛮人(前編)


---三人称視点---


「なんだ、小娘。 まさか貴様がこの俺と戦うつもりか?」


 眼前に立つラング将軍が冷笑を投げかけてきた。

 だがリーファは挑発に乗る事なく、自分のペースを崩さない。


「そのまさかよ、そして私は只の小娘ではないわ。

 私は戦乙女ヴァルキュリア、アスカンテレスの戦乙女ヴァルキュリアよ!」


「何っ? 貴様が戦乙女ヴァルキュリアだとっ!?

 ……だが確かに発せられる闘気オーラと魔力は

 一見緩やかだが、所々に鋭気が漂っている。 ふむ……」


「帝国の将軍とあろうものがまさか小娘から逃げないわよね?」


「ふんっ、成る程、貴様がベルナドットやネイラールを倒したのか。

 だが頷けなくもない。 確かに貴様は強い、だが俺はもっと強い!

 良かろう、小娘。 貴様の名を聞いておこう」


「……リーファよ、リーファ・フォルナイゼン!」


戦乙女ヴァルキュリアリーファよ、俺は帝国将軍ヴィクトール・ラングだ!

 俺はベルナドットやネイラールとは違うぞ!

 その事をその身体に叩き込んでくれようっ!

 ライオネル、この小娘を分析アナライズせよっ!」


 ラングがそう言うと、

 霊体化していたラングの守護聖獣ライオネルが実体化して、

 リーファの能力値ステータスの分析を行った。


「御意。 ――分析アナライズ開始!」


「――我が守護聖獣ランディよ。 

 我の元に顕現せよっ!!」


 リーファもそう叫んで、自分の守護聖獣を召喚した。

 すると彼女の足下に守護聖獣のランディが現れた。

 ラングの能力値ステータスは、先程の戦いで

 遠くから分析を行っていたので、この場で再分析する事は避けた。


「ランディ、行くわよ! 『ソウル・リンク』ッ!!」


「了解、リンク・スタートォッ!!」


 最初から全力で攻めるべく、リーファは『ソウル・リンク』を発動させた。

 そしてリーファとランディの魔力が混ざり合い、

 リーファの能力値ステータスと魔力が急激に跳ね上がる。


「……ラング殿。 この娘とてつもなく強いぞ。  

 総合力では貴方の方より上かもしれない。 

 だから細心の注意を払って戦ってくだされ!」


「何? 総合力では俺より上だと!?」


 分析を終えたライオネルの言葉にラングがいきり立つ。

 そしてラングとライオネルの意識が共有化されて、

 リーファの能力値の数値が露わになった。


---------



 名前:リーファ・フォルナイゼン

 種族:ヒューマン♀


 職業:戦乙女ヴァルキュリアレベル38



 能力値パラメーター



 力   :1405/10000

 耐久力 :2110/10000

 器用さ :985/10000

 敏捷  :1623/10000

 知力  :2202/10000

 魔力  :3696/10000

 攻撃魔力:2200/10000

 回復魔力:2242/10000


 ※「ソウル・リンク」で能力値パラメーター強化中


---------


「ほう、確かに凄い能力値パラメーターだ。

 どうやら貴様が戦乙女ヴァルキュリアというのは事実のようだな。

 良かろう、ならばこの俺が貴様の相手をしてやろう!」


「……戦いの前に一つお願いがあるわ」


「……何だ?」


「チェンバレン総長の遺体をこの場から運び出したいのよ。

 彼の遺体をこれ以上傷つけたくないわ」


「……そうだな、それは許可しよう」


「ありがとう、じゃあ教会騎士の皆さん。

 チェンバレン総長のご遺体をお運びください」


「は、はいっ!!」


 リーファに言われるまま、

 周囲の教会騎士が亡き総長の遺体を運び出した。

 すると大橋の中央部には、リーファとラングだけが残された。


「さて準備も整ったわね。

 後は封印結界を張るだけだわ。

 ……ラング将軍、封印結界は私が張って良いかしら?」


「……そうだな、そうするが良いっ!」


「……ありがとう」


 ――これはチャンスだわ。

 ――このラング相手に真っ向勝負は厳しいわ。

 ――だからこの場は戦闘フィールドは大きめにするべきよ。


 この大橋は全長250メーレル(約250メートル)、幅五メーレル(約五メートル)。

 ここは戦闘フィールドを広くすべきだわ。

 縦横だけではなく、高さも高く設定すべきね。

 リーファはそう思いながら、封印結界の呪文を詠唱し始めた。


「我は汝、汝は我。 嗚呼、母なる大地ハイルローガンよ! 

