物騒な物を向けるなバカタレ!
「こそこそとして怪しいヤツめ。何故この場に居合わせている?答えろ。」
冷たく問いかけてくる男の声。だが質問の内容は明らかに俺を敵とみているとしか思えない。
「ちょ、ちょっと待ってください!俺はジェシカに付いて来ただけです!」
「へぇ?ジェシカの名前も知っているのか。オウラの相手と良い、やはり組織された集団で有りそうだな。」
だ、ダメだぁ…全然聞く耳持ってくんない!
「あ、タキヤじゃん。今更すぎるよ!呼んだのお昼でしょ??てかなんで彩斗を脅してるの?」
………
「あ!!、なーんだ。君が彩斗君かぁ〜。こそこそしてるから分かんなかったよ(笑)ごめんごめん。」
誤解が解けたのか?後ろを振り返ると消音器を付けたライフルを持った男が立っていた。暗くてハッキリとは見えないが若く、髪を金髪に染めていて、顔はそこそこイケメンな方だ。
「タキヤ?さん?ジェシカの仲間ですか?」
「ああ、そうだよ。即応班は俺、ジェシカ。あとオウラの3人編成なんだよ。」
異能管理局…非公式とは言え色んな人が居るんだな…
「てゆうかあの人大丈夫なんですか?さっきその銃で撃ってましたよね?」
「ん?…ああ、頭に1発と心臓付近に2発当てたから流石に死んでるでしょ。今更反撃なんて無理無理。」
笑いながら包丁男の死亡の確定要素を述べるタキヤとゆう男。平気で軍隊が使うような銃を持ち歩いているし…
「てゆうか結構色々と聞いてる感じだね。オウラとジェシカはバカだからよく喋ったでしょ。」
…心無しか声色が再び冷たくなったような気がする。
「ほら、一応俺達って非公式組織じゃん?あんまり事情知ってる人が増えるべきじゃないしさ、そうゆう人はなるべく目の届く所に居てもらうか、喋らないよう『お願い』しなきゃいけないんだよね。」
ガクがライフルのグリップを握る手に力を入れた気がした。おそらく俺は脅されている…
「あー、それなんだけどさ」
場の重さに見かねたのかジェシカが話に割り込んでくる。
「うちの班の事務係として雇ってもらおうかなって、オウラと話してたんだよね。」
「え?雇う?…俺そんな話聞いてないんだけど?」
俺まだ17なんだけど。まあ、学校は辞めさせられたわけだし。中卒で働いてる人もいるって考えるとなしでは無いなろうけど。
「事務係?…そんな事言っても俺達なんて『行け』と『殺れ』しか言われねーじゃん。班の予算だってお前らのおやつ代とか飯代ばっかりだしよ。」
「それはまた…随分と簡略化された班みたいですね…。」
「そんな事言っても班に1人雇うことは許されてるし、誰を雇うかも本人の許可があればほぼ私達で決めれるじゃん。これだけ事情を知った一般人なら放置も無いだろうし。」
放置も無い…ほんとにこの人達はどんな人達なんだ?
「まあ、確かに。俺達をみて興味が湧かないはずが無いだろうし、その答えをベラベラと喋られて知りすぎた…って言うのは可哀想だよね。」
「んで?君は良いの?断ってもいつも通り過ごせるとは思えないけど。」
怖い、この人達の笑顔は怖い…
「じ、自分で良ければ…」
「よし!!そうと決まればお祝いだ!!今月の班予算の使い道が決まったな!!」
大きな声が再び後ろから、一応真夜中なのに。やはりこの人も少し…いや結構変な人みたいな感じか。
「オウラさん…って!傷だらけじゃないですか!」
ぬっと暗がりから出てきたオウラは体中が血塗れになっている。
「しけた顔をするなよ彩斗!いやいや…君みたいな常識人が欲しいとずっと思ってたんだよね!」
えらく上機嫌だな…もっと落ち着いた雰囲気の人かなと思ってたんだが…。
トントン、ジェシカが背中を軽く叩く。
「オウラはいつもこうだよ。私達にはね。つまり…いらっしゃい彩斗!!即応班へようこそ!!!」
「いまさっき会ったばかりだけど。まあ、良い所では無いから頑張ろうな!彩斗君!」
「よし!彩斗っ!!今日から俺がっ…僕が色んな事を教えてやるぞ!!」
…成り行きに流されまくったが…本当にこの人達と働く事になって大丈夫なのだろうか…




