25-3
――華賀峰家についての話から更に二時間後に、家族が会いに来たのだった。
見舞いの様子からして母はもう色々と知っていそうだが、全員がどこまで知っているかまで含めて確認しておく必要がありそうだと思った。僕は聞いてみた。
「話はどこまで聞いたの? 一族の過去の話は聞いた? 日記のこととか」
すると兄が。
「日記? いや、過去の話は少しは聞いたけど、それは知らない、多分一度も聞いてないよ。なんの日記なんだよそれ」
そう言われるまで、三人はもう聞いているんじゃ、と思っていた。そうか、と思って伝える。「古い日記だよ、極秘資料だってことを除けば、歴史的な遺物になるくらいのね。ちょっと誰かに頼んで話を聞かせてもらいなよ、なんでこんな力があるのかも分かるし」
その僕の勧めに、兄が返事を。「分かった、そうしとく」
「それよりどうだ」父が言った。「安静にしておかなきゃいけないんだろ、今は……大丈夫なのか?」
「ううん、全然駄目。三週間くらいここで安静にしておくようにって言われてる。全部治るのはそれから更に三週間後くらいだって」ここへ来る直前に国邑さんが僕に予め話してくれた――これはその内容だった。
「そうか」父はうなずき、そして。「そんなもんで済んでよかったな、ホントに」
死なずに済んでよかったな、と僕の立場に立った意味だろう。ただ、父としても、息子が死ななくてよかったという気持ちがあるはず。それが声に表れている気がした。
そう感じた一瞬のあとに、返事をした。「うん。死ぬかと思ったよ」
「ホントだよ」兄が言った、笑いつついつものトーンで。
ふと僕は気付いた。
「あ、お爺ちゃんとお婆ちゃんにはこのこと言ったの?」
すると母が。「ううん、言ってない。強引に教える必要ないでしょ? 今まで通り過ごしてもらいたいし。心配する必要も、もう全然ないみたいだし、ね?」
「え? まあ……必要ないって思えてるんなら、うん……」
そのあとは、世間話をするだけだった。
僕にとっては久々でもなんでもない。でも、みんなにとっては違うはず。いっぱい話そう。そう思った。





