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ブルーピーシーズ ~不思議な力が発現し子種や命を狙われ迷いの中で生きた僕の半生と関わる人々の生き方~  作者: 弧川ふき(元・ひのかみゆみ)
第二章 X

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25 解決の真実とその後

 約三時間前。

 目を覚ました時、目の前に女性がいた。国邑くにむらさんだった。目を覚ましそうな兆候が見られた時に誰かが知らせに行ったか、それともこの部屋に最初からいたか。とにかく国邑くにむらさんは、「大樹だいきくん、分かる? 聞こえる?」と何度も僕に言っていた。

 声を出せない。コクリとうなずくしかなかった。

 僕が何も言えないでいる時、国邑くにむらさんは何かスイッチを押したようだった。するとベッドの腰から上の部分が盛り上がった、リクライニング機能だ。

 僕がより楽な姿勢になって数秒が経つと、意識がハッキリしてきた。体の感覚も戻ってきた。と同時に、傷の部分の感覚が以前と違うのが分かった。皮膚が突っ張る感じ。

 大きな縫合ほうごう跡が幾つもある。それら全部の箇所が突っ張る感じで僕に不安を与えた。

 国邑くにむらさんに点滴の速さを遅めに調節されながら、僕は思ったことがあり、聞こうとしてみた。

「あの」

 今度はちゃんと声になったが、少し喉がかすれている。そのまま聞いた。「あの場所に男がいたと思うんですけど、あの男はどうなったんですか? それに実千夏みちかは……。練習場へ移動させたけど、あのあとどうなったのか」

 まだ苦しそうに聞こえたであろう僕の声を耳にしてから、国邑くにむらさんが。「まず、あのビルにいた男は逮捕されたわ。大樹だいきくんが昏倒させた男だろうってことでね、現場を見て判断されて、今は隈射目くまいめの地下牢にいる」

「地下牢……」

 そこがどんな所かなんてことは、今はいい。

 一つの安心を得て、今度は。「じゃあ、実千夏みちかやその護衛のことは」言って少し咳き込んでしまう。

 そこへ看護師が水の入ったコップを持ってきた。僕のいるベッドの隣の棚に置かれて、「どうぞ」と優しい声で言われた。

 喉もカラカラだし、僕はそのコップを左手で持ってみた。持つだけの力はあった。口へ運び、飲んで答えを待った。

 国邑くにむらさんは、「えーっと」と何やら記憶を探るように壁なんかを見ながら、ベッド横に用意されていた椅子に座った。それから思い出した様子で。「そうそう、希美子きみこさんがタオルをゲート化させてそれで送った――って檀野だんのが言ってたわ、できるだけ実千夏みちかちゃんの家に近い駅にね、希美子きみこさんの知ってる範囲でだけど」

 ということは隠さず見せたのか、こういう力があるってことを。まあ僕も見せたけど、ほかにもこの力の使い手がいるってことは分かったんだな。

「あの時の護衛も無事よ」これも国邑くにむらさんが。

「……そっか、よかった」

 それならと、今度はそのマギウト関連のことが気になる。「僕の力のこと、彼女にはどう――、そもそも詳しく教えたりしたのか、聞いてませんか? 組織のこともですけど」

「んー、組織のことは基本秘密なんだけど、話すのもまあできない訳じゃない、秘密を守ってくれるのならね。でも――そうできても――今の彼女が全部を絶対に知るべきって訳でもない、あまり気にさせたくないなら話さないって手もあるわ、だから念のためごまかした、その護衛の女性、犬神いぬがみっていうんだけど、その子が、ね」

 あの人イヌガミって名前だったのか。

 と僕が思ってすぐ、また国邑くにむらさんが言った。

「でも、大樹だいきくんの力……というよりマギウトのことだけは、こちらが話す前からある程度理解してたみたいよ。でも中途半端に知ってる状態だと思う、それはまずいだろうから、あとは大樹だいきくんから説明してあげてね。あなたの口から正しく情報を受け取ってスッキリしないと、彼女のためにもよくないと思う。あと、事が事だし、他人に言ったら大変なことになるよってことは既に言ってあるから安心して。あの子からなら……多分……秘密は漏れないとは思うけどね。その辺もちゃんと話さないとね」

 念のためちゃんと話さないと、とは言うけれど、十分信じてくれているらしい、それは素直に嬉しかった。それと同時に、確かに『そうか』と思った、もう知ってしまったあとだ、ちゃんと教えてスッキリさせてやらないと。

 でも、実千夏みちかは僕とこの組織の関係をどう思っているのか、それは気掛かりだ。

「この組織やマギウト練習場のことを、実千夏みちかがどう思ってるのか……知りませんか? あー、ほら、僕があの練習場へ繋いだから――、あのあと、誰かが何か説明せざるを得なかったはずだと思って……、僕が運べた理由とか、僕とここの繋がりだとかを」

 すると国邑くにむらさんが。「うん、それだけどね」前置きのあと少し間があり、それからまた。「サポートする組織と練習場所ってことにしてる。さっきも言ったけど、隈射目くまいめの真実を彼女が知る必要はないからね。この場所がどこにあるのかってことも、とりあえず秘密にしてる」

 僕は横に置かれたコップの水をたまに飲んだ。喉を潤しながら聞く。「じゃ、じゃあ……、警察のような……それよりも縛られない調査組織みたいなことは、全然――?」

「そ、言ってないわ」

「なるほど……」

 僕の納得後、国邑くにむらさんはまた。「まあ、話したければ話せばいいよ、でもその判断は、ちゃんと大樹だいきくんがするべきよ、私達はそこまで実千夏みちかちゃんを知らないしね」

 確かにと思った。「そうですね」

 受け答えをしながら考える。

 話を聞いた限りでは、まあ大丈夫だろう。実千夏みちかも、あの護衛女性――イヌガミって人がどんな人か、あの場所がどこなのか、それらに関して今の段階の情報で納得できているはず。もしそうでなくても、イヌガミさんが僕や僕と同じ立場の者と関わりがある者だという認識くらいはできているはずだ、恐らく。

 実千夏みちかの理解はそこまでだ、多分。だからこそ、大丈夫、きっと。

 そんなことを考えてから思った。

 ――ってことは、実千夏みちかは今頃自宅かどこかにいて、僕が話しに行くのを、そのための約束をされるのを待ってるってワケか。

「さて」国邑くにむらさんは言いながら椅子から立ち上がり、伸びをしてからまた話した。「あとは、家族への連絡、これはもう済んでる。で、見舞いに来てもらう時のために、奏多かなたくんと希美子きみこさんに話したんだけど、どちらも都合がつくのが夕方以降らしいのよ、それで、今日の夕方、とりあえず奏多かなたくんのゲートでまとめてお見舞いに来てもらうってことになったからね」

「なるほど、了解です。……ああ、えと、それで、僕はどのくらい寝てたんですか」

「三日間よ、ずっと寝てた」

「み、三日……」

 道理で体が重いと思った、筋肉が若干衰えているんだ。

 三日か――ってことは、実千夏みちかも僕を心配してるだろうし、不安だろうな、それもかなり……。僕が無事生きていると信じ込まされていても――僕がこんな状況だと知らなくても――、会えないのが三日も続けば、さすがになあ……。次に会った時は、三日間会えなかった理由についても話さないと。

 その時は、隈射目くまいめの正体を口走らないよう、言葉を選ばないとな。

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