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6/25〜6/26

夢の中の私は高校二年生だった。

確証は無いがそう云う自覚があった。

まぁそう云う夢だった。

今となっては朧げに霞む記憶の断片でしか無いけれど。


 憶えている中で最も古い記憶では、私は近所の神社と思しき所の、脇の見覚えの無い赤と白の社に背をもたれていた。辺を灯すのは淡い橙の提灯の燈のみ。

 目の前には、また別の、これもまた見覚えのない、二つの鳥居とその奥の小さな社がある。

 その小さな社には一人の男性(顔は分からないから男性と云えるのかは定かではない)がカメラを構えて此方を向いている。

 一瞬、私の視点はその男性に乗り移った気がしたが、気のせいかもしれない、と云うより記憶があやふやである。

 突然、左側から私を呼ぶ声が聞こえた、そこには私の母親(これもまた、姿がはっきりしておらず、母親だったのかは不明瞭であるが、当時は此れは母親であると云う確信があった)が手招きをしていた。

 なんと云っていたのかは覚えていない、若しくはそんな気がするだけかもしれないが、彼女が私に着いてくるようにと云う旨の事を云っていたのは確かであった。

 母親はそのまま歩き出し、私の立っているところから見て左側の森の奥へ消えていった、私はと云うと何故か着いていかねばならないと云う確信がありその後を追うことにした。

 移動しようと、その左奥を見るとそこには、先程あったかは分からない、大きな社があった、しかし私はそれを無視しそのまま進んだ。

 社の前の鳥居を潜ると妙な高台が視界に映り込んだ、敷地はテニスコート三面分くらいで、周りには何処か分からない街の夜景が朧げに見える。

 ふと、奥を見ると先程の母親と思しき女性が立っていた。

 その脇には又もや鳥居と社のようなものがあり、私にはそれが「稲荷の社」と云う確信があった。

 そこまで、歩みを進めてみると、いや、一瞬で移動したかもしれないが、其処には社などはなく人の背丈程の大きさの鳥居が斜面と高台の平地の境界に立っており、それを通して妖しい黄昏時の燈の輝く街の夜景がはっきり見えた。

 既に、姿の見えなくなった、母親と思しき女性は私に短パンに着替える様に指示をした。

 その意図は全く持って不明であったが、稲荷様の前で着替えるなど罰当たりなのでは無いかなどと若干の抵抗を覚えつつ、私はその指示に従った。(そもそも私は中学生の時から短パンなど身に付けた記憶はないのだが...。)

 着替えを終え、その上に更にズボンを履くと、私は先ほどの女性の存在すら忘れ、来た道を引き返した。

 道中の情景は定かではないが、気が付けば高校時代通っていた学校の廊下に出ていた。

 私は何の違和感も覚える事なく、あゝもう少しで集合時間だ早く着替えて戻らなくてはと思い、一つの教室に入った。

 教室には、当時の同級生たちの姿があった。と云うより、複数の人影があり、それらを同級生と認識していた。

 そして、いつから手元にあったか分からない荷物入れから着替えを取り出した。何故か女装をする事となっており、その服装を探すが見つからなかった。致し方なく、ぱっと見スカートに見えないこともない裾の広い長ズボンとお気に入り、と云うわけでも無いが、私の持っている数少ない服の一つである紺色の長袖のポロシャツに着替えた。

 他の皆は未だ着替え終わっていないらしく、普段からよく話していたクラスメイトと共に着替え部屋を出た。これは当時の体育の授業前と同じであった。

 廊下に出て、教室の扉の無い方、即ち廊下の壁側に背をもたれ、待機していた。

 ふと気が付けば、他の同級生達が揃っていた。どうやら此れからこのフロアで鬼ごっこをする様だ。増やし鬼らしい。鬼役の人が廊下の壁側にいる生徒達の前からに立って居る。目の前には中一の頃から中三まで同じクラスで、高校に入ってからは別のクラスのメガネを掛けた少年が立っていた。チョロそうだなと思った。

 何を合図にか、鬼ごっこが始まった。私は、先程教室に来る前に入ってきた高台の方へ移動した。このフロアは二階の筈であるが何故か移動できた。

 同級生の女性と思しき二人組がそそくさと更に奥に行ったのを見て、立ち入り禁止かも、と思った。

 そのまま引き返し、丁度そこにいた、少年にあっち立ち入り禁止か?と聞いた。明確な返事は得られなかった。

 其れからは、人混みの中を縦横無尽に駆け回り、普通に鬼ごっこをしていた。

 数刻後、ちょっと気になって、高台の奥の方に行ってみようと思い立った。沢山の鬼を振り切り、高台を抜けると、そこは港の船着場の様だった、レンガ造りの欧米風の建物が立ち並ぶ石畳みの路上の中、人の気配を感じ振り返る。そこには、先程奥へ行った同級生がいた。いや、二人の女性であったことは確かであったが、其れがあの二人かは分からない。しかし、私はそう確信した。

 二人の女性に対し特に何も思うところもなく、気が付けば教室前の廊下に戻っていた。鬼ごっこは私のみが残り終わったそうだ。

 着替えをしようと、教室に戻る途中傍にいた隣クラスの生徒と何やら話をしていた。内容は港に関しての事であった、高台の奥に行った二人は帰って来れないだろうとの事だった。

 私はあそこがゲームのディメンションであったと思い立った、このゲームはシリーズ3作目らしい。なんの根拠もなかったが、そうであると強い確証を覚えた。彼女達はまだアップデートされていない、インストールされていない空間は足を踏み入れてしまったんだなと云う話になった。

 着替えつつ、何気なく、外を眺めれば、スクリーンに映る映像の様なのっぺりとした青空と木々の萌える山肌を背景に、棚引く「2020」か「2022」と赤いゴシック体で書かれた蛍光色の幟の上半分が見えた。

 ここで目を醒ます。周囲は既に明るかった。

...お読みいただき有難うございます。

終始訳がわからぬ話だったことでしょう。

致し方有りません。

だって夢なのですから。

それではまた、ごゆるりと。

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