8/15〜8/16
駄菓子が久々に食べたくなった。
数年前に取り壊されたスーパーに、私と弟は居た。弟は未だ幼く、小学生前半くらいの容貌であった。弟の年齢から鑑みて、私は中学生くらいであったのだろう。
駄菓子コーナーを物色していると、棚の脇の通路に、これもまた小学校前半くらいであろうか、少女が彼女の父親と思しき男性と会話しているのが目に留まった。
父親は少女に、直ぐに戻るから此処で待っていろ、と云うとその場を後にした。私はその少女がたった今捨てられたと云う事を確信した。少女も、自分の父親が戻って来ることが無い事を悟っていたらしく、途方に暮れていた。
少女は、私と弟の姿を見とめると駆け寄ってきた。致し方無かったので、駄菓子好きなやつ買ってやる、と云っておいた。
少女が選んだのは、粉を混ぜて練る某駄菓子であった。むぅ、何気に百円くらいするやつを選ぶとは、意外と図太いな、と思った。
まぁ、何でもと云ったのは私であるから買ってやるしかあるまい。
少女は私がその駄菓子を籠に入れるのを見届けると、喜んだようで、麩菓子とシガレット状の砂糖菓子を追加で籠に入れてきた。うん、ほんと遠慮ねぇな…。
そんなこんなで買い物を終えて、車に乗り込む時まで、少女は着いてきていた。このまま家までついて来る気のようであった。
いつの間にか居た、母と母方の祖父が許可していた。そのせいか、車の座席が足りなくなったようで、私は歩いて帰ることとなった。まぁ、実家までは近いし差して問題は無いか。
道中の、神社の裏の植え込みにパセリが沢山植っていた。仰ぎ見ると大きな鳳蝶の幼虫が居た。根元にはその抜け殻もあった。
少し進んだ先にはブルーシートを引いただけの簡易的な露店があった。商品はラップに包まれた軽鴨の親子のみであった。
何故かそれが欲しくなった私は、幾らか店主に聞いていた。店主は五十六円、とだけ簡潔に答えると、書類を渡してきた。曰く法律の問題で名前と住所と電話番号を書く必要があるらしい。
胸ポケットに入れていたボールペンで書類の記入欄に書き入れると、店主は商品を渡してきた。
と云う所で
———目が醒めた。
.......お読み頂き有難う御座います。
個人的に駄菓子は麩菓子が好きですね。だからなんだと云う話ですが…。
それでは、また、ごゆるりと




