主人公の世界は美女が中心!
主人公の元恋人、多量。
私はただの大学生の佐倉。21歳。
そして、レズである。別に秘密にしてないので大学にいるほとんどの人が知っていると思う。
今は彼女募集中、誰でも良いって訳じゃない、コレでも私結構モテるからね、だけど高望みしていいなら〖料理ができる〗〖美人〗〖同居OK!〗で年齢不問な感じかな。
しかし私、朝は大学に行って、午後からはバイトって生活をしているのだが、そのバイトが高校の時に付き合ってた、とあるクラブのママに紹介して貰ったバイトなのだ、レズBAR【ROPIE】のバーテンダーの仕事。
超最高!店は綺麗だし来るお客様も綺麗だ。
自分の仕事が終わったらお客様からの指名があったり、その逆で気に入ったお客様を仕事終わりにお持ち帰りがあったり。お互いに同意している事ならば誰も止めない。
だが、こんないい店にも面倒な客はやって来る。酔っ払って暴れるくらいならまだいい方だ。
ここら辺のBARの中で【ROPIE】は、かなり美人率が高い。別に男性のお客様をお断りしている訳ではない、実際この店は居心地が良いので男性客も少数だがいる。
しかし、美人が多い、キレイなねえちゃん達に囲まれる事が出来る、もしかしたらちょっと強引でもお持ち帰りが出来ると馬鹿な考えを持って入って来る輩もいる。
そんな時に私の出番だ。一応空手黒帯持ってます。えへへ
私はバーテンダー兼用心棒という事だ。
こんな説明みたいな話を休憩時間にしていたら、なんだかホールの方が騒がしい。
「佐倉さん!佐倉さん!早く来てください!」
ホールの誰かが大きな声で呼んでいるのが聞こえた、急いでホールに行くと女性のお客様の首元に刃物を突きつけた男性がホールの真ん中に立っていた。
「あの、お客様落ち着いて、刃物をおろして下さい」
私は至って冷静に対応した。
「こ、ここに、さ、佐倉って奴がいるんだろ!」
二十代前半位の男性は苛立った様子で私を指名した。
「私が佐倉ですが」
男性は私を見て驚いた様子で目を瞬く。
「私へのご用件をお伺いしてもよろしいですか?」
「佐倉って男じゃなかったのか……?」
何故か男性は呆然としている。
「この店に〖さくら〗が名前に入っているのは私しかいませんが」
そう話掛けると目を覚ます様に首を振り何かを叫びだす。
『お前が奪ったのか!』『あの子を返せ!』『あの子を幸せに出来るのは俺なんだ!お前じゃない!』とか、色々叫んでいた。
「お客様、あの子とはどなたの事ですか?」
あの子とか叫んでるけど肝心な名前がわからないと思い出しようがない。
「香菜の事だよ!」
香菜、香菜?あ!2回位私からお持ち帰りした、あの香菜ちゃんか!
「香菜ちゃ…香菜さんは存じ上げてますが?」
「その香菜が!この店に通う様になってからおかしくなったんだ!」
おかしくなった?
「香菜は俺の恋人なのに!話を聞けば佐倉、電話を掛ければ佐倉、メールでも佐倉、ずっとお前の事しか話さないんだ!」
そう言ってL●NEを見せてきた。
全部見てみると、わかったのはコイツは香菜ちゃんのストーカーだって事だった。
かわいい女の子をいじめて良いのはいい事する時だけなんだ、とか色々考えてたらなんかムカついてきた。
男は片方の手のナイフをこちらに向けて、もう片方の腕で女性の首を絞める形で何かをずっと叫んでいる。興奮し過ぎて何を言っているのかわからない。
香菜ちゃんをストーカーして苦しめている、女性客を苦しめている、そう考えてとても苛立っていると共に非情な位に冷静になっている。
私は予備動作無しにナイフを持っている男の手を蹴り払った。男の手から飛んだナイフは私の手元に落ちてきた。その間に男の手から逃れた女性は私に抱き着いて少し震えていた。
女性が抱き着いて来たので慰めの意思も込めて抱き返すと、周りにいたお客様達とスタッフから「いいなぁ」と言う声が漏れていた。慰めてあげたら抱き着いて貰えると思うよ!と佐倉は色々と勘違いをしていた。
ナイフを近くのテーブルに置いて女性客を席までエスコートする。今回の件を謝罪しようと女性の手をとったら背中にドンと衝撃が当たった。
後ろを振り向くと男は笑いながら血の着いたナイフを持っていた。
刺されたことに気づきしばらくして滲む様な熱い痛みが背中に広がる。
美女に囲まれて死ねるなら意外と悪くないかもと考えながら床に倒れ全身の力が抜けていく。
女性客は泣きそうな顔をして顔を覗き込んでいる。
他のお客様もスタッフも皆、私の周りに集まって死なないでとか叫んでる。
「皆、私は助からないの、だから、っ、最後は綺麗な笑顔で送って?」
そう言うと皆泣きそうながらも笑顔になって、最後まで佐倉らしいねとか、佐倉好きだったよとか、佐倉今までありがとうとか口々に言ってやっぱり泣いていた。
「最後くらい、皆でヤリたかったな……」
これが佐倉の最後の一言だった。