白雪姫と7人のイケメンな、こ(い)びとたち
森と水が豊かなその王国には国民想いの王様と、美しく心優しいお妃さまがいらっしゃいました。とても仲の良いお二人はなかなか子宝に恵まれませんでした。王は神に妃は精霊に願い続け15年も過ぎた春・・・優しい光の中で一人の姫が生まれました。その姫の肌は透き通る様に白く、瞳は黒く大きく、唇は真冬のリンゴのように赤く、髪は艶やとした黒色でした。
人はその姫のことを『白雪姫』と呼びました。
姫の生母は産後の肥立ちが悪く、姫を一度だけ抱くと、息を引き取りました。
王の悲しみは深く、城の中だけでなく、国中が悲しみにくれるのです。
一年が過ぎました。
そんな王を心配して、宰相や、近しい家臣は先のお妃さまに似た方を探しました。王が活力をみなぎる様に。生まれたばかりの姫には新しい母となる様に。
先の妃の遠い親戚に、先の妃によく似た容姿の娘がいました。
その娘を新しい妃に迎えることにしました。その娘は先の妃よりも15歳若く、やっと少女を脱した年齢でした。
若い新しい王妃を迎え、城は活気に満ちました。そして王もかわいらしい若い妃に元気を取り戻しました。
また新しい若い妃は継母としてはまだ若すぎて姫の子育てに興味をもてず、もっぱら子育てはベテランの乳母や侍女たちにまかせていました。
王妃になった少女は、ますます磨きがかかり自他ともに認める美しい妃となったのでした。
王や妃がそれぞれの公務につき日々をすごしていくうちに、白雪姫は何の憂いもなくすくすくと育っていきました。
15歳の誕生日を祝う舞踏会を開くことになりました。
王妃をはじめ貴族の方々が一斉に城に集まり、姫の大々的なお披露目となります。
そのお披露目は姫の伴侶を見定める絶好の機会にもなります。
年頃の男性上級貴族はお目にとめられるようにと、工夫をこらし、適齢期の貴族の子女は集まってきた年頃の男性貴族とお近づきになれるように一層めかしこんだのでした。
舞踏会の日。それは白雪姫の誕生日でした。
国の名だたる貴族と王と王妃が見守る中、主役の白雪姫が登場の声と共に重たい扉の向こうから登場しました。
そのとたん、会場にいたすべての人から感嘆の声が異口同音聞こえてきました。
なんと美しい・・・・
透き通るように白い
この世の一番の美姫
それをみた王妃はイライラしました。
称賛の声は自分のものであるはずでした。
それ以上に王妃をイライラさせたもの・・・それは白雪姫の姿です。
白雪姫の姿は15年前の自分の姿にそっくりでした。
そして血眼になって白雪姫を見る王。
それは父としての慈しみと言うよりも美しい若い初めて見る女を食い入るような瞳でした。
王妃は危険を察知しましたが、王妃として舞踏会中は笑顔を絶やしませんでした。
舞踏会も終わり、自室に戻ると王妃は世界で一番大きく、正確に姿を映し出すという鏡に向いました。
鏡に映るのは上品で美しいとはいえ、若さもなくなった貴族の婦人です。
こんなはずではなかった。
こんな姿になるなんて嘘だわ。
顔を右にむけては・・・
ああ、こんなにかすれているわ・・・・・
あの娘の肌は真っ白で、その頬はうっすら桃色に色づいていたのに
それから、左に向け手でほほの弾力を確かめながら・・・
ああ、こんなに頬が垂れ下がって・・・
その細部まで確認していきます。
あの娘はみずみずしい張りのある肌でふっくらしている・・・
鏡に映る王妃の唇は少し黒ずみ触るとガサガサします
あんなに明るい色・・・そしてぷるぷるとした艶の唇・・・
なんて、違いなんだろう。
なんて、きれいなんだろう。
なんで、私と違うの?
なんで私が一番きれいでないの?
