05 強がる俺
俺は貴族だ。
だけど、好きにお金が使えるわけじゃない。
俺の財布の中身はいつも心もとない。
だから、つい。
出来心だ。
「わーい、お金がこれでたまるぞわはははは(泣)」
ちなみにその店では、女の子も普通に働いている。
見回せば、主人公も隅っこにいた。
目があったらにっこり笑って手をふってくれる。
かわいい。
香月に接客されたいお客さんが、湧いた。
アイドルを愛でるオタクのような連中が、存在を主張しはじめる。
楽しそうだ。
けど男は、男の娘状態で働かなければならない。
楽しくない。
そういう店の方針らしいから仕方がないというのは分かるが。
俺はとても恥ずかしい思いをした。
お客さんはそんな男の娘たちに冷やかし放題。
他人の不幸が蜜の味なのだろう。
変態め。
そいつらが客じゃなかったら、ボロ雑巾に向けるような目になっていただろう。
ドエスの俺、誕生だ。
いや、これ以上新しい俺を誕生させてたまるか。
暗黒面に陥りかけたりしながら一時間働いた後、精神的に疲れた。
「おつかれさまーん。斑鳩ちゃん。また働きに来てもいいのよん」
「結構です」
「はい、お給料」
「ありがとうございます」
収入的には、お給金が多かったのでどっこいどっこいだった。
後日クラスメイトに見られていたのが分かって、皆から距離をとられた。
ひどい。
その代わりに香月に謝られた。
「いや、大丈夫だから、ほんと何もきにしてないから、あはははは」
男としてはそう強がるしかない。




