グレン、6
強さとは何か。あの後何度も考えた。でも、答えはやはり相手と戦ってどっちが最後まで立っていられるか、それに尽きると思う。その強さがあればよそから来た大人たちに俺たちの村が壊されることもなかったし、俺の母ちゃんや父ちゃんが死ぬこともなかった。俺がちゃんと守ってあげられればよかったのに……。だから少なくとも今生きている姉ちゃんだけはみすみす殺されるようなことはさせたくない。
だけど、師匠の言うように強さが一つじゃないっていうのもよくわかる。
あれは、いつものように部屋を抜け出して朝の特訓をしていたときだ。その日は急に雨が降り出した。俺は急いで雨具を取りに部屋に戻ると、フレロレは机に向かって座って何やら書いていた。
そのとき何をしていたのか聞いたがはぐらかされてしまったが、あとであいつの机の引き出しから見ると、見たことないノートが出てきた。そこには一般的な人の行動と心理の因果、世界の先の予想と展望など、自分の考えを交えながら事細かに書かれていた。また、予想が間違っていたときにはなぜ間違ったのか、考察を交えて……。それが30冊も……。
それを読んで、フレロレが言っていた根本というのがふんわりと理解できたとき、フレロレが何をしていたのか、何がしたいのか、何のために学校に来たのか、ふんわり分かった。
絶対的な力に対抗できない人が絶対的な力に対抗するための強さ、これがフレロレの求める強さなんだと……。きっと、あいつは世界を変えたいと思っているんだろう。
俺がフレロレの強さに共感することはできないけど、あいつもあいつらしい何かを持っていることがなんだかうれしかったし、フレロレらしいと思った。
これから始まる大戦が終わったら、もっとあいつの話を聞いてやるか。俺には師匠がいたけど、本気で欲しい物だったとしても何かを求めるのは孤独でつらいものだ。そろそろ一人で抱えてつらくなっていることだろう。
だから、俺がこっちにいる間、姉ちゃんは任せたぜ!帰ったらちゃんと話を聞いてやるから!
師匠に促されるままその日は眠りについた。