 我が願いを叶えたまえっ! 『封印結界』ッ!!」


 リーファがそう呪文を唱えると、

 大橋の周囲がドーム状の透明な結界で覆われた。

 黄昏色の夕空に照らされて、透明な結界が黄昏色に染め上げられる。


 そしてリーファとラングを閉じ込めるように、ドーム状の結界が広がった。

 縦と横の広さも程良く、高さも充分にある。

 これならばお互いに結界内でも充分に戦う事が可能であろう。


「ふむ、それでは結界の強さを確認させてもらおう」


 ラングはそう言って、周囲を覆う透明な結界に近いて、右手で触れた。

 するとラングの右手がビリッと痺れて、結界に強く弾かれた。


「……これならば周囲の邪魔が入る事はなさそうだな。

 良かろう、貴様を倒してこの結界を解いてみせよう。

 ならば俺も手加減はせぬっ!! はあああぁっ!!」


 ラングはそう言って雄叫びを上げた。

 そしてラングは「ソウル・リンク」を発動する。


「ライオネル、『ソウル・リンク』だぁッ!!」


「御意、リンク・スタートォッ!!」


 そしてラングと守護聖獣の魔力が混ざり合い、

 ラングの能力値ステータスと魔力が急激に跳ね上がる。

 

「これでお互いに条件は互角だな。 

 だが俺は負けるつもりはない、帝国将軍の力を思い知るがいい!」


 ラングは手にした漆黒の戦斧の柄を両手で握り締めて構える。

 対するリーファは、左手に「幻魔の盾」を持ち、

 右手には聖剣を構えながら、摺り足で間合いを詰めた。


 ――さあて、この野蛮人相手にどう戦おうかしら?

 ――これは骨が折れる戦いになりそうね。

 ――でも私も負けるつもりはない、必ず勝って見せるわ!



---主人公視点---



 相手の、ラングの能力値ステータスはかなり数値だわ。

 だからここはまず私自身の能力値ステータスを強化するわ!


「『能力覚醒』っ!!」


 私はここで職業能力ジョブ・アビリティ・『能力覚醒』を発動。

 これで五分間は私の能力値ステータスの数値が倍となった。

 でも蓄積時間チャージ・タイムが十分間あるから、

 この五分間でラングの戦い方を見極める必要があるわ。


 相手は強靱な肉体と精神の持ち主。

 それに加えて身体能力が非常に高い。

 故にこの男相手に剣で接近戦を挑むのは愚策だわ。


 ラングの職業ジョブ攻撃役アタッカー狂戦士ベルセルク

 近接戦闘のスペシャリストであるのは間違いないでしょうけど、

 魔法力や魔法防御は、それ程高くはないと思うわ。


 ならばここは中距離及び遠距離からの魔法攻撃で攻めるべきね。

 とすればここで「魔力覚醒」を使いたいところだけど、

 長期戦になる可能性もあるので、ここは「魔力覚醒」を温存するわ。

 代わりに「戦乙女ヴァルキュリアの祝福」を使って、自身を強化するわ。


「女神サーラよ、我に祝福を与えたまえ! 

 ――『戦乙女ヴァルキュリアの祝福』っ!!」


 私がスキルを発動すると、

 目映い光が私の身体に降り注がれた。

 これによって私の力と耐久力、敏捷性の能力値ステータスが強化された。

 更には『自動再生リジェネ』の効果も発動した。


 よし、これで戦いの準備は整ったわ。

 そこで私は左手に持った「幻魔の盾」を背中に背負い、

 右手に戦乙女ヴァルキュリアの剣(ソード)を構えながら、

 中間距離を保ちながら、前方のラング将軍を見据えた。


「帝国将軍ラングよ! 戦乙女ヴァルキュリアの力を見せてくれよう!」


「嗚呼、何処からでもかかって来るが良い!」


 ……よし、これで準備は整った。

 後は魔法戦でこの男を追い詰める。

 私は軽く喉を鳴らせながら、全身から魔力を解放する。


 さあ、ここからは気を抜けない戦いになるわ。

 でも私も負けるつもりはない。

 私は戦乙女ヴァルキュリア

 だから周囲の期待に応える為にも勝ち続けるしかないのよ!


次回の更新は2023年5月24日(水)の予定です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] リーファとラングの戦いが始まりますね。 念入りに準備したリーファがどう戦うのか楽しみです。
[良い点] いいところで終わりましたね。 総長のご遺体にも敬意を払えるリーファはやっぱり素敵です。 それよりもバーサーカーや狂戦士と呼ばれる職業は気を付けないとですよね…… 何度様々な作品で彼らに蹂躙…
[一言] 更新お疲れ様です。 ついに始まった、リーファvsラング。 総長の仇を取れるのか! 高さをとったので、フライで上から攻撃するのですかね。
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