表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/93

ソルナード、2

「敵の南側の城壁にわが軍を偏重させたおかげで敵兵は北門にほとんど守備隊を配置していない。ザンゾニス隊は北門から侵入し敵将の首をとって来い!」

「ハッ!」

我がソルナード軍最強、いやガルネシア王国最強、いや、この大陸最強の部隊であるザンゾニス隊が出動して戦に敗れたことは一度もない。それほどまでにザンゾニスの力はこの世界で突出している。

ザンゾニスに一般人が百人同時に切り伏せようとしても返り討ちに遭うのがオチだ。相当な達人が複数人がかりでようやく何とかなるかもしれない。彼を倒すというのはそういう次元の話だ。彼が強いのにはわけがある。ザンゾニスは戦いにおいて心をなくすことができる。だから何に対しても迷いがない。恐怖や悲しみ、憎しみ、誰かを守るため、何かを救うため様々な理由はあれど、そういう感情を何一つ感じずに人を殺すことは本来不可能だ。だが、ザンゾニスは何も感じない。だから、感情による一瞬の迷いはなく、他の人が思考や雑念によって遅れる一瞬早く動ける。敵からすれば腕が、剣が何本もあるように見える。


それは2本の剣を操る彼の武術、この大陸最強の流派、弐刀天承に関係がある。舞うように美しい剣技を持つ流派だがそれと同時に心を深く深く押し込み最終的になくすことでそれは完全に伝承される。その修行を半端者が行うと言葉遣いや精神に異常をきたすこともある。だが、ザンゾニスはそういう意味でもかなり強い。

彼の感情は訓練によって手に入れたものだ。普段は普通の人と変わらない。私より二回りも大きい男相手に普通の人と変わらないというのもなんだか変な話だが……。あいつは最強だ。弐刀天承を極めただけでもかなりすごいことだがそれに加えて頭もキレる。戦場において常に的確な判断をする。私も味方だからいいものの敵対したら対応策に困る厄介な相手だ。敵の城からさっそく白旗が上がる。

まだザンゾニスを派遣して数分しかたっていないというのに……。

そうならないように彼の存在はあまり外には出さず勝負を決める一瞬だけに使う。私の策をもってすれば今回の城なんかはザンゾニスを使うまでもないが……。


戦が終わり捕虜や戦利品を確認しているとザンゾニスが戻ってきた。

「終わりました。」

「ご苦労だったな、ザンゾニス!」

「いえ、この程度なら。」

「何か褒美をやろう。欲しいものはあるか?」

「次の戦場ですかね。指示がないと我々は戦えませんから。それまで我々も訓練を積んでおきます。」


ザンゾニスには欲もない。彼が欲しいものがあるとしたらそれは戦場のみ……。

だからこうしたザンゾニス以外にも手柄を与えてあげるべき戦にも参加させている。


「すまないな。それでは私は王に報告と葉巻を届けに行ってくる。戦後処理は私の部下がやっておくから、お前は体を休めておけ!」

「ハッ!そう言えば一つお聞きしたいのですが……。」

「どうした?」

ザンゾニスが質問とは珍しい。


「トルニエ将軍は生きているのですよね?」

「ああ。」

彼は強い。王との確執がなくなったら、また戻って来てもらわねばならない。この大陸を治めるには彼の力は必要だ。私が放った監視員は皆彼を見失い、今どこで何をしているのかはわからないが……。

「じゃあ、あいつも……。」

「あいつ?ああ、バルヴァンか……。」

「ええ。」

「バルヴァンも生きているだろうよ。」

そういうとザンゾニスはフッと一瞬顔を緩めると

「今日は消化不良だったので仲間たちと戦闘訓練をしてから休息に入らせていただきます。」

と言ってザンゾニスは軍本部のテントを出て行った。

「まったく……。わかった。無理はするなよ。」

去り際にそう言ったが聞いてはいないのだろうな……。


バルヴァン、彼も弐刀天承の使い手でザンゾニスの弟弟子だ。何かとライバル意識を持っている。言語障害のある半端ものだが、確かにザンゾニスと渡り合える可能性があるとしたら彼だけだ。彼に固執しているところがザンゾニスの数少ない人間臭いところだ。


おっと、こうしてはいられない。王の機嫌を損ねたらまた面倒なことになる。あとトラーノ様からも王妃様の影武者が必要になるとか言われていたな……。適当な奴を見繕っておくか……。戦利品をまとめて王宮に向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