第百五十九話 星旄電戟(中編)
---三人称視点---
城塞都市フェルトベーグ。
その城塞都市は、帝都レーゲンブルグの最終防衛線であった。
全体的な色合いは白が基調となっている。
城塞都市フェルトベーグは、
街全体を高くて厚い二層の城壁で囲まれている。
城壁は高さ十七メーレル(約十七メートル)。
街の構造は下層と上層の二ブロックに分かれており、
下層は城下町。
上層の天辺には、
都市の名前の由来であるフェルトベーグ城と
周囲を見渡せられる事が可能な中規模の塔があった。
外敵や敵国から街や住民を守るため、
都市の周囲に城壁や堀などが張り巡らされていた。
また城壁の所々に監視塔があり、城塞への出入り門が設置されている。
その城塞都市を陥落させるべく、
シュバルツ元帥は自軍の『帝国黒竜騎士団』に命じて、
竜騎士達を飛竜に乗せて、
上空からも魔法攻撃を仕掛けた。
その一方で大砲、魔導師部隊による魔法攻撃も仕掛けた。
そしてその中心となったのが、漆黒の戦女マリーダだ。
「『能力覚醒』っ!!」
マリーダは職業能力・『能力覚醒』を発動。
これで五分間はマリーダの能力値の数値が倍加された。
そこからマリーダは、更に自身の守護聖獣を召喚した。
「我が守護聖獣ガーラよ。
我の元に顕現せよっ!!」
マリーダが早口でそう言うなり、
彼女の足元に魔法陣が現れて、眩い光を放たれた。
そして魔法陣の色が次々と変わり、強い魔力が生じる。
「ニャアオォォォンッ!」
すると魔法陣の中から、体長六十セレチ(約六十センチ)のほっそりとした体形の
猫妖精のガーラが現れた。
可愛らしいまん丸の蒼いの瞳。 ふさふさの毛。
そして肩下まで丈のある緑のケープマントを羽織っている。
するとマリーダが間髪入れず、『ソウル・リンク』を発動させた。
「ガーラ、行くわよ! 『ソウル・リンク』ッ!!」
「了解ニャンっ! リンク・スタートォッ!!」
これによってマリーダとガーラの魔力も混ざり合う。
そしてマリーダの能力値と魔力も急激に跳ね上がった。
それから右手を頭上にかざして、呪文を紡ぎ始めた。
「我は汝、汝は我。 暗黒神アーディンよ!
我は天に祈りを捧げる。 天よ、我が願いを叶えたまえ!」
するとマリーダの右腕に強力な魔力を帯びた闇の波動が生じた。
そしてマリーダは眉間に皺を寄せて、
全身から凄まじい魔力を放ちながら、呪文を更に紡いだ。
「そして闇の覇者、闇帝よ! 我が身を闇帝に捧ぐ!
偉大なる暗黒神アーディンよ。 我に力を与えたまえ!」
そこでリーファは右腕を力強く引き絞った。
攻撃する座標地点を前方の城壁の中央部に狙いを定める。
そして左手で素早く印を結んで、マリーダは大声で叫んだ。
「『――暗黒流星群!!』」
次の瞬間、マリーダの右腕から迸った漆黒の波動が
流星のような速度で前方の城壁に命中した。
神帝級の闇属性魔法。
その破壊力たるや想像を絶する。
その漆黒の波動が一発、二発、三発と間髪入れず城壁に命中。
ガアァァァン!! ガアァァァン!! ガアァァァァァァン!!
凄まじい衝撃音が轟き、大気が揺れた。
前方の城壁に皹が入り、城壁の一部が欠けて飛散する。
更に漆黒の波動が容赦なく城壁を乱暴にシェイクする。。
それはまるで宇宙に降り注ぐ流星群のような華麗さと激しさに満ちていた。
ガアァァァン!! ガアァァァン!! ガアァァァン!!
休まる暇もなく漆黒の波動が城壁を捕らえる。
鈍い音と共に城壁が砕けては散り、そして宙に飛散する。
次第にその色鮮やかな白い城壁に放射状の皹が入り、全体に広がった。
「な、何だぁ!? 何が起きているっ!?」
「わ、分かりません。 兎に角、とんでもない破壊力です!」
「まさかこの城塞都市フェルトベーグの城壁が
ここまで無残に破壊されるとは!?」
「隊長! 我々はどうしたら良いですか!?」
「知るか! 俺が知りたいくらいだ!」
と、防衛部隊の隊長や兵士が激しく罵り合う。
そんな彼等に追い打ちをかけるべく、
シュバルツ元帥が周囲の兵士に攻撃命令を下した。
「今だ! 敵は怯んでいるぞぉ!
