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18.教室、シューティング☆スター


左手1本で薬室を開き、薬莢を排出。

新たな弾丸を拳銃へと込め直す。


「こいつ。気が狂ってる」

「俺ら貴族クラブ相手に」

「てめー死んだぞ」


ごたくは結構。


貴様らが構内で好き勝手できるのは、口達者だからではないだろう。


講師ですら歯向かえない絶対の力。

反抗するなど思いもよらない、恐怖でもって抑え込んでいるからだ。


貴族クラブは絶対。貴族クラブが正義。

それが英下衆国における常識。


そのような常識を払拭するに、常人は無力である。

必要なのは凶器。

常識を撃ち壊し、新たな時代を築く絶対の狂気。


「超・天才流剣術・改。シューティング☆(拳銃発)スター()


パン


「ひぎゃー。死んだのは俺だあああ」


多少撃たれた程度で大げさな奴め。

死んではいない。

殺していないのだから当然である。


狂気にみせて俺は冷静。

構内で殺したのでは。

講師の前で殺したのでは、俺は退学となる。


「あー。いや。構内での暴力行為も、その、退学なんやけど」


今さら何をボソボソと。

講師の話す宇宙言語。

俺には翻訳不能だからして無視に限る。


「つか、おめーさっきから拳銃ばっかじゃねーか」

「拳銃とか、俺らですら持ってない超高級品。ひきょうやろ」

「そやそや。剣士なら刀で来んかい。刀で」


所詮は惨めな貧乏貴族のひがみである。

戦争は金。

膨大な資金力により多数の兵士。

高性能な武器を揃えた者が勝つ。


そもそもが、負傷したままの右肩。

動かすと痛いので、なるべく刀は使いたくない。


よって。

ギャースカわめく貴族クラブを尻目に再度、弾丸装填。


パン


「ぎえええ。痛い」


ためらうことなく射撃する。

これで7名のうち5名が戦闘不能。残るは2名。


「ひええええ」

「た、たすけ」


もっとも、すでに戦意喪失。

無駄に弾薬を使うまでもない。

銃把で頭を続けて2発。


スコーン コーン


殴り倒して騒ぎは終結する。


しかし……銃。凄い武器である。

ただ引き金を引くだけで、大の男が血を流してのたうち回る。


この拳銃を2丁。自在に操るココロちゃん。

超・天才剣士が負けたのも道理といえるだろう。


が、今やその力もすでに俺の物。

超・天才剣士・改。もはや負ける気がしない。


とにかく、これで講義に集中できそうだ。


バターン


と思えば、そのドアが勢いよく開かれた。


「英下衆大学警備隊である」

「構内での乱闘騒ぎはここかー?」


また騒がしいのがやって来た。

そもそもが、騒ぎは治まったというのに今さらである。

とりあえず対応するしかあるまい。


「お疲れ様です。暴動は俺が鎮圧しました。彼らの拘束をお願いします」


俺は他の者が口を開くより早く。

床で倒れる貴族クラブ。7名の拘束を警備隊に依頼する。


「おお。貴殿が暴動を。かたじけない」

「おつかれさまっす。ごくろうさまっす」


感謝の礼の後。警備隊は床に倒れる貴族クラブへと近寄る。


「んな? こ、こりゃー倒れてるのは、貴族クラブの連中じゃねーか」

「マジかよ。こいつ。貴族クラブをとっ捕まえ立ってのか?」

「しかし……こりゃ、困ったぞい。どうしたものか」


何でも良いので、邪魔な連中をとっとと連れ去って欲しい。

俺の発砲が表ざたになる、その前に。

そんななか。講師が憲伸を指さし喋りだした。


「あー。わいは講師やが、そこの留学生が銃を乱射したんや。捕まえるならその男やぞ」


おのれ。余計なことを。

貴族クラブの横暴には何も反応しないというのに。

ここぞとばかりに、貴族クラブにおもねるなど。

ともあれ、何らか反論せねばマズイのは事実。


「待っていただきたい。今回の騒動。非は貴族クラブにある。それは、講師の方も生徒諸君も目撃していると思うが?」


そう言って見回す室内。

講師も。生徒も俺と目を合わさないよう、下を向いていた。


無理もない。

俺に味方するということは、貴族クラブを敵に回すということ。

寄らば大樹の陰。誰しも自分の身が可愛いのは当然である。


「わたしが証人なの。憲伸はわたしを守ってくれただけ……でも……やっぱり、やりすぎなのかも……」


俺を擁護するのは、ただゴミィだけである。

にしても……ゴミィ。なんだ。その自信なさげな擁護は。


「貴様。正気か?」

「何があったか知らないが、構内で銃を発砲するとは」

「とにかく。逮捕だ。たいほー」


警棒片手に勢いよく走り込む5人の警備隊。


やむをえない。

カチャリ。薬室に新たな弾丸を込め、憲伸は1歩進み出る。


足元。床に倒れ伏す貴族クラブの1人。

その、こめかみへと銃を突きつけた。


「止まれ。こちらはすでに射撃体勢。近寄るならば発砲せざるをえないが、よろしいか?」


俺が戦うべきは貴族クラブ。

いたずらに敵を増やすつもりはなく、警備隊と事を構えるつもりもない。

ここは平和裏に話し合いで解決したいところである。


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