頬のこの傷か?…フッ。あの戦いは激しいものだった…(3年後の俺)
謎の美少女ヒーロージェシカちゃん!
AGE 17
HP 9
STR 9
DEF 8
AGI 11
INT 6
LUC 16
ちなみに20歳前後の平均的な男性のステータスが10程。うら若き乙女でありながらこのステータスはとても高水準! 「私はいつも鍛えているから当然だよねっ!!」
「圧勝!…どう?カッコイイでしょ…って、凄い血が出てるよ?!」
「お前のせいだよっ!」
包丁男から今し方命を救ってくれたのはこのジェシカ・オーフェンと名乗る女の子だ。しかし、俺に唯一傷を付けたのもこの子だ。まあ、不可抗力とも言えるが…ちょっとムッとしていいくらいは痛い。
「あ、ごめん、まさかそんな華麗にそっち飛んでいくなんて思わなくて…」
「全く、あと少しで死んでいたかもだぞ…」
綺麗な金髪、長さは肩あたりで切り揃えている。目は大きく、鼻と顔は小さい。またそれぞれのパーツが丸っぽくとても可愛らしい…可愛い…。
「ま、まあ。悪気は無さそうだし許してやるよ。」
「ほんと?わーい!無罪だ〜!!」
「何が無罪だ。」
ゴツンッ!
「痛いっ!!何するの皇羅!」
急に現れた男がジェシカの頭をそこそこ強めに小突く。
「君、流石にそれは大丈夫じゃないだろ?手当しないといけない。」
オウラと呼ばれた男が俺の傷を気にしてきた。まあ、当たり前か。さっきからドクドクト勢いは緩やかだが血が止まる気配がない。
「それに、ジェシカについても知りたいことがあるんじゃないのかい?」
「!……」
確かにそうだ。なぜマンモスブルーのブレ・ブレのレプリカを持つだけであれ程まで強くなったのか。俺は知りたくて仕方がなかった。
「こちらとしても君を野放しとゆう訳にはいかなくてね。その傷も、君が見たジェシカについてもね。」
ニコッ。オウラが笑う。ビジネススマイルとゆうやつだ。敵意がない事を示す為の笑み、好意が無い事が見え透いた笑み…
「わ、分かりました…お願いします。」
「そうと決まれば話は早い!Hey、タクシー!!!」
道へ駆け出し黒色の車に取り敢えず声を掛け始めるオウラ…ちょっと変な人だなぁ。
「てか、俺この状態で乗らなきゃいけないのか…」
「はいこれ。」
ジェシカが何かを手渡してくれる。ハンカチだ。…あ、急な女子力に少しキュンとした。
「…ん?、これは… 。」
殻皇獣隊・カクオウジャー……
「汚さないでね(ニコッ)」
こ、これは…威嚇だ…口角を釣り上げ歯を見せつける獣の如き笑みだ…
「む、無理かな?……」
「あ、てか君。名前は?」
タクシーを探しつつオウラが質問してくる。
「確かに。言ってませんでしたね。」
「ヘラクレスゴールドかっこいいよねぇ!!私最近の特撮ヒーローの中で1番好きだよォ!!」
バシッバシッ(ジェシカに叩かれる音)
「良ければ教えてくれないかい?勿論これを焼肉店のウェイティングシートに書き込んだり、通販の注文者に使ったりしないから安心してほしい。」
「流石にそんな事に使われる心配はしてないです。彩斗って言います。斉藤 彩斗。」
「特にギラファブラックとの初めての共闘シーンが熱いよね!!普段は仲悪いあの二人が仲間のピンチに共闘するあ・の・ば・め・ん!!。ねっ!?サイト!!」
バシッバシッ(ジェシカに叩かれる音)
「斉藤 彩斗?韻を踏みたかったのかい?君の親は。残念だが今から向かうのはラップバトル会場ではなく病院だ。大丈夫、顔の傷でラッパー人生が詰んだ人なんて今まで聞いた事ない。大したことないよ。」
「俺も他意の有る名付けだとは思ってますがラップとは無関係です。そこを気遣う前にこの血を気にしてくれませんか?」
「あの天界の使徒天使を2人で圧倒するんだから…もう…最高… 。てか彩斗!さっきから私の話全然聞いてないでしょ??あ…あー!!ダメダメダメダメッ!カクオウジャーハンカチを汚さないでって…ぎゃぁぁぁぁぁあ!!」
頬から滲み出る血の勢いがどんどん静まっていく反面、ジェシカの特撮話はどんどん激しくなっていくので、俺は仕方なくカラフルな薄目のハンカチを頬にベチャッと勢い良く当てたのだった。