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クライシス

作者: 由々

crisis

…①危機。特に経済的な危機状態を指すことが多い。




「クビだ」

と言われてから三ヶ月が経った。その間、一切の金銭産出行為(労働)を行わなかったわけであるが、その時間が無駄であったとは私は思わない。頭と心の整理に必要な時間だったのだ、と言い聞かせる。しかしながら、実際のところは思わないのではなく思えないのである、ということなどとうに分かっていた。

さて、心には階層があるように思えてならない(話題転換という名の現実逃避)。皮膚で言うところの表皮と真皮のように、人間の心は真の上に覆いを被っている。そしてこの場合の真は真理の心で、覆いとはさしずめ建前の心といったところか。真理は見えているのだが、そこに手を伸ばさない状況。それがまさしく今の私であるのだと、真の心が言う。

突然ケータイが鳴った(といっても、ケータイが鳴る時の9割は突然であるが)。

「君、戻って来る気はあるかい?」

一行目のセリフを言った上司からであった。私は当然のようにーー


ここで回顧録に入ってみる。ああ、私は「クビだ」と言われたあの時のことを思い出すたびに、自分に腹が立ってしょうがない。私が勤めていた会社はバチバチのブラック企業であった。サービス残業当たり前、法律違反当たり前、叱咤叱咤の嵐当たり前、etc。私は心に決めていた。この会社を辞める時は、めちゃくちゃ暴言を撒き散らして辞めてやる。ああ、あの時の私は情けない。クライシスに怯えていた私は、何も言えないまま、ただ解雇されてしまった。回想録終わり。


ーー人生最大の暴言を吐いて断った。さて、仕事でも探そうか。




crisis

…②決定的段階

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