新 謎の四人組 2
「………ここ、は?」
「起きましたか。」
………僕………何してたんだっけか………たしか………いつものように学校から歩いて帰ってたんじゃ、なかったか………?
光が見える、それは電灯の光じゃない、オレンジ色の、炎の光。
「………私がわかりますか?」
「………誰ですか。」
僕を見つめる一人の男、黒いマントで全身を覆い隠し、頭は剥げていて、脇の方に黒い髪が変に残っている。
「………ここは、いったい、僕に何があったんですか………。」
「………いまはまだそこで寝ていたほうがいいですよ、いまは、いまわね。」
そういって男の人は去っていき、かわりに白い法衣を身にまとった人間が歩いてくる。
「………えぇっ………?どういうことですか、今の言葉は。」
「そのままの意味ですよ、あなたはいま、別の世界にいるのですよ、おめでとう、我々はあなたを歓迎しますよ。」
「………異世界転移、ってことですか。」
「あなた達の視点から見たら、そういうことになりますね。」
僕は頭の中でかんがえる、これはドッキリじゃないのか、これをもし信じたら、その瞬間にカメラマンがゾロゾロ出てきて、ドッキリ大成功とか言うんじゃないのか。
「………まず、我々はあなた方に謝らなければなりません、あなたをこの世界に読んだのは我々です、我々があなたをこの未知の世界にお呼びしたのです、そして、きっと貴方達はもうもとの世界に帰れません。」
「………え………。」
「大変申し訳のないことをしたと思ってはいます、しかし、私達はそうしてまでやらなければならないことがあったのです………私達の世界にはある予言がありましてね、それは世界の存続に関わる危機が訪れる年代をピタリピタリと当てています、そして、次の危機が、この時代に訪れることになっているのですよ、だから貴方達を召喚したのです。」
………つまり、地球風に言えばノストラダムスの大予言に従い僕達を召喚したってことか、でも………。
「僕、戦ったりできないんですけど………。」
「それはご心配なく、まぁ後ほど説明しますか。」
「………まってください、貴方達ってなんですか!僕の他に誰かいるんですか?」
男はニヤリと笑って去っていく。
「………別に、体に支障はなさそうですね、では行きましょう、あなたのお仲間のところへ。」
「はい………。」
「健!?」
「和也!?」
僕が歩いた先には和也が立っている、どういうことだ、どうなっているんだ?
「………やっぱり来てたんだなお前!見ろよ、もう恵美や浩二も来てるぞ。」
「来たか………!!」
「健………!」
俺は仲間達とまだ来て浅いこの世界のことについて話し合う。
「………よし、ではこれから具体的な説明をしましょう、これから貴方達には魔法学園に入学して、魔法を学んできてもらいます。」
「げぇっ、ここに来てまで勉強かよ。」
和也はわざとらしく苦々しい顔を浮かべるが男は笑いを崩さず。
「これが、魔法です。」
指先に灯るろうそくほどの火。
「………うぉぉぉ………。」
「マジック………?」
「いや、これはさすがに本物………だよね?」
「うわぁ、すごいきれいじゃない。」
どうやら、ここでの生活はどんどん楽しくなりそうだった。
「………と、言うわけで、私の方で考えていた、臨時の剣術指導をやる冒険者を雇いました。」
「………ご苦労、しかし魔法院も困ったことを言ってくる、剣術を習うなら別でやってくれという話だ、我が校は元冒険者の教員がいいからともかく………。」
校長はそうブツブツ文句をたれたあと、俺の方を見る。
「いいかコーイチくん、ここから先のことは他言無用だ、契約書にも当然書いてあると思うが、いいな。」
「はい。」
「………では、これから3日後生徒が入ってくる、それまでに授業に関して用意があるならやっておくように。」