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第二百八話 女神と再会(前編)


---主人公視点---


 意識が回復した時、私は真っ白な空間に居た。

 ここは何処? 死後の世界? それとも天国? 

 よく見ると視界の中央に誰かの姿が見えた。

 段々と視界がクリアになり、その姿が顕わになる。


「お久しぶりです、リーファ・フォルナイゼンさん」


 唐突に眼前の美女がそう語りかけてきた。 

 艶やかなプラチナシルバーのロングヘア。

 眉目秀麗、手足も長くて、

 胸も大きいという完璧なプロポーション。

 そしてその美女は、露出の多い水色の羽衣に身を包んでいた。


 こうして会うのは、これで二度目ね。 

 私はその妙齢の美女を見据えながら、こう言った。


「……久しぶりね、女神サーラ」


「ええ、このように貴方と対面出来る機会は滅多にありません」


「そうでしょうね、それで私は死んだの?」


「いえ死んではいません。

 体調の方は問題ありません。

 ただし精神の方が少し不安定になってます」


「そう、まだ死んでいないのね。

 それならば良かったわ」


「……こうして私と再会した事に疑問は感じないのですか?」


 ……。

 勿論、感じるわ。

 でもこの世界では私の考えは、この女神に筒抜けだし、

 変な駆け引きもする気はないわ。


「……私に聞きたい事が色々あるんじゃないでしょうか?」


「あると言えばあるわ。

 でも私の問いに貴方が素直に答えるとは限らないでしょう?」


「確かに答えられない類いの質問はありますが、

 私が答えられる範囲の事ならお教えしますよ」


「まだるっこしいわね。

 貴方は私をこの世界に呼び込んで何がしたいわけ?

 女神サーラ……を演じる誰かさん」


「……私は正真正銘、女神サーラですよ?」


「そうかもしれないわね。

 でも女神サーラという存在が誰かが演じるもの。

 という風にも考えられるわ」


「どうやら現世で私に関する知識を得たようですね」


 ……。

 なんかこの女神と喋ってるとペースが狂うわ。

 でも折角の機会だから、

 ここは思った事をそのまま伝えてみましょうか。


「まあ貴方に対して思う事は多々とあるけど、

 とりあえず今はそれは置いておくわ。

 それで私をこの世界に呼んで何するつもり?」


「そうですね、私も貴方相手に、

 下手な芝居を打つのは止めておきます。

 なので貴方の問いに端的に答えます。

 戦乙女ヴァルキュリアリーファさん、貴方にもう一度私と契約を交わす機会を与えます」


「契約を交わす機会?

 つまり私が何かの対価を払い、

 また新たな力や能力を得る機会が与えられる訳?」


「そうです」


「……貴方の真の狙いは何?」


「真の狙い? どういう意味でしょうか?」


「とぼけないで! 貴方が只の厚意で私を呼ぶ訳ないでしょ?

 私に契約を結ばせて、何をさせるつもりなの?」


「そうですね、ではその質問にお答えします。

 それは私の予想に反して、

 戦乙女ヴァルキュリア漆黒ブラックの戦女(・ヴァルキリー)が同時に、

 現世に降臨した事で、このアストラル界にも大きな影響を及ぼしているのです」


「アストラル界?

 それがこの世界の総称なの?」


 確かアストラル界は思考、記憶、精神エネルギーが集う世界。

 サーラ教に関する学校の授業で、

 そのように習った記憶があるわ.

 要するに今の私は、魂だけとなった状態で、

 この世界に接触しているという訳ね。


「流石は聡明な現代の戦乙女ヴァルキュリア

 ある程度は貴方の考えが正しいです」


「……お世辞はいいわ。 マリーダは漆黒ブラックの戦女(・ヴァルキリー)になる為、

 暗黒神アーディンと契約したと言ってたわ。

 恐らく彼女はその時に大きな対価を払ったでしょう。

 それによって、このアストラル界のバランスの均衡が崩れ始めた。

 ……という訳かしら?」


「……よくお分かりになりますわね」


「そうね、こうして貴方と再会した事自体が

 何かの意味があると考えたら、

 そういう結論になる、という感じかしら?

 それで私に再び契約を結ばせる腹づもりなのね?」


「……いえあくまでそういった可能性もある。 

 といったお話で強制的に契約させる訳じゃありませんよ」


「そう、なら端的に云うわ。

 私は今後も貴方と再び契約を交わす事はないわ」


「そうですか……」


「そうよ、というか契約を結んだ時点で、

 私はまた何らかの縛りを受ける事になるでしょ?

 そんなのはまっぴら御免よ」


「貴方のその考えは尊重致します」


 ……。

 この女神に裏がある事は間違いない。 

 あの王城エルシャインで観た三百年前の戦乙女ヴァルキュリアの肖像画。


 恐らくあの人物と目の前の女神は同一人物よ。

 そう考えると、色々と話の辻褄が合う。

 こう考えていても、この女神には筒抜けなのよね。


 ……良い機会だわ。

 この際、今までの不満や文句を言ってやるわ。


「というか酷いじゃない!」


「……何がですか?」


戦乙女ヴァルキュリアになったら、

 生り……月のものが止まるなんて話は、

 聞いてなかったわよ!」


「……確かに説明不足でしたわ。

 でも何かの力を得るには、

 何かの対価を払う、当然の事じゃないですか?」


 ……カチン。

 この女、開き直ったわね。

 正直、罵倒してやりたい気分だわ。


 でもこの世界でこの女とやり合っても分が悪いわね。

 ……ここは私心を捨てましょう。

 そしてこの女から引き出せるだけ情報を引き出すわ。


「相変わらず気持ちの切り替えが早いですわね。

 私は貴方のそういうところ、好きですよ?」


「……それはどうも」


「では契約するか、別にして私の話を聞いて頂けるかしら?」


「ええ、よくってよ」


 ……。

 とりあえず自分が置かれている状況。

 それと現世とこのアストラル界がどう関与しているか、

 ここは素直に耳を傾けて、女神サーラの話を聞くわ。


次回の更新は2024年4月6日(土)の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 唐突な女神サーラとの邂逅。 ですが、初の敗北によりリーファのメンタルが弱っているのも事実ですね。 さて、戦乙女の類の伏線が回収されるでしょうか。 色々、疑問点は多いで…
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