残夢譚①
...どうも昨晩の夢は想起出来ない。
手元の手帳には、「ヒト用の休暇」「河童」とだけある。...一体、何の夢だったのだろうか...
と云うことで、今日はどうも記憶に焼きつて離れない、今まで見てきた夢のまとめです。
古くは学生時代へと遡る。
何処かの田舎町。私は旅行で訪れたのか、そこに住んで居たのかは不明。アスファルトは灰色で、風景の彩度は高かった。...もしかしたら、私が薄かったから、そう見えていたのかも...
私は、いつもの如く散歩をしていた...筈である。前後で何があったかは、解らない。もしかしたら何も無かったのかもしれない。
何処までも続きそうな、青空のもと、アスファルトと畑と森くらいしか無い道を辿る。そういえば電柱すら無かった気がする。海へ続く下坂に差し掛かった。左右の平坦な土地に畑があった。何かが植わっている。
それは、水色で四枚羽の風車の形をした花弁を持つ、丈20cm程の草本であった。確か、この町の特産品であった筈だ。あちこちで見つかる。
以前何処かで聞き齧った話によると、これは「夢見の花」と云うらしい。
試しに、乾燥っせたものを燻して吸ってみた。何とも云えない夢心地がした。
時刻は夕暮れの終。辺り一帯は夜の闇に覆われながらも、西の空に残る僅かな茜色が空を染めてた。
私は海辺に居た。海には、木を寄せて作った陸地が浮かんでいる。今日此処で何かのレースが行われるのだ。...私は観戦に来ただけの筈なのだが、何故か参加することになっていた。
吹き荒ぶ風に煽られ、揺れる、海面に朱色が煌めいている。どうやらそろそろらしい。そっと目を閉じた。
——記憶の欠落——
私は「コ」の字が連続して並べられたような形のコースを走っている。コースにはアーチ状の薔薇の植木があり、そこを潜るとポイントが加算される。
降り注ぐ水色の槍を躱しながら、薔薇の輪を抜けてゆく。すれ違いざまに植木に手を入れると緑色に発光した。どうやらポイントが加算されたようだ。
左に曲がり、直ぐに、又左に曲がる。ふと、横を見れば、隣のコースが意外と近く見えた。ショートカット出来そうだ。何故か都合よく加速板もある。
コースを外れ、右に曲がり、加速板に足をかける。
飛んだ。
実家の庭に居た。目の前には幼い頃から見ていた花水木。
あゝ、これは神聖な木だったのだな。妙に周りで煌めくパーティクルが何よりもの証拠だ。
旧友と、TRPGのセッション中、ふと、三面ダイスがないことに気がついた。
どうしようか、と聞いたら、六面ダイスを使えば良い、と云われた。
成る程とと思い、六面ダイスを加工して三面ダイスを作ることにした。何やらボール紙を出したり、アロンアルファを使ったりと、四苦八苦していた気がする。
気がつけば、そこは閉鎖空間。妙な、ユークリッド幾何学では説明しようのない、捻れや曲線の直線、などで構成された立体の中であった。あゝ、ダイスの中に入り込んでしまったようだ。
脱出する手段は知っていた。全体的に歪なこの空間の、唯一の純粋な直線。白黄色に輝くその一辺に手を掛け、ダイスを中から開く...
ふと目が覚めれば、バスに揺られていた。どうやら、帰宅途中であったようだ...はて、見慣れない景色...あ、降り過ごした。
...お読み頂き有難うございます。
如何だったでしょうか?
それでは、又、ごゆるりと。