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33.全武器解放☆フリーダム☆フルバースト

 

「クロマック。英下衆国に仇なす暴徒。日本を代表して。この俺が、西古 憲伸が貴様を討つ」


 闘技場の2階に位置する解説席。

 その中に居座るクロマックに向け、宣告する。


「ぬあにおー! ガキが! わいの居る解説席はなあ。5重の防弾ガラスになっとんのや! ガキのガトリングガンでも破壊でけへんで!」


 俺の力では無理だという。

 だが……今さら、それがどうしたという。

 元々が、ここまで来れたのも、俺だけの力ではない。


「ケンシン」


 隣に聞こえるのは、ゴミィの声。

 これまで俺の銃を整備してくれた天才少女。

 ゴミィの助けがなければ、ここまで勝ち抜けはしなかったろう。


「ゴミィ。力を貸してくれ。世界の運命を変える。そのための一撃」


 俺はゴミィの手に、スナイプ・デステニーを手渡した。


「分かったの。わたしの運命。バターナム国の運命……これで」


 膝立ちとなるゴミィが、スコープに目を当てる。


「憲伸くん。あの防護壁。抜く手立てはあるのか?」


 大盾を構え、俺たちを守り立つ筆頭騎士。

 その防御がなければ、俺は撃ち殺されていただろう。


「筆頭騎士。世界を破壊しようとする、奴の悪意。止めるための力を」


 俺は筆頭騎士の手に、バスター・バズーカを手渡した。


「うむ。無反動砲。いや、グレイト・バズーカを借り受ける。任せろ」


 その肩にバスター・バズーカをかつぎ、筆頭騎士が胸を叩く。

 名前を間違えているが……まあ良い。


「にゃん! ようやくココロちゃんの出番にゃん!」


 そう。ココロちゃんが両手に2丁の拳銃を構えて言う。


「……アタシは?」


 そう。俺に向けて片手を差し出す奈美。


「奈美。剣においてはお前がはるかに上。だが……」


 本来。指揮を執るべきは、最も力のある者。

 この場であれば、奈美である。が……


「今回は、俺に任せてもらいたい。奈美は、これで援護を頼む」


 俺は奈美の手に、サブマシンガンを握らせた。


「当然。こう見えてアタシ家庭的なのよ。内助の功。アンタに従うわ」


 奈美はサブマシンガンを腰に構え、ゴミィに使い方を聞いていた。


 旅の始まりは奈美とゴミィ。

 英下衆で不当に差別されるゴミィを助けようとしたのが全ての始まり。


 ……その旅路も、ここが最後の道程。


 決着を着けるべきは、俺たち。

 英下衆で共に学び。共に泣き。共に戦った俺たちの。

 英下衆留学を締めくくる別れの一撃。


「いくぞ! 超・天才流剣術・改2が甲が最終奥義」


 俺が右手に握るはガトリングガン。ガトリング・デストロイ。

 俺が左手に握るは拳銃。シューティング・スター。


 その両手の銃を。

 ゴミィのスナイプ・デステニーを。

 筆頭騎士のバスター・バズーカを。

 ココロちゃんの2丁拳銃を。

 奈美のサブマシンガンを。


 今こそ俺たちの力を。

 全て一斉に解き放つ。


全武器解放☆(オールウェポン)フリーダム☆(自由に)フルバースト(撃ちまくれ)


 ドガガガガガガガガガガガ

 バーン

 ズダーン

 ドカーン

 バンバーン

 パパパパパパパッンッ


 集まる火線が収束。

 クロマックが立てこもる解説席へと吸い込まれ。


 ズドズドズドーン


 5重の防弾ガラスが、5人の銃撃。

 その同時多重砲撃の前に爆散する。


「あひいいいいい!!!」


 爆風。破裂。飛散。

 解説席を守る防弾ガラスの全てが吹き飛び。

 クロマックの身体もまた、闘技場内。

 俺たちの前にまで、吹き飛ばされていた。


「あひい……かんにんや……魔が差しただけなんや……」


 この期におよんで、まだ泣き言を。

 銃を用いて世界を制する。

 貴様の野望の前に。どれほどの生命が犠牲となったのか。


 両手の銃を投げ捨て、腰の太刀を引き抜き、歩み寄る。


「あひいいいいいい!!!!」


 両手を掲げて降伏の意を示すクロマック。


「待ってください! 超・天才剣士・改2甲選手。クロマックの処遇は、私たち英下衆国に任せてください」


 進む俺に声をかけるのは、実況アナウンサーだった男。

 今さら。誰が何を言おうが、俺のやるべきことは何も変わらない。


 悪・即・斬。


 ズバーン


 必殺の一撃が。クロマックの首を打つ。


「……憲伸。アンタ……やっぱり変わったわね」


 撫子一徹。サイレント(みね)・スラッシュ(打ち)


「前なら問答無用で再起不能にしたのに……ね」


 この刀は。撫子から譲り受けたもの。

 見事な刀なれど、俺が真に譲り受けたのは侍の魂。

 例え銃を手にしようとも。俺の心は侍であり剣士である。

 無益な殺生は避けるべき。と。


「後の処理。任せて良いのか?」


 刀の背で首を打ち、気絶させたクロマック。


「はい。クロマックに協力して暴挙を働いた連中。必ず締め上げてみせます」


 その身柄をアナウンサーに引き渡す。


「にゃっ?! にゃにゃにゃああああ!?」


 ココロちゃん。いきなり、なんだ?

 発情期でも来たのか?


「アホにゃ! ココロちゃんは猫じゃないにゃ! それよりも! 頭を下げるにゃ!」


 慌てて頭を下げるココロちゃんに続き。


「こ、これは……ははー!」


 筆頭騎士までもが、その場に膝を着いていた。


「英下衆皇子。エイジス様。なぜこのような場所でこのような仕事を?」


 なんと……このアナウンサー。皇子だったのか?


「うん。それはもちろん。英下衆最強武闘大会だもの。英下衆の晴れ場だから見に来て欲しいと、クロマックに誘われたんだけど……まさか、このような暴動を起こすとはね」


 世界最強を決めると銘打ち、リニューアルされた最強武闘大会。

 その記念すべき第1回大会であるならば、皇族が訪れるのも自然の流れ。


 憲伸。奈美。ゴミィも。

 揃って膝を着き、その襟を正す。


「あー。いや……そういう、かしこまったのが嫌いで、アナウンサーとして参加したんだけどね。はは」


 なかなか気さくなお人柄のようである。


「とにかく、後は任せてください」


 皇子の指揮の元。クロマック。

 そして、協力した貴族クラブの連中が引っ立てられていく。


 最後に、振り返った皇子。


「そうだ……超・天才剣士・改2甲選手。優勝。おめでとう!」


 そう。大きな声で憲伸を祝福した。


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