第百八十二話 成長の為に(前編)
---三人称視点---
聖歴1757年2月18日。
リーファ達がラミネス王太子が滞在する豪邸に泊まる中、
ファーランド王国の王都エルシャインでは激闘が続いていた。
シャーバット公子率いる連合軍の第五軍は、
王城エルシャインに籠城して、
総勢十万人以上の帝国軍の攻撃を耐えている。
お互いに神経をすり減らす籠城戦で
連合軍の第五軍とファーランド王国軍は、
必死に帝国軍の第五軍を猛攻に耐える。
しかし長くは持たないであろう。
シャーバット公子もその事を理解していた。
だが迫り来る帝国軍を真正面から迎え撃つ力は、
連合軍の第五軍には、残されてなかった。
よって籠城戦で相手の進軍を食い止めるのがやっとであった。
王都エルシャインで激闘が続く中、
リーファ達は、ジェルミナ共和国の都市パルガで休暇を満喫していた。
都市パルガは物価や宿代も比較的安くて生活もしやすい。
その上、大きな冒険者ギルドがあって治安も良い為、
この都市バルガには、駆け出し冒険者が自然と集まる。
観光ならばもう少し色んな所を回りたいが、
今回はあくまで次の戦いまでの小休止に過ぎない。
だからまずは冒険者ギルドへ行って、
自身の能力値の把握やスキルの割り振りする。
それを大前提として、リーファ達は冒険者ギルドへ訪れた。
そしてリーファ達は、冒険者ギルドに入り、
受付で自分の冒険者の証を受付嬢に見せた。
すると受付嬢は――
「少々お待ち下さい」
と、奥の部屋へ引っ込んだ。
そして待つ事、三分余り。
ギルドの制服を着た体格の良い強面の男性ヒューマンが現れた。
「どうも初めまして!
私がこの冒険者ギルドマスターのレイバンです」
そしてギルドマスターの部屋に案内された。
部屋の中には珍しい魔物、魔獣の剥製。
同様に高価そうな美術品や調度品が飾られていた。
「……リーファ・フォルナイゼンです。
どうかよろしくお願いします」
すると中年の冒険者ギルドマスターが右手を差し出す。
同時にリーファも右手を出して、固い握手を躱した。
「それで今回はどのような用件で
我が冒険者ギルドに訪れたのでしょうか?」
「実は――」
リーファは端的に自分の用件を伝えた。
するとレイバンの表情が少し明るくなった。
「それならばお安いご用です。
ではまずは自分の冒険者の証を見てください」
「「「はい」」」「はいだワン」「はいだわさ」
私のレベルは、気がつけばもう48ね。
スキルポイントは70ポイントもあるわ。
これは色々考えた上で割り振りたいわね。
「自分は殆ど成長してません」
「オイラもだよん、まあ仕方ないワン」
「とりあえず貴方達の冒険者の証を見せてもらえるかしら?」
「はい、いいですよ」「うん、いいよ」
そしてリーファは、アストロスとジェインの冒険者の証に目を通した。
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名前:アストロス・レイライム
種族:ヒューマン♂
職業:魔法剣士レベル37
能力値
力 :583/10000
耐久力 :800/10000
器用さ :524/10000
敏捷 :907/10000
知力 :479/10000
魔力 :1378/10000
攻撃魔力:725/10000
回復魔力:271/10000
※他職のパッシブ・スキル込み
魔法 :各種エンチャント、アクセル、フライ
ウインドカッター、ワールウインド、
ブレードカッター、アイスバルカン、
ウォーター、アクア・スプラッシュ、シューティング・ブリザード
スキル :結界、対魔結界、魔法剣、
魔力パサー、魔力吸収、封印結界
武器スキル:ピアシング・ドライバー、ヴォーパル・ドライバー
ダブル・ドライバー、トリプル・ドライバー、
クロス・スラッシュ、プロセクション・ドライバー
能力 :属性強化、属性変化、属性破壊、魔封陣
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名前:ジェイン・ステアーズ
種族:犬族♂
職業:ハイ・レンジャー レベル38
能力値
力 :195/10000
耐久力 :280/10000
器用さ :951/10000
敏捷 :1744/10000
知力 :471/10000
魔力 :1527/10000
攻撃魔力:886/10000
回復魔力:1334/10000
※他職のパッシブ・スキル込み
魔法 :ヒール、ハイヒール
キュア、キュアライト、アクセル、フライ
ストーン、ストーンシャワー、アースハンド、
ウォーター、アクア・スプラッシュ、アイスバルカン
サイコキネシス、テレパシー、サイキック・ウェーブ
スキル :結界、対魔結界、トラップ解除、
トラップ発動、ピッキング、軌道変化、
投擲命中アップ、射撃命中アップ、スリング・ショット
武器スキル:トマホーク、ハイパートマホーク、