王妃は世界で一番大きく、正確に姿を映し出すという鏡に向い言いました。
「世界で一番美しいのはだぁれ?」
答えを求めるように鏡を見つめて王妃は見つめていましたが、ただの鏡が返事をするわけはありません。
王妃はがさつく唇を舌でぺろりと舐めると、両口端をわずかに引き上げ、にっこりとわらうと
「それは・・・私よ」
と言いました。
王は翌朝、すべての会議や謁見に白雪姫を同行させると言い出しました。
それは今までは王妃の役目でした。
王の命令で王の周りの世話は白雪姫がすることになりました。
といっても、簡単なことで、脱いだ上着を受け取る、侍女が入れたお茶を手渡す・・・疲れると膝枕を所望し、一緒にお茶を飲んだりする簡単な役目でした。王は嫉妬深く美しい王妃が他の貴族や男たちと口をきくのも嫌がりましたから四六時中そばに置きたがりました。
王妃はその営みが白雪姫に移るのが面白くありません。
会議以外のところでは王の横には白雪姫がいるようになりました。
誕生日前には王妃がやっていたことでした。
その姿を物陰からみるにつけ、王妃はいらだちを募らせるのです。
秋が深まり、盛に落ち葉が一面に敷き詰められる頃、国王主催の狩が催されました。
名だたる貴族の男子がこぞって出席します。
その昔、狩は冬を越ための食料を確保する目的でしたが、いまでは男子の力強さを示すスポーツの一つとなっており、婚礼前の貴族たちはその雄姿を見せようと思うものでした。
今年の参加人数の多さは、白雪姫を目当ての男子がおおいせいでしょうともっぱらの噂です。
貴族のたしなみですので狩好きな子女も参加します。
今年はどういうわけか白雪姫も参加することになりました。
なおさら、貴族男子ははりきりました。
犬は獲物を探し走り回り、馬は犬の声に向かって突進していきます。猟銃は獲物を狙い、獲物は猟銃に打たれて獲物となる。
白雪姫も獲物をさがして追いかけます。どの犬よりも馬よりも先回りします。
それは獲物にされる動物たちを逃がすためでした。
そうこうしているうちに白雪姫は森の奥深くに踏み込みました。
そこにはだれもいません。
いないはずでした。
一人の猟師が白雪姫を狙っていたなど、気が付きもしませんでした。
猟師は王妃の命令で白雪姫を狙っていました。
けれどもりょゆしは森の中に佇む白雪姫の美しい姿にすっかりと見入ってしまい、引き金を引くことができません。
王妃の命令にも背くことができません。
王妃の命令に背いた人は数日中に家族全員消えてしまうことは、王国の裏社会では有名な話でした。
しかたがないので白雪姫を捕まえて丸裸にしました。
白雪姫は知らない男、それも猟銃を持つ男に追いかけられて、森の中を逃げまくりました。
そのため足や手に擦り傷ができ、ドレスもあちこち破けよごれました。
「死にたくなければ、服を脱いでもらおうか」
びりびりと破きながらドレスを脱がすと一発の銃声をとどろかせました。
夕闇迫ります。森には猛獣もいます。
ところどころ破けた、血がべっとりとついた白雪姫が来ていた服を持って猟師は王城にもどりました。
猟師はウサギやシカなどを狩っていました。獲物の血をこっそりとつけていました。
この服だけを見つけたと、そう王に報告しました。
森の奥深くでは、野獣に食べられて骨も見つからないことはよくあることです。
特に冬眠前の動物たちは、越冬用のため、たくさん食べます。
動物たちが一番肥えているので狩をするのですが、動物たちも一番植えている時期でもあるのです。
王はおどろき嘆き、そしてひどく悲しみました。その王を身も心をも使って慰めたのは王妃でした。
白雪姫に向かっていた寵愛は、王妃のもとに戻りました。
王妃はこっそりと喜びました。
一方、裸のままで森に放置された白雪姫は、その場に立ちすくみました。
夕闇はどんどん迫ってきます。
結った髪をほどき体に巻き付け、おそるおそる歩き出しました。
右も左も危機が生い茂っています。
どちらにいったらいいのかわかりません。
遠くで獣のなく声がします。
白雪姫は怖くなり、無我夢中で走りました。
どのくらい歩いたことでしょう。
灯りのついた小さな家を見つけました。
家からはおいしそうな匂いがしました。
小さな扉を開くとおいしそうなスープとパンがあるではありませんか。
おそるおそる家にはいり、そっとパンとスープを口にいれると・・・
