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7/10〜7/11 残夢譚②

夢は見た。ただ短過ぎた。

故に過去の記憶を一つどうぞ。

7/10〜7/11

 夢の中で、金縛りに遭っていた。それ以前の記憶はない。視界は映る。

 どうやら、私は左半身を下にして地に伏しているようだ。見える情景は、混凝土打ちの殺風景な床と壁のみである。天井はやけに黒い。光源は見えぬが、燈の質感は白熱電球と云うよりは蛍光灯かLEDのようであり白色を伴う透明なモノであった。

 私の現状と云えば手足は勿論のこと、首を動かすことすら叶わない。しかし、そのような状況においても、私は妙に冷静であった。落ち着いて、現状を把握して、それを言語化するにはどう云う表現が適切かと考えていた。

 二、三度の瞬きの末、目が醒めた。


残夢譚

 いつの夢であったかは定かではない。ただ学生時代に見た夢であり、覚えているうちで一位二位を争うくらいには鮮明で、印象深いもモノであることは確かである。...学生当時、記録を残していた訳でも無いのに、こうして諳んじられるのだから.....

 その夢の中ではっきりと残る最も古い記憶では、団地か、地元の高校(私が通っていたところでは無い。)を歩いていた。...このシーンに移る前は、確か空に浮かぶ線路を走る汽車か列車に乗っていた筈である...が、まぁ、その記憶はぼんやりと靄掛かっていて実態は掴めないのだけれども。......それはともかく、かくして私はそこに居た。

 建ち並ぶコンクリート製の建物達の脇、アスファルトの敷かれた空間には、三〜四本ほどの大木が十メートルくらいの間隔を空けて植わっていた。私はその下を進む。ビルの合間を抜けて鋭い風が鳴く。

 三つ目の大木を過ぎた時、地面に何か人の頭くらいはありそうな球形をした物が落ちている事に気がついた。近づき、屈み、拾って、良く見てみる。それは緑色をしていた。いや、表面...皮は緑色である、地面に接していた面は表層が削れて白黄色の果肉が露出していた。直感的にこれは銀杏だと思った。

 蟻が集っている。

 ...しかし、冷静に考えてみては、銀杏がこんなに大きいわけが無い、それにあの独特な香りが無いではないか。

 蟻は内部を喰い進み、その身体は肥大化する。

 ではこれは何なのだろうか?ココナッツ?バナナ?****?いや、********か。そうだ********だ。確か南米原産のユーグレナの近似種....上質な芳香とは裏腹にその果肉にはカドミウムや青酸カリが含まれており有毒。食べたらまず即死するであろう。運良く生き残ったとしても後遺症は避けられない…

 ふと、手の中のモノが砂のように、崩れるのを感じた。視点を手元の移すと、そこには大量の蟻が蠢いている。悪寒がした。虫はかなり大丈夫な方であったのだが、さすがに両手いっぱいに蠢く、あの感覚は耐えがたいモノであった。両手を振り払い、手の上の黒い影を払い落とす、最後の方までしぶとく張り付いていたモノも居たが、全部潰した。

 よくよく周りを見渡してみると、数多の緑の球体…あの全てに、蟻が….などと考えると、たまらなくなり、その場から駆け出した。

 それから、どの経路を通ったのかは不明である。如何せん、道中の情景が一切ないのだ。気づいたら、自動ドアを潜っていた。私自身も生来の落ち着きを取り戻していた。と、云うよりもう既に先程の記憶が無かったのかも知れないが

 ....それはそうと、何かビルのような建物のロビーを通る。今思えば内装は実家近くのスーパーのカートなどが置いてある空間と類似していた気がする。

 夢の中の私は、ただ、漠然と此処は東京であると云う意識のもと行動していた。

 また自動ドアを潜る。外に出たと思ったのも束の間に、再度自動ドアを潜った。

 前方を見てみれば、千本鳥居よろしくに自動ドアが並び立っている。私は、特に疑問に思うことなく、ただ、お土産を買わねばならないと云う強迫観念のもと、先に進んでいた。

 一体幾つの自動ドアを通過したかは分からないが、私は遂に土産屋に着いた。

 中には、色々な民芸品が....と、見えたのは最初だけで、瞬きの隙に商品棚の全てがガシャポンに代わっていた。

 大した問題には感じなかった。悠々とした心持ちで、駄菓子によくある小型の買い物籠片手に、ガシャポンの機体を物色することにした。

 バリエーションはかなり豊かであったと感じていた。流石に全ては覚えていない。記憶にある限りでは、レゴブロックの人形の中世ヨーロッパ風フィギュア、それの宇宙戦争バージョンと浪人バージョン、宇宙飛行士のゴム製人形、ポケットスタンガン、拳銃の消音器、ペンライト、懐中電灯キーホルダー...などであった。

 品揃えはどれも少年心を擽るもので、全て憶えていないのが悔やまれる。

 ある程度、楽しんだのち、店の奥のゲームコーナーへ向かった。パチンコはもちろんのこと、パックマンやドンキーコングなど、懐かしのレトロゲームが豊富であった。(懐かしと云ってもゲーム発売当時はまだ産まれて無いのだが。)

 そこに、ふと目に留まるものがあった。それもガシャポンであったが、周りのとは毛色が違った。どうやら、内容物がその機体の脇についているプラスチック製のカードケースと連動しているようで、中に何があるか一眼で分かる仕組みのようだ。

 しかし、内容物の全てがメントスグミガムであった。楕円球で蛍光色の塊。巷ではゲテモノと名高いアレである。...と云う事を私は知っていた。

 取り敢えず、買い占めようと思い、機体の前に立った所で、

———目が醒めた。

......お読み頂き有難う御座います。

メントスグミガム...味のイメージは百味ビーンズ砂糖漬け果実味でした。

それでは、また、ごゆるりと

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