6/26〜6/27
妙に寝苦しい夜であった。
半ば、起きていたのかもしれない。
夢と現の狭間の微睡みの中で見た、映像の記憶。
保存状態の悪いフィルム映画のような記憶。
炎天の元で、私は旧友と二人で歩いていた。旧友と云うが、彼が具体的に誰であったかは憶えていない。ただ、小学生時代の友人か、高校のクラスメイトだったように思える。
歩いていると少し傾斜のある峠道に差し掛かった。ほぼ直角に見えたが、普通に歩けていた。
結構汗を流し、多分此処が一番高いところであろうと云う所まで行き着いた。其処には、一軒の建物があった。ニ〜三階建てで、扉の前には広いサンシェードがある。
旧友と私は喉が渇いていたので中に入る事にした。中は安い銭湯の休憩所のようで、いくつかのベンチと白熱電球の燈のみが有る。
私達は、何かを買う為(この時既に喉の渇きは何処かに消え失せていた。)奥の売店へ向かった。
売店では、一人の老婆が店番をしていた。私と旧友はこの人の事を知っている...気がした…誰かは分からないが。その老婆の他には商品棚が一つと、円形に足が一本のテーブルがあるのみで店内は閑散としている。
商品棚の上には、透明なケースに入っている薄橙の白いモノ。私はソレがアイスクリームであると確信できた。ハーゲンダッツのバニラ味であることも。...やはりどうやら私は以前この老婆の店で買い物をした事があるようだ。このアイスは三代名物に一つで、ぼったくりな値段が付けられることも思い出した。警戒しよう。
また、ぼったくるんだろう?と云うようなニュアンスで旧友が値段を聞いた。どうやら買う流れで話が進むらしい。私もそれに従い、値段を聞いた。
老婆は怪しげな嗤みを浮かべながら値段を告げた。一杯五百円らしい。思ったよりも安かった。しかし、持ち金を見てみると有るのは千円札六枚のみで小銭はない。仕方ないので二千円札で払う事にした。五百円のお釣りを貰った。
財布に戻すのが面倒かったのか、私はお釣りを胸ポケットにしまうことにした。ふと、胸ポケットに何かが入っている事に気がついた。
取り出して見てみると五百円玉だった。幸せな気分になった、と私は云っていた。
店を出ると、次はどこに行こうかと云う話になった。そう、ステージ選択だ。私の視点は空からの俯瞰視点、否、画面越しの視点となっている。
私は弟とゲームをしていた。目の前の画面には私のキャラクターが各ステージの選択面に立っている。黄色キノコステージと青キノコステージは今のレベルでは攻略は難しそうだ。今行ける範囲で最も経験値効率がいいベニテングダケステージに行く事にした。
三人称視点の3Dアクションゲームであった。ステージは噴火中の火山のようで、あの火山が紅天狗岳という名前なんだなと、一人納得していた。
ダッシュジャンプが難しい。大量の幅の狭い岩場に跳び乗らなくてはいけなく、その上にランダムで出現する「炎の花」を取らなくてはいけない。足を踏み外したら溶岩の海は真っ逆さまだ。慎重な岩と岩を転々と跳んでゆく。
知らない内に一人称視点のアクションゲームになっていた。否、もうこの時私にこれがゲームで有ると云う認識をしていたかと云うことすら定かでない。しかし、夢の中の私の意思通りに体を動かす事ができた...気がする。
そして、溶岩の上のゴツゴツとした岩場に跳び渡ると云う事を再認識した。恐怖心や焦燥感を覚えた。足元が震える。しかし、私はあそこに行かなければならない。そう云う強迫観念があった。早く、早く....
意を決して...跳んだ。
あゝ、ダッシュが足りなかった。
ゲームオーバーか...落下しつつそんなことを思った...すると、私は...否、私の視界の一部は、その岩場を上空から俯瞰していた。三人称視点に戻ったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。見下ろす視点と、溶岩へ落下する視点。二つが自分の視点として認識できた。そして何よりこの落下してゆく感覚。嗚呼。
ふと、気がつけば、私は牛人間博物館にたっていた。なんとかクリアできたらしい。…はて、クリアとは何のことだっただろうか?まぁいいだろう。
博物館のエントランスホールは、かなり広く天井が高い。周りの壁は四方すべてが黒塗りで、前方に通路があるのみである。出入り口の類が一切見当たらないのは、まぁ些細な問題だろう。気にする必要はない。
前方の通路を進むと、そこには、人型をしたホルスタインと何やらマフィアじみた台詞が展示されていた。台詞の内容は憶えていないが、夢の中の私は、この台詞がマフィアのものであるように思えた。(私はマフィアじみた台詞などピンとこないのだが……)牛の目は黄色く光っている。
進んでゆくと、何やら捨て看板でできたトンネルのようなものをくぐった。其れを抜けると、広く明るい展示室に出た。
展示室には、いくつかの水槽のようなものに土と木と、川までもが入れられている。其れは地球が誕生してから、牛人間が生まれるまで、原核生物から牛人間への進化の過程を表すものだと確信できた。周りには私以外の来客が結構いるが、姿を正視することができなかった。人間だったと思う。
それからしばらくは、その水槽の周りを歩いていた。
何時からか、周囲の情景は、近所のホームセンターの文具コーナーになっていた。ボールペンやらシャープペンシルなどが売っている。私は特に疑問を持つことなく、その品々を見て回る。付箋をお土産に買って帰ることにした。
と、ここで私の夢の記憶は途切れている。この先も何かあったかもしれないし、なかったかもしれない。しかし、元々が胡乱な夢なのだから誤差の範疇であろう。
そして、数刻後、私は目を醒ました。時刻は4:50であったが、やけに目覚めがよかった。
ノートとペンを手に取った。
......お読み頂き有難う御座います。
今日も今日とて混濁とした内容だったことでしょう。
内容と云う内容も無いでしょうけど...
其れでは又、どうぞよしなに。