王城では食べたことのないほどおいしい味です。
あと少し・・・あと少し・・・と思っているうちに全部食べてしまいました。
お腹がいっぱいになると眠たくなりました。
きょろきょろと部屋を見渡すと、小さな扉がありました。小さな扉を開くと、小さなベットが七つつながっています。横向きにねるとちょうど白雪姫の大きさになります。
あら、ちょうどいいわ。ちょっとだけやすませてもらいましょう。
裸のまま小さな7つのベットに横たわりました。
「なんだ?この裸の女の人は!!」
「はくしょん・・・泥だらけでベットに入られたら困る!!」
「きれいな人だなぁ」
「食事がなくなってる!」
「きっと、髪を結い上げたらお姫様のようだよ」
「黒い髪に、透明な肌だなあ」
次々に言葉が上から降ってきます。
白雪姫はゆっくりと目を覚ましました。
そこには近衛騎士よりもはるかに美形な男たちが自分をのぞき込んでいます。
急に視界に7つの美男子の顔が現れて、白雪姫はびっくりして真っ赤になってしまいました。
「あれ?今度は赤くなった!熱かもしれないよ!」
そういうと一人は額に手をあて、もう一人は布団を上からかけなおし、もう一人は濡れタオルを持ってきて額の手の上にあて、子守唄を歌うものまで出てきました。
「このこ・・・すごい・・・いいにおいがする・・・」
ベットの周りを取り囲んだ男たちからちょこっと顔を出してかわいい感じのイケメン君がのんびりとそんなことを言いました。
ほかの6人もそうだ!そうだ!と同意します。
「あれ?パンとスープの匂いがするよ・・・」
皆くんくんと白雪姫の周りを嗅ぎだします。
「ごめんなさい・・・そこにあった食べ物をいただいてしまったの」
布団から目だけをだして、白雪姫は斜め45度上目遣いに男たちを見ました。
そのごめんなさいに、7人は、こんな恋人がいたらいいのに・・・こんな女の子をお嫁さんにしたい・・・こんな女の子とお付き合いがしたい・・・と7人は思うのでした。
それから、女の子の話を聞くと美しい女の子は白雪姫で、お城から追い出されてきたと言いました。
本当はお城から追い出されたわけではないのですが、お城に帰っても父王のお世話をしなければいけないし、王妃にはなにかと嫌味を言われるしいいことはなさそうなので、この7人のイケメンと一緒にいたほうがずっと自由で快適で暮らせると思い始めていました。
七人のイケメンは
長兄は知識豊富な学者肌。黒髪・短髪、・メガネ叱ってくれる兄さんタイプ
次兄はワイルドな筋肉隆々、すぐに怒りけんかをするタイプ
三男はいつもニコニコ仲裁をする平和主義者
四男はいつも片手にブランケットを持っていて所かまわず眠ってしまう甘えん坊さん
五男はいつも誰かの後ろからしゃべってくる気弱なシャイな感じ
六男はくしゃみばかりしていて鼻の頭がまっかっか。いつも文句をいいながら仕事はできるので話を聞いてあげたくなるタイプ
七男はかわいらしい天使のような巻き毛とお顔。女子のようなかわいさをもっている、守ってあげたい弟タイプ
どれも、趣のちがうなかなかの顔立ちと素敵さ。この7人がいれば、どんな女子もメロメロになるのは間違いなし!というぐらい各種イケメンが取り揃えられています。貴族の中で、顔で選ばれる近衛騎士たちとはちょっとちがう、体には労働でついた筋肉がまとわりつき、ワイルド感もあるイケメンたち。しげしげと男たちを見つめた白雪姫はここに住まわせてもらおう!とはおもうのでした。
その思いは伝わるようで、イケメンたちも、若い女の子・・・それもお姫様がいてくれるのは張り合いがでて、仕事の進みは2倍!食欲も2倍!お洗濯も2倍!になりました。
手が足りないということで白雪姫は率先して手伝いをする代わりに、住まわせてもらうことを約束したのでした。
王宮のひときわ高いバルコニーから輝きが見えます。
王妃はその輝きがとても美しい宝石のようで、自分のものにしたくて仕方ありませんでした。一番美しいものは一番美しい自分の手の中になくてはその美しさの価値も見いだせない・・・そんな風に勝手に思っていました。
誰にもとられないようにひとりこっそり、老婆に変装して、光り輝く場所に向かうとそこには間口の小さい家がありました。窓も小さくて家中をのぞくと、雰囲気がそれぞれ違う7人のイケメンとその中心には白雪姫がいるではありませんか!
