第十四話 オーク退治と商人
「ここでござるな」
「ああ」
俺達は農工都市ヘベーラの北に在る。街道に来ていた。この道は王都に続いてるため、商人や旅人が良く通る。
オークともなると、頭が良く。人間が良く通る場所の近くに巣を作ったりするため、街道の近くにはオークが存在する可能性が高い。
「それで、どうやって探すでござるか?」
「……どうしようか」
「え! 考えてなかったのか」
てっきりエルの事だから何か考えてるかと思ってたけど……。
「しょうがない。この道を歩いて、オークが襲ってくるのを待つか」
「そうだね。それが良いと思う」
「なら『爆虫の図鑑』いつでも戦闘出来る準備をしとかないと」
桜のエルも戦闘の準備を始め、数分後には準備が終了した。
「いくか」
「でござるー!」
そして、俺達は街道を歩き出した。
◇
「見つからないでござるな」
「そうだな」
探し始めて三時間ほど。一台の荷馬車が通っただけで、オークは、一行に襲ってくる気配がない。
「矢っ張り街道を歩くだけじゃなくて、こっちから探した方がいいよ」
「そうだよなー」
確かにエルの言う通り、こっちから探した方がいいかもしれない。
「ん? あれは何だ」
ふと前を見ると、遠くの方でなにやら起こってる。
「あれは……。荷馬車が襲われているでござる!」
「本当だ!」
桜の言葉に、エルも気づく。
「助けるぞ!」
うまくいけば金がっぽりだとかは言わない。
「分かった」
荷馬車に近づくと、3匹のオークが取り囲んでおり。一人の商人らしき人が剣を構えてオークに向かっている。見ていてもとても戦闘なれはしてそうに見えず、素人の剣とおなじだ。
「俺が右のオーク」
「ボクが左」
「せっしゃが奥のでござる」
それぞれの狙いが決まり、一斉にオークに向かう。
「サモン『爆虫(集中型)』×5。オークにとりつき爆破!」
俺の命令で、爆虫は一斉に飛び立つ。
そのままオークに取り付き、爆発した。
「ブモオオオ!」
オークは爆虫で大怪我を負い、血みどろになりながら辺りを見渡す。
俺は爆発するあいだ手に集めていた魔力をオークに向かって解き放った。
「ウインドカッター!」
俺はそう唱え、オークに止めをさした。
「ふう終わった」
桜とエルを見てみると、桜のは首を切り落とされ。エルのは首を正確に切りつけ、死亡していた。
「終わったね」
「そうだな」
俺達はオークの死体を見つめながら言う。
「すみません」
オークを退治し終わるよ、商人らしき人が話しかけてきた。
「助けて頂き、ありがとうございます」
「いえ、お礼はお金で結構ですよ」
「主殿は助けたと思ったらすぐこれでござる」
「ええ。渡せる金額が銀貨二十枚しかないのですが……」
「ありがとうございます」
銀貨五枚もらえればいいと思ってたのだが、予想以上に手に入った。
「それで、なんでこんな所に一人で……?」
普通なら魔物や盗賊対策に、護衛が居る物なのに、この商人は一人だ。
「はい、ちゃんと冒険者の護衛は雇っていたのですが、オークを見るやいなや逃げ出してしまって……」
「それは……。ご愁傷様です」
逃げ出すなんて、護衛なら守らないと。けど、護衛対象を置いて逃げたなら依頼停止か、最悪除名処分だろな。
「折り入って、お願いがあるのですが……」
「何ですか?」
「王都に向かう予定なのですが、そこまで護衛をお願いできませんか?」
「すみません王都に行く予定はありません」
「そうですか」
商人の人も断られる前提なのか、余り落胆はしていない。
「それならば、新しく護衛を雇うために、農工都市まで護衛して頂けませんか? もちろんお礼はします」
「……少し相談させてください」
一人では決められないので、相談をする事にした。
「銀貨二十枚も手に入ったし、ここは護衛してさらなるお礼を受け取る方がいいと思うが……」
「ボクもそれがいいと思う」
「そうでござるな」
意見がまとまり、俺達はそのむねを商人に伝える。
「ありがとうございます。そうだ、わたしの名前はルキスと申します」
「バベルです」
「エルフィルです」
「桜でござる」
「それでは、短い間ですが、よろしくお願いします」
そんなこんなで、俺達の始めての護衛が始まった。
◇
「ありがとうございました」
あれから荷馬車に乗って一時間ぐらいで、ヘベーラの門前まで到着した。あれから襲ってきたのは2匹のゴブリンだけだったので、護衛はかなり簡単に終わった。何か起こった事といえば、お昼に退治したオーク肉を食べたぐらいだ。とても美味しかった。
「いえ、こちらこそ」
「では、これがお礼です」
そういって渡してきたのは、一つのポーチだった。
「ポーチ?」
正直しけてるとしか言えない。
「ええ。これはただのポーチではありません。魔法のポーチです」
「魔法の……」
確かによく見ると、魔力を見る事が出来る。
「そろそろ宿の準備などをしないといけないので、わたしはこの辺んで」
そう言って、商人のルキさんはヘベーラに入っていった。
「確かに魔力は感知できるから、ただのポーチじゃない」
「何のことでござるか?」
「そういえば言ってなかったな。俺は、魔力を感じる事が出来るんだ」
「え!?」
俺が魔力を見られるのは、エルと両親しか知らない。母さんが『バベルにもやっぱり』なんて言ってたのと関係が有りそうだけど。母さんから、この力はみだらに人に見せてはいけないと言われた。だけど桜はパーティを組むなら知っといた方が良い。
「魔力を見るでござるか。……月光国では魔力の事を妖力と、言うのでござるがせっしゃもゆにーくすきるに関係なく、そんな力を持っている人を一人知っているでござる」
「な、そうなのか。その人はどうしてた!」
「うーん。分からないでござる。せっしゃが小さい頃に死んじゃったでござるから」
「そうか」
この力を持っている奴が他にも居たか。これがどういう物かは分からないしな。
「まあ、いいや。使える物は使うだけだから」
「それで、それは物をいくらでも入れられる魔法のポーチかな?」
「エル殿。それはお伽噺の中だけでござる。本物は作った者の腕しだいで、入れられる量も変わってくるでござるよ」
「なるほど」
しかし、こんな良い物もらっていいのかな。
「まあいいや。これはエルにやるよ」
「え! いいの?」
「ああ。じゃあ、俺達も帰るか」
そして、俺達は農工都市の門をくぐった。
予想外の出来事があったが、銀貨二十枚と魔法のポーチ。それにオーク三体はいい稼ぎだった。