ブーメラン・トマホーク、スマッシュ、
ダブル・スマッシュ、クロス・スマッシュ
クイック・ショット、ダブル・ショット、
スナイパー・ショット、クイック・スロー、
アイス・スロー、パワフル・カッター
能力 :精霊召喚、魔力探査、
調教、ガーディアン・ミスト
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「確かにあまり伸びてないわね」
「この一年余りはのんびりと過ごしましたからね」
「ウン、だから仕方ないワン」
これに関しては、二人にも言い分があった。
だからリーファはこの件で二人を責めなかった。
「エイシル、貴方はどうなの?」
「ボクもあまり伸びてませんよ」
「ちょっと証を見せて頂戴」
「はい」
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名前:エイシル・クインベール
種族:エルフ♀
職業:賢者レベル36
能力値
力 :179/10000
耐久力 :356/10000
器用さ :424/10000
敏捷 :545/10000
知力 :1986/10000
魔力 :3678/10000
攻撃魔力:2410/10000
回復魔力:2115/10000
※他職のパッシブ・スキル込み
魔法 :ヒール、ハイヒール、ディバイン・ヒール
キュア、キュアライト、ホーリーキュア
プロテクト、クイック、アクセル、アクセルドライブ、フライ
ウォーター、アクア・スプラッシュ、アイスバルカン、
シューティング・ブリザード、大氷結、
ウインドカッター、ワールウインド、
アークテンペスト、トルネード、サイクロン、
ライトボール、スターライト、
ライトニングバスター、プラズマバスター
サイコキネシス、テレパシー、サイキック・ウェーブ、
サイコ・ブラスト、アポートetc
スキル :結界、対魔結界、封印結界、召喚魔法、転移魔法
武器スキル:スイング、ヘビースイング、スカル・クラッシュ
能力 :魔力探査、魔力覚醒、二重詠唱、三重詠唱
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「確かにあまり伸びてはないわね」
「……すみません」
「いいのよ、謝らなくて」
「そう言うお嬢様はどうなのですか?」
と、アストロス。
「私はレベル48よ、スキルポイントも70もあるわ」
「それならばポイントを振るべきですね。
何を上げるつもりですか?
剣技? 魔法? 能力ですか?」
と、エイシル。
「一応、前に複写したレベル50までのスキル一覧表があるけど、
どれに振るか、どれを上げるかで悩んでいるのよ」
「ちょっといいですか?」
そう口を挟んだのは中年のギルドマスターのレイバン。
「はい、何でしょうか?」
「リーファ様は何の為に、
技や能力を欲しているのですか?」
「それは勿論、強くなる為ですよ。
でも強いて言うなら、一騎打ちに強い技や能力が欲しいわ」
「……一騎打ちですか?」
「ええ、貴方も噂を聞いているかもしれないけど、
帝国の「漆黒の戦女」に一騎打ちで勝ちたいのよ!」
「成る程、そうでしたか。
ならばリーファ様の冒険者の証と戦乙女のスキル一覧表を見せてもらえますか?」
「ええ、構いませんよ」
リーファはそう言って、
中年のギルドマスターに冒険者の証とスキル一覧表を手渡した。
するとギルドマスターのレイバンがマジマジとそれらを見据えた。
「戦乙女のスキル一覧表は、
初めて見ますが、万能職である為に、
何かに特化しないと、中途半端な器用貧乏になる可能性がありますね」
「ええ、でも私の性格的に全体的にまんべんなく各能力を上げたいのよ」
「そのお気持ちはよく分かります。
なのでご忠告します。
今回に関しては武器スキルを取らずに、
代わりに魔法か、能力を覚えた方がいいでしょう」
「そう? でも新しい武器スキルも欲しいのよね~」
「武器スキルに関しては、
独創的技のスロットが三つ空いているので、
独創的技を覚えて、
その技を磨いて、熟練度を上げれば強力な武器スキルとなりますよ?」
「独創的技?」
独創的技はその名のとおり、独自の技。
動きがある程度、定められた既存の技ではなく、
個人が任意で好きなモーションや攻撃方法で、
冒険者の証に登録することができる技である。
というのが独創的技だった……筈。
成る程、これは一考の価値がありそうね!
そう思ってリーファは自然と笑顔を浮かべた。
すると眼前のギルドマスターも微笑を浮かべる。
どうやらこちらの考えはお見通しのようだ。。
ならばこの人物から、独創的技について色々聞いて学ぼう。
と、思うリーファであった。
次回の更新は2024年2月4日(日)の予定です。
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