なんて素敵!筋肉むきむきでワイルド感がある、趣向の違う7人のイケメン!王宮にはこんなイケメンはいないわ!
ああ、あんなイケメンとだったら、私も一緒にいたいわ!一緒に住んでみた!。
王のようなおじさんよりも若いイケメンのほうがいいに決まっている!
白雪姫!うらやましいわ!
白雪姫のように囲まれてすごしてみたいわ!
あの子がいなくなれば・・・この美しい私があの子の代わりにここにいられるわ!
王妃は一人思いました。
どうやったらあの子はいなくなるかしら・・・
男物の服を着ていた白雪姫。
そうだわ!たくさんある王宮の洋服を売ればいい!
名案が閃いたと思い、王妃は翌日若い娘が好きそうな服を持ってきました。
老婆の行商人になりすまして。
白雪姫は大きい男物の服しかなかったので喜んで老婆の行商人を家に招き入れました。
「これも素敵よ、こっちはどう?」
と言葉巧みに老婆の行商人は進めます。
王宮にいた時よりは簡素なドレス・・・・。これで7人のイケメンたちは自分を好いてくれるだろうか・・・王宮に帰って素敵なドレスを着て改めて着たほうがいいのではないかと悩む白雪姫。
「子のドレスを試着してみなさいよ」
と赤から黄色にグラデーションになっているドレスを男物のシャツをはぎとり、無理やり着させました。
そして腰ひもを首に巻くのが村の流行と話すと白雪姫は腰ひもを首に巻きました。
それをぎゅっとしばれば、白雪姫はあっという間に倒れました。
これで、白雪姫はいなくなった。
明日この家の前で倒れていれば、きっと白雪姫の代わりになれるはず・・・
王妃は案外簡単だったと思いました。しかし、王妃は人を虫を殺したこともなければ、人も殺したことはありません。どのくらいの力で人が死ぬのかも知りませんでした。
力仕事をしたことのない王妃の力では、いくら組みひもを引っ張っても、白雪姫を気でつさせることはできても命をうばうまではいきません。
しばらくたって意識がもどった白雪姫は喉元が少しばかり苦しいと思うだけでいつも通りにすごしたのでした。
森の中のちいさな一軒家。そこでイケメンのキラキラしたオーラの中でまだ暮らしている白雪姫を見つけた時には怒りくるうようでした。
七人のイケメンンは白雪姫をそれはそれは熱い視線で見つめていたのですから。
王妃様はほかに方法がないか探しました。
必ず使うもの・・・に毒をしみこませるのがいい・・・それも7人のイケメンが使いそうもないモノ・・・
白雪姫の美しい黒い髪を思い出しました。
王妃は考えに考え、次は違う行商人の老婆に変装して櫛に毒をしみこませ、もっていきました。
そして櫛で真っ黒い髪をとかそうとすると、ちょうど七人のイケメンが仕事から帰ってきました。
美しいイケメンのぴかぴかする笑顔を見ると、王妃は老婆の姿を見られるのが恥ずかしくなり、あわてて帰っていきました。
王妃はもっとこっそりと、白雪姫を葬る方法はないか考えました。
白雪姫は、食いしん坊だったわ。
食べ物だったらなんとかならないかしら。
魚や肉に毒を仕込んでみますが、色がかわったり、匂いがした理、どの毒もうまくしこめません。
