17-2
自分が本当の子かどうか。中々聞けないでいたそのことを、僕は聞かずに確かめられないかと頭をひねった。
そして今日、その方法としての答えが出た。そうだ、アルバムを見よう。その写真の雰囲気や写っているものによっては、はっきりと分かるかもしれない。前は、偽装かもと思っていたが――、見れば、確かなものが分かるかも……。
帰ってすぐ、僕は母を探した。台所にいるのを発見。
「ねえ、僕のアルバムどこにある?」
「アルバム? リビングの戸棚の下の段にあるけど。どうしたの急に」
「ちょっとね」
「あ、分かった。あの子と見るからなんでしょ。知ってるよー、最近、付き合ってるんでしょ」
母はピーマンなんかを切っていたが、その包丁さばきを一旦止めたりしながら話した。
バレていたか、そう思ってから言う。「実千夏のことなら、そうだね」
「その子その子。あんた、頑張るのよ? あんな美人な子」
「分かってるよ。ちなみに実千夏は性格も美人なんだからね、外見だけじゃない」
「あらそうなの? それじゃあ余計に頑張らないとね」
「余計に?」
それはちょっと違うな、と思った。いや、努力の度合いというか、そういう話なら合ってるけど、それが常という状態ではいけないと感じた……のかな、多分それだ。
「頑張り過ぎなくてもいいようにさ、相応の人になるべきだと思うんだよね、釣り合わなきゃ変な気がするし。あー、他人から見て釣り合うように見えるかってことじゃなくて……そういうのはちぐはぐに見えてもいいでしょ、ほら、違うから惹かれるってこととかあるワケだし。んー……、自分達がしっくりくるのが一番というかさ。そのためには、焦っちゃ駄目というか、普段から意識するんじゃなくて、彼女と息ぴったしの人になりたいなーみたいな……、だから、頑張って合うようになるんじゃなくて、自然な状態からして合うのがいいな、って、そうなりたいなって。その努力はするけど、いつまでも努力してるから合ってるなんていうのは……なんというか、僕は嫌だからさ、いたたまれないというか」
誤解を招きそうな言葉が口から出たからつい長くなってしまった。
伝わったかなあ。そう思いつつ声を待つ。
間が空いた。聞いてみる。「なんか変なこと言った?」
「いや、そんなことないよ? ……ふうん、いいこと言うじゃん?」
「そ、そう? ならよかった」
答えていたら、話は永遠に続くんじゃないかと思った。
そのくらいにして、これか、と見付けたアルバムを、部屋へと、「じゃ」と言い残して持っていく。
ベッドに置き、胡坐をかいて見てみた。
まずは一ページ目。それから二ページ目、三ページ目と……。
写真はどれも幸せオーラに彩られていて、僕はこんなに愛されていたんだな、と気付いた。なんだか感動してしまう。
一番最初の写真やその付近をとにかくしっかり見てみた。
母が僕を産んだのは確かだ。寝台に寝ている。母も僕も。
病室の写真もある。その中の父は、優しそうな顔で、嬉しそうな顔で、写真の中の小さな僕を見ている。
僕はそれをまじまじと見詰めた。それから、そっとアルバムを閉じた。
あの幸せに満ちた顔……。嘘だとはとても思えない。
やっぱり信じたい。信じていい。そう思えた。二人とも僕の両親なんだと。
そして、二人のことを信じ続けよう、そう思った。
ということは、どういうことになるのか。
一番ありえそうなのは、父から僕にその血が――ということになるだろうか。
「お父さんはもしかしたら、目覚めることができなかっただけ……?」
その可能性は、多分あるんだろう。





