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第二百話 盟友達の奮闘(前編)


---三人称視点---



「トリプル・ドライバーッ!!」


「う、うわあああぁぁぁっっ!!」


 アストロスは属性強化を使い、

 その上で魔法剣を発動させて、

 眼前の帝国兵に三連撃を喰らわせた。


「フウゥッ……これで十人以上倒したね。

 アストロスくんも意外とやるだワン」


「私はお嬢様の護衛役も兼ねているからね。

 だが敵はまだまだ居る状態だ。

 だからジェインもロミーナも気を抜くなっ!」


「了解だワン」


「了解だわさっ!」


「嗚呼、戦いはまだ始まったばかりだ。

 それじゃ行くぞ。 チェンジ・オブ・フォースッ! 

 フォース・オブ・ファイアァッ!」


 そう言って、アストロスは魔法剣の属性をチェンジする。

 長剣に覆われた光が綺麗に消えた。

 それと同時に今度は炎がアストロスのミスリルソードを覆う。


「怯むな、怯むなァッ!!

 相手は戦乙女ヴァルキュリアじゃなくて、その盟友に過ぎぬ。

 奴の使っているスキルや魔法も魔法剣士のものだ」


「そうですね、レベルを見たところ37です。

 レベル37の魔法剣士ならば、そこまで警戒する相手じゃない」


「そうだ、その通りだ。

 残りの獣人二匹もレベル38のハイ・レンジャー。

 それと同じくレベル37の聖弓兵ホーリーアーチャーだ。

 相手は獣人、体力面では我等が勝っている」


「よし、皆、覚悟を決めて攻めるぞ!」


「おうっ!」


 そう言葉を交わして、眼前の帝国兵は武器を構えた。

 

「――ハイパー・トマホークッ!」


「なっ……ぎゃあああぁぁぁっ!!」


 そこで間髪入れず、ジェインが銀製の手斧を投擲した。

 投擲された銀製の手斧が眼前の帝国兵の喉元に命中する。


「あたしも続くだわさ1 ――パワフル・カッターッ!!」


 今度はロミーナが聖木のブーメランを投擲する。

 ヒュンと風を切って、聖木のブーメランが帝国兵の喉笛を

 綺麗に切り裂いて、大きく弧を描きながら、ロミーナの手元に戻った。

 ロミーナはそのブーメランを左手で綺麗にキャッチする。


「獣人だと思って、舐めていると痛い目にあうよ!」


「そうだワン、オイラ達は戦乙女ヴァルキュリアの盟友。

 お前等とは潜ってきた修羅場が違うだワン!」


 彼等の言う事は事実ではあったが、

 半分以上はハッタリでもあった。

 勿論、アストロス達もそれなりの実力者である。

 

 だが彼等はあくまでリーファのサポート役。

 個人個人の戦闘力は、それなりに高いが、

 一人で何十人も相手を出来るほどではなかった。


 だが今はリーファが倒れた状態。

 なので彼等もいつも以上に気合いが入っていた。

 ここで彼等が敗れると、リーファの身が危ない。


 アストロスもジェイン、ロミーナもその事をよく理解している。

 だから多少、虚勢を張ってでも自分自身を奮い立たせようとしていた。

 しかし帝国兵も戦乙女ヴァルキュリアが敗れた事で、士気が上がっていた。


「俺達も百戦錬磨の帝国兵だぁっ!

 戦乙女ヴァルキュリア本人ならともかく、

 その子分なんかに恐れなどしないわっ!

 皆、一対一の戦いは避けて、多対一で挑むんだぁっ!」


「そうだな、相手はたかだが一人と二匹。

 まずはあの優男の魔法剣士から倒すぞ!」


「おう!」


 漆黒の甲冑に漆黒の大剣や戦斧を構えた帝国兵。

 多対一で挑まれ続けたら、

 いずれアストロスも体力と魔力を消耗して負けるであろう。

 だがそうなる前にロミーナが先手を打った。


「行くださわ! ――クエイクッ!!」


 ロミーナは咄嗟に上級土魔法を唱えた。

 すると帝国兵達が立った地面が激しく揺れだした。

 

「う、うおっ……な、何だぁっ!?」


「お、落ち着け! 土魔法のクエイクだろう!」


 地面が激しく揺れる中、

 帝国兵達も落ち着きを取り戻そうと試みる。

 だがロミーナからすれば、絶好の攻撃のチャンス。

 故に彼女は更に魔法攻撃を仕掛けた。


「――我は汝、汝は我! 聖なる大地ハイルローガンよ。 

 我に力を与えたまえ! 『サイキック・ウェーブ』」


 ロミーナは今度は念動魔法を放った。

 強力な念動波が放たれて、

 前方で慌てふためく帝国兵に命中。


「が、が、がぎゃあああっ!!」


 強力な念動波が命中するなり、

 直撃を受けた帝国兵は、

 両眼と両耳から血を流して、力なく地面に転がった。

 今の一連の攻撃で22人の帝国兵を倒す事に成功。


「なっ……あっという間に味方がやられたぞ!」


彼奴あいつ等、想像以上に強いぞ!

 戦乙女ヴァルキュリアの盟友という称号は伊達じゃないぞ!」


 アストロス達の奮戦によって、

 帝国兵達も迂闊には動けない状態になる。

 だが中隊長を務めていたルッツ隊長が――


「狼狽えるな! 相手の戦力は三人と他の連合軍兵士。

 あの魔法剣士が基本的に攻撃役アタッカー

 残りの獣人がサポート兼魔法を使うスタイルだ。

 だがあの獣人二匹の魔法力は、精々上級から英雄級程度だ。

 こちらの魔導師で攻撃及びレジストすれば何とかなる!」


 中隊長ルッツの言葉で周囲の帝国兵も落ち着きを取り戻した。

 そして攻撃役アタッカー二人に魔導師及び回復役ヒーラー

 といった具合に三人一組の陣形を組み始めた。


「マズいわね。 あたしとジェインの魔法力じゃ

 生粋の魔導師には勝てないわ。

 とはいえ安易に敵を近づかせるわけにもいかないわ」


 と、ロミーナ。


「そうだね、とりあえずオイラとロミーナは、

 魔法をいつでも撃てる状態を保ちつつ、

 アストロスくんの支援をするだワン」


「そうね、それに周囲の味方も加勢してくれるでしょう」


 そう言ってロミーナが周囲の連合軍兵士に視線を送る。

 どうやら彼等も落ち着きを取り戻したようだ。

 前衛役は武器を構え、

 魔導師と回復役ヒーラーが杖や錫杖を構えていた。


「そうだな、盟友ばかりに任せてはいられない。

 我等も誇りある連合軍の兵士。

 皆、彼等に加勢して、共に帝国軍と戦うぞ!」


「おうっ!」


「はいっ!」


「そうだわさ、あたし等全員で帝国兵を叩くわよ!」


 ロミーナがそう言うと、連合軍の兵士達も前へ歩み出た。

 こうして連合軍の兵士達もアストロス達に加勢して、

 マリアーテ草原の戦いは、最終局面に差し掛かろうとしていた。


次回の更新は2024年3月17日(日)の予定です。


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