夜も深まるのも気にせずに、色々な食べ物で試してみました。
一番毒がありそうに見えないもの。それは真っ赤なリンゴでした。
赤い真っ赤なつやつやのりんごだったらうまくかくせました。
そのリンゴをもって白雪姫のところに急いで向かいました。
今度は老婆に変装するのを忘れてそのままで。
りんごだけだと怪しまれるので、色々な野菜をもって。
七人のイケメンたちは最近白雪姫の周りで起きる不可解なことに警戒心を募らせていました。毎日出かけるときに「知らない人は家に入れない、モノはもらわない」と何度も言い聞かせていました。
王妃が森の小さな家に着いたときは、七人のイケメンはいませんでした。
白雪姫がベットメイクをしていました。
「おじょうちゃん・・・お野菜はいらないかね?」
外に行ってはいけないと言われているし、家にも人を入れてはいけないと言われている。でも、窓から買うのはいいわよね。買い物も行けないし、少しばかりこのやつれた今日承認から野菜を買ってもいいわよね。
7人だって、おいしいものを食べたいはずよ!私のことを好きになってくれるかも!
それにこの行商人のかた・・・前のおばあちゃんたちと違ってやつれたご婦人だわ。生活に困っているのかもしれない!助けてあげなければ!
白雪姫は窓辺から野菜を見せてもらい買っていきました。
お支払いもすませて、家の中にはいろうとすると
「このリンゴはおまけで上げるよ」
と真っ赤な美しいリンゴを白雪姫に渡しました。
「おやつにかぶりつくといいよ。こんな風にたべるとリンゴはよりおいしいよ」
そういって別の真っ赤なリンゴをかぶりつきました。
その姿をみて白雪姫のおながかぎゅ~~~ぐるぐるぐるとなりました。白雪姫もお腹がすいていたので行商のおばあさんのようにかぶりつきました。
そして白雪姫は倒れたのでした。
仕事から帰ってきた7人のイケメンは泣きました。
唇をかみしめて嗚咽をがまんする者。
勢いよく泣く者。
文句を言いながら泣く者
みな、それぞれでした。
森の木陰から、ひっそりとその様子を見ている王妃。
昨日、毒リンゴを作るのに必死でお肌も髪も荒れ放題です。
イケメンって泣いている姿もかっこいい
木陰からこっそり見つめて一人で悦にひたっています。
私の手でもっと泣かせたい。
うひひ・・・と一人笑いました。
私の手元に7人を呼び寄せるには、屍になった白雪姫がじゃまだわ・・・
どうにかしなくては・・・・。
近々隣の国の王子様が謁見という名の白雪姫とのお見合いに来る予定があることを思い出しました。
どうせだったら、さっさとくっついてもらいましょう。
ニヤニヤと王妃は思いました。
森の木こりに頼んで大きな街道は封鎖させ、白雪姫が眠っている棺がある場所に向かうようにさせました。
街道を外れた王子一行。複数の男の人の鳴き声を聞き、近づきました。こまったことがあれば助けるのが貴族というものだと、周りから教え込まされてるので。
泣いているのは棺をかこんだ7人の趣の違うイケメンたちでした。
男の私がみてもかっこいい!
怪しまれない程度にじろじろと見ました。
自分の周りにはいないタイプだ!
