それでも世界は
「それでも世界は」
「世界は美しい」と説く人に、
「それは本当か」と尋ねると、
決まって「本当だ」と言う。
私はそれが、信じられない。
おそらく、
問答を重ね、細部を問うと、
そこには、
忘れられた泥と染みがある。
はたして、
他人が説く「美しい世界」に、
泥と染みは含まれているのだろうか。
私たちはいつまでも言葉足らずで、
簡潔な言い回しに目が眩んでいる。
私たちはいつまでも感動を求めて、
ささやかな幸せを見落としている。
あなたの見ている「世界」は、
本当に「美しい」ですか?
短編賞の締め切りが今日までということで、何か書こうと思い立った結果がこれです。
新元号は令和ですが、それでも世界は美しいと言えるような、そんな時代になるんでしょうか。