8/10〜8/11 残夢譚⑥
昨晩見たのは短い夢であったから、過去の記憶を一つ。
これは、私が高校時代の修学旅行でのホテルで見た夢。
クトゥルフ要素があるのでご注意を。
8/10〜8/11
場所は不明だが、私は講義を受けている最中であった。講師は、詳細は伏せるが私が苦手とする男性であった。常に上から目線で尊大な自尊心が一々鼻につく男である。
男は、姿勢が云々と宣いつつ、前方の黒板に何かを書きつけていた。そんな中私は聴く事すらせず、手元の原稿用紙に文字を綴っていた。何を書いていたかはよく憶えていない。
残夢譚
舞台は、地表の八割が、ある日突然飛来した巨大な火球状の生命体によって焼き払われ荒廃した地球であった。
致死レベルの紫外線が地表に降り注いでいる為、生き残った人類はシェルター状の施設の外には出ることは叶わない。
そんな中、私は第7シェルターの書庫の管理人をしていた。統括コンピュータによる指名であった。
書庫はシェルター上部のブリキ製の螺旋階段を登った先の扉の奥にある薄暗い空間であった。瓦礫の散らかる床に古びたコンピュータ一台とステンレス製の書架が数列と云う簡素な作りであった。
この世界では書物の類は食料と同等に貴重な物と云う認識を受けていた。その管理人という立ち位置であるのだから、まぁそれなりに偉い方だったのだと思う。
私に任された仕事は、書庫の整理と書物の貸し出し、そして焚書…。幾ら貴重な書物とは云え、他者の目に入っては困るものもあるのだ。その処分も一任されていた。
私は、あの火球状の生命体や、それに類似する上位存在に関する情報の記載がある書物を、一通り写しを取ってまとめた後、書庫を出て右に折れた所にあるガレージと呼ばれる広場で焼き払った。これは、他の人が知らないで良い知識だ、と私は考えていた。
まぁ、そんなこんな仕事をこなしていた或る日、統括コンピュータから、私宛への宅配があると云う通知が届いた。宅配物はガレージに置いてあるらしい。取り敢えず、確認しに行こう。
ガレージに出てみると、丁度中央に金属製の箱が置いてあった。多重にロックが掛けられた頑丈そうなものであったが、その隙間からは、何であろうか…毒々しい赤と青をした触手のような物がはみ出て蠢いていた。
何故か、私は中にムーンビーストがいると云うことを直観的に察知した。私を暗殺する計画でもあるのだろうか、と思った。
そう思った上で、私はこの箱を開封することにした。最悪ムーンビーストくらいなら手持ちの呪文で何とかなるだろう…。
いつでも、反撃できる体勢を取りつつ、そっと鍵を外す。それと同時に蓋は押し開けられ、中から灰色の体躯をした化け物が飛び出てきた。ゴム状の皮膚に蛙のような体形、口の周りから生える赤と青の触手は、表面から粘液を出しながら互いに絡み合っていた。
いつ襲い掛かって来るか、と身構えたが、奴は全くその素振りを見せず、ただその場で佇んでいた。不意に、一本の触手を伸ばしてきたと思うと、頬に触れるだけで何かをされると云うことは無かった。
.......お読み頂き有難う御座います。
見た当初は、淫らな夢を見たと云う印象だったんですよね…何故か…。
それでは、また、ごゆるりと