泣き続けている7人のイケメンたちをみて、こんなイケメンを泣かせるなんて!どんな悪い人なんだ!と興味を示しました。
王子は棺をあけると白雪姫を見るなり、恋に落ちました。
棺に入っている屍ですが・・・・。
それほどつやつやで生きているような姿で美しかったのです。せめても自国につれてかえりたい。そう願い出ました。7人のイケメンは反対しました。
王子も引きません。棺に入っている女性が白雪姫と聞くと、自分の婚約者だと言って、せめても、白雪姫の亡骸は王族として王廟にあるべきだと力説します。
それは仕方がない事・・・と思い、王子に棺に入った白雪姫を託しました。
王子は従者に棺をかつがせました。
従者たちも予定外の荷物・・・それもこんな重いモノ・・・・
一日で力が尽きました。
街道にでてしばらくすると、王子は白雪姫のいた王城ではなく、王子の国元に変える方向を指示しました。
それはをもってでは長い長い道のりになります。
こんなのやってられるか・・・と心の中で皆思っていたとき、棺を持つ従者の一人が小石に足を取られました。あっという間に棺は道に落ち、割れてしまいました。
そして、割れた棺の白雪姫はコホンと咳をひとつすると起き上がったのでした。
「ここはどこ?私は誰?」
あたりを見渡していいました。
王子は
「あなたは私の妻で、これから国に帰るところです」
と言いました。
このまま、事情をごまかして自分の国に連れて帰ろうという魂胆です。
白雪姫は見ず知らずの男の言葉を信じました。
だって本当の王子様で上品なイケメンですから・・・・。
しばらく、筋肉隆々の7人のイケメンにかこまれていたので、違うイケメンを見て恋におちたのでした。
何もわからない白雪姫は隣国の王妃となり幸せに暮らしました。
それから、王妃は白雪姫化けて7人のイケメンのところに行きました。
「だれ~~」
「なに?このおばさん」
「新しい家政婦ですか?」
と言われよう。
化けたつもりでも歳をかくせませんでした。
特に昨夜は毒リンゴをつくるためにほぼ徹夜にしたので、髪はつやがなくお肌は荒れています
「白雪姫がいなくっちゃね~~」
「白雪姫を嫁にしたかったのに!!」
「白雪姫の恋人になりたかった!」
「白雪姫におかあさんになってほしかった!」
と各々肩をおとして言いました。
7人のイケメンは魔法のたまものだったらしく、しゅるしゅるしゅるという音とともに7人はイケメンの小人になりました。
白雪姫風に化けた王妃は、小人でもいいわ!イケメンだったら!恋人になって!!
とおいかけましたが、王妃はここ何年も走ったこともなく早歩き程度のスピードです。
「なんかすごい顔の人が追っかけてくるよ」
「こわいな」
「逃げちゃお」
そう言って森の中へと散り散りに逃げていきました。
ああ、イケメンに囲まれてうっとりと過ごしたかっただけなのに・・・
優雅にお茶をいれてもらったり、街に買い物を付き合ってもらったり・・・きっと他の子女たちはふりかえるでしょうね・・・あんなイケメンが7人もいたら・・・得意顔で歩ける・・・と思ったのに・・・
逃げられてしまった!もっと美しくならなければ・・・
王妃様はお城にもどって女に磨きをかけて、再度挑戦しようと思いました。
町までもどってくると・・・
あれ?この町はイケメンが多くない?
インテリ風・・
筋肉もりもり風・・・
騎士の制服が似合う制服男子・・・
ちょい悪オヤジ風・・・
若い人から壮年の方まで・・・
もっとゆっくり見ていたいわ!
王妃様の目は急にランランに輝きました。
もうすっかり森の中の7人のことは忘れてしまいました。
ここなら7人でも10人でも恋人にすするには事足らないわ!
さっそく宿に向かいました。
まずは、住処をつくらなくっちゃね。
王妃の心は恋する乙女です。
宿に入ると男子たちは声をかけてきました。
ますます王妃様はうれしくなってしまいます。
王妃様は知りませんでした。
ここには女性が少ないことを。
男たちが活気があるれることは理解しましたが。
それは男たちが女の生気で美しくなっていることを
それからしばらくして、王妃様は男たちに生気を吸われつくし、見るから老婆になるりました。
ちなみに王宮では、王様は若い娘に生気を吸われて・・・・あっという間に廃人になってしまいました。
王城に住まう王都王妃以外、皆、生気を吸うゾンビになっていたというのはまた違うお話です。
2018年の童話祭りは、参加を見送るつもりが・・・『IF童話』というのがなかなか面白かったので参加してみました。ちゃんとできたかどうか・・・・(;'∀')