魔法攻撃、あるいは砲撃でどんどん城壁を破壊せよっ!」
「了解です!」
すると中列に居た砲兵達がガラガラと音を立てて、
数十台に及ぶ大砲を前進させた。
「砲弾、装填完了です!」
と、ヒューマンの砲兵達。
「良し、狙いを定めろ!」
と、指示を下すシュバルツ元帥。
そして周囲の砲兵達も大砲の照準を城壁に定めた。
「今だ、放てぇっ!」
「攻撃開始!!」
「大砲発射っ!!」
そして轟音と共に全ての大砲から、高速で砲弾が放たれた。
飛んでいった砲弾が前方の城壁に、次々と命中していく。
「撃て、撃て、城壁をぶっ壊すまで撃て!」
「了解です、行くぞぉっ!」
「大砲発射っ!!」
シュバルツ元帥の号令と共に第二射が放たれた。
城塞都市の内外で砲声が轟き、
砲弾が命中する度に城壁が激しく振動する。
「クソッ! こちらも反撃するんだ!」
「了解です!」
神聖サーラ帝国の防衛部隊も必死に残った大砲で反撃する。
勢いでは帝国軍だが、防衛部隊も必死の抵抗を見せた。
その結果、この城門の大橋に、死屍累々な光景が広がり、
お互い一歩も引かず、激しい砲撃戦が繰り返された。
しかしマリーダを中心とした魔導師部隊が
強力な魔法攻撃を仕掛けると、流れが帝国軍に傾いた。
マリーダが右手に持った漆黒の魔剣を縦横に振るうと、
闇色の波動が放射されて、前方の城壁を次々と破壊する。
「さあ、皆様! 私の後に続いてください!」
「おおっ! 我々も漆黒の戦女殿に続け!」
勢いに乗る帝国軍は、尋常ならざる攻撃を続けた。
そして遂に城壁をほぼ破壊して、
城塞都市の正門を破城槌で破壊した。
「さあ、正門が空いたわ!
このまま正門から中へ入って、敵を殲滅しますわよ!」
「おおっ!」
その後、マリーダ達は下層及び上層エリアを完全に制圧した。
だが防衛部隊は最後まで抵抗したので、
マリーダ達は容赦なく敵兵を切り捨てた。
そして勢いに乗ったマリーダ達は、
一番上に立つ城に攻め込んで、
防衛部隊の司令官とこの都市の領主を拘束。
こうしてこの戦いは、帝国軍軍の勝利という形で終わった。
だが帝国軍も少なくない犠牲者を出した。
今回の戦い……城塞都市フェルトベーグ大攻防戦による戦死者は、
帝国軍2878人に対して、
神聖サーラ帝国の防衛部隊は、
9933人という数字が示すように厳しい戦いとなった。
聖歴1756年12月8日。
帝国軍は十数時間に及ぶ激しい攻防戦を繰り広げて、
城塞都市フェルトベーグを陥落させた。
また残存兵力を壊滅、捕縛して反撃の波を完全に潰えさせた。
こうして城塞都市フェルトベーグは帝国軍に制圧された。
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名前:マリーダ
種族:ヒューマン♀
職業:漆黒の戦女レベル37
能力値
力 :1185/10000
耐久力 :1770/10000
器用さ :834/10000
敏捷 :1444/10000
知力 :2050/10000
魔力 :3648/10000
攻撃魔力:2055/10000
回復魔力:2035/10000
魔法 :ヒール、ハイヒール、アークヒール
キュア、キュアライト、アークキュア
プロテクト、クイック、アクセル、フライ
フレイムボルト、ファイアバースト、フレアバスター、炎殺
シャドウボルト、シャドウ・フレア、シャドウ・インパクト、
ダークネス・フレア、暗黒流星群
ウインドカッター、ワールウインド、
アークテンペスト、トルネード、
サイコキネシス、アポート、
スキル :結界、対魔結界、封印結界、漆黒の戦陣
漆黒の波動、速射
武器スキル:イーグル・ストライク、ヴォーパル・ドライバー
ダブル・ストライク、トリプル・ドライバー
ハイ・カウンター、グランドクロス、
ダークネス・スティンガー,
シールド・ストライク、
正拳突き、掌底打ち
能力 :魔力探査、能力覚醒、魔力覚醒、
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次回の更新は2023年12月16日(土)の予定です。
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