7/8〜7/9
珍しい癒し枠の夢だった。
ケータイの電源を入れた。何気なく、ブラウザゲームを立ち上げる。起動に数分を要した。立ち上がると、プレゼントボックスとその隣の「こども」と書いてあるUIの右上に「!」と赤であるが目に入った。何か新しい更新があったようだ。
取り敢えず、プレゼントボックスから見よう。おお、これはいい物だ。と、思った。何が入っていたかは憶えていない。
続いて、「こども」を見てみよう。UIを開くや否や、何やらムービーが流れた。森のような場所で小さな影が三つ躍動していた。その影達は、目玉から直接胴体の生えた緑色の小人と赤色の小人が一人ずつ、ミミズのような体躯に蛇のような、はたまた未発達の鳥の雛のような、顔を持った赤褐色の生物が1匹、と云った具合だった。
あゝ、新キャラを入手したのか、と思った。三者ともレアリティは2でまずまずと云った所だろうか...。ちなみに、赤目玉がデバッファー、緑目玉がヒーラーであると知っていた。そもそも、このゲームが何なのかすらも、今になっては不明であるのだが...。
と、この辺りで、緊急依頼が来ていることに気がついた。どうやら、護衛依頼らしい。緊急依頼なので、拒否権など存在せず、否応なく、依頼のステージへ移動する事となった。
ステージは高いイネ科の植物が茂る草むらであった。と、云っても画面に映るのは草の根元のみであったのだが...。どうやら、このゲームのキャラクターは昆虫サイズのようだ。事実、出てきたエネミーはカマキリであった。戦闘は半オートで敵に近づくいてタッチすると攻撃が入る。素早さと云う概念もあるようで、攻撃のクールタイムが変わるようだ。私が使用しているキャラクターは素早さが高いらしく、今のところ敵を完封できていた。
護衛対象はトノサマバッタであった。フレンドリーファイアーしないように気を付けて周りの敵を片付ける。全滅させた。ふう、悪は滅びた。
此処で、脳内に声が響いた。
...これは、あくまで行き過ぎた撹乱を抑えるためのこと。彼らが悪なわけでは無い。彼らは唯食物連鎖に基づき行動しただけ。そもそも、自然法則を善悪で判断するのはナンセンス...理想はゴボウを引き抜くような関係。
と、大雑把にこんな内容だった筈だ。ゴボウを引き抜くってどう云う意味なのだろうか?
ふと、周りの景色が実家の駐車場前の植え込みであることに気がついた。植え込みのレッドロビンに何かが動く影を見た。あれは蜘蛛だ。
あゝ、こうしている暇は無い。影を追わなくては!
駐車場から庭への門扉を潜り、緩やかな傾斜を登る。塀との境にそれはいた。
その蜘蛛は、一般的なものより縦長で、巨大であった。全長は30cm〜50cmはあっただろう。胴体に黒と白の横縞と縦筋が特徴的だ。よく見てみると、その模様は体毛で描かれていた。胴体の上部は全て毛皮のようなもので構成されており、その毛並みは艶やかで触り心地は良さそうだ。
蜘蛛は私を見つけると、あ〜、***(私の本名)だ〜もふもふだよ〜、と云ってきた。何故か意思疎通出来た。どうやら、自分に背中を撫でて欲しいようだ。可愛いやつめ。
その通りにしてやると、蜘蛛は気持ちよさそうに身体を震わせた。この子の毛並みは、想像より柔らかく、しっとりしており手櫛をよく通した。
余りにも可愛いものであったから、ついつい抱きかかえた。蜘蛛はその亀のような足を胴体に縮め込み丸まった。
それからしばらく、その蜘蛛と実家の敷地を散歩していた...ら目が覚めた。
....お読み頂き有難う御座います。
蜘蛛ちゃん可愛いかったです。
それでは、また、ごゆるりと。




