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改めまして、皆さまこんにちは。司会天使のパプリエルです。
異世界転行に夢を抱いている方はきっと多くおられる事でしょう。
自分の思うがままに暴れたい。
皆に憧れられたい。
異性に囲まれてハーレムライフをエンジョイしたい。
そんな欲望を叶えたいが為に。
しかしそんな願いも、時には世界の都合で歪められる事があります。
そう、たとえその希望が訪れたとしても、必ずしも上手く行くとは限らないのですから。
では、本日はその歪みの一つ、ハーレムライフの悲劇を紹介したいと思います。
境遇は異世界転移。
ゲストの被害者はこの方、蒼原 天星さんです。
お越し頂きありがとうございます、アマタさん。
「どうもこんにちは、アマタと申します。今日は洗いざらいブチまけるのでよろしくお願いしますね」
はい、遠慮なくお願い致します。
にしても、なかなか破壊力の高いお名前で。
明らかにどこかの世界で成功してそうな存在感なのですが。
ただ途中でお名前が読めなくなるリスナー様もいそうです。
なので、敢えてカタカナで発音させて頂きますね。
アマタさんが異世界転移に遭遇したのは一〇年前の高校三年生の頃。
一八歳になったばかりの頃だそうですね。
「えぇそうです。でも当時の俺としてはラノベとかよく読んでたんで、異世界には憧れてましたから抵抗は無かったですね。むしろありがたいとさえ思っていましたよ。何せその時は何をしてもダメな奴で、友達もほとんどいなかったですからね」
そうでしたか。
確かに、友人が少ない学生生活はとても苦労すると言いますからね。
趣味が合う方がいればまだ救いはあるのでしょうが。
「それも異世界を望んだ理由になりますね。一応同じ趣味の友達はいたんですけど、趣向が少し違ったのであまり話題が乗らなかったりで。アイツは純愛モノが好きだったんですけど、俺はハーレムモノの方が良かったりとかで。まぁ悪い奴じゃなかったし、話は合うから遊ぶってくらいで。だからきっと満足出来てなかったんです」
それで異世界に喚ばれる事になったと。
転行対象に選ばれる方は現状に満足していない方が多いですから。
特にお若い学生など、夢見がちな方々が。
しかし実はこれ、後々後悔する事が多いのだとか。
よくある青春キラーというシチュエーションですからね。
なにせ異世界でも時の流れが大体同じだったりしますから。
たとえ戻っても学生時代が終わってるとかザラなのだそうです。
なので創世界では最近、大学生やら就業者の対象が増えているらしいですよ。
きっと「見てると辛い」って方がいらっしゃるんでしょうね。
「そうなんですね。(笑) まぁ俺もそれ何となくわかる気がします」
大人になられたのですね。
笑顔がとても素敵です。
とはいえ、この年代は今でこそ敬遠されがちですが、素直だったりで扱い易くはあるそうな。
成長の伸び代の良さなどから、昔より扱われる事が多いそうです。
個人的には中学生くらいが丁度いい気が――おおっと失礼。
「パプリエルさんの趣味が今ちょっと垣間見えた気がしますね」
忘れてください。(笑)
それにしても、アマタさんは異世界で異性によるハーレム境遇に遭ったという話ですが。
聞くだけですと、とても幸せそうなシチュエーションですよね。
現地で一体何があったのでしょう。
もしかして、男色趣味だった、とか……?(ゴクリ)
「違います。(笑) ちゃんと女の子が好きですよ~。むしろ女の子が好き過ぎて堪らないって感じで。でも表になかなか出せない陰キャでしたわ」
では、女の子の顔や性格が好みじゃなかったとか?
「いやいや、皆可愛い子達ばかりでしたよ。それこそ大好きな二次元から出て来た様な子ばかりで。しかもみんな積極的っていう。きっとハーレム好きには堪らないシチュエーションなんじゃないかなぁ俺は帰りましたけど」
え……? それは不可解ですね。
帰るメリットあったんですか?
なんだか不穏な空気を感じてしょうがありません。
なお今おっしゃられた通り、アマタさんは元の世界に帰られたそうです。
実はこれ、最近ではめっきり減ったパターンなのだそうな。
皆さん、現世にはあまり未練を残されていないのですね。
ともあれ、最後までやり遂げていますので立派だと思います。
異世界での目的を達成した、という意味では成功と言えるのでしょう。
ただ、その過程においてはどうしても成功とは言えなかったのです。
「最初の最初は張り切ったものですよー。いきなり異世界に飛ばされて、そんでもって可愛い女の子が俺に無条件で寄ってくるんですから。当時の俺はもうホントエロ大好きだったんで、もう願望が叶うんじゃないかって大興奮で。DT捨てる気満々でいたんですけどね、まさかあんなことになるなんて……」
そう、この番組は決して成功談を取り上げません。
アマタさんが体験してきたのはあくまでも失敗談。
しかもこの上ない残念な世界との邂逅だったのです。
では本人より直接語って頂きましょう。
アマタさんが体験した、ハーレムであるが故の苦痛に塗れた世界での出来事を。
「ええ、包み隠さず全て、行為に至るまで語りますよぉ~!」
どうぞ、よろしくお願い致します。