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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第八章 ガルハ王国編
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第百十五話 【魔風スマッシュハリケーン】

 戦車に乗ること三日間。たまに空を飛んだり地下を潜ったりしながら、終にガルハ王国まで到着した。


 桜が暑い所に行きたいと言うからガルハ王国まで来たが、思えばバカな旅だった。いろいろあったけど、二国間を数週間で移動するなんて、やっぱ異常だよな。


「よし、あたしはここらへんで!」

「ありがとう!」

「感謝するでござる」

「うん。じゃあ、最後に猫ちゃん撫でさせて」


 その言葉を聞いて逃げようとするニャルカを捕まえ、エルニスに投げ渡す。というか、綿の詰まった手は感覚があるのか?


「あの国境を越えればガルハだね」


 俺の目線の先には、ガルハ王国の国境が見える。狂気山を越え、高原を越え、川を越え、森を越え、岩場を越えた先にあるガルハ王国周辺は暑く、冬とは思えなかった。


「良いでござるなー」


 桜は伸びをする。俺達が今居る場所も、サバンナの様な所だ。危険性の少ない魔物が闊歩しているのが見える。


「よし、行こうか」

「だな」


 エルニスにぐったりしているニャルカを返してもらい別れる。『酷いめにあったにゃー』と言うニャルカを暑苦しいが頭に乗せ、国境へと向かった。



 ◇



 ガルハ王国は、環境ががらりと変わる。砂だけの大地、砂漠。暑い日差し。寒い夜。旅人はその変わりすぎる環境にビックリするし、今までの装備では砂漠越えなんて出来ない。だから、新しく砂漠用の装備を買わなくてはならない。ガルハの国境には、そんな旅人を狙った商人が居る。


「まいどありー」


 ガルハの国境で屯する商人から砂漠越えの装備を買った。日差しを遮るローブ。大量の水。食料。その他もろもろ。俺達は装備を調え終えると、これからの事を相談する。


「どこに行くのでござるか?」

「俺はどこでもいい」

「……知ってる? ガルハ王国ってのは魔法が盛んな国なんだ」


 エルは、ガルハ王国の解説を始める。


「それで?」

「だから、ガルハでも特に魔法が盛んな都。魔法都市“マルカーニャ”に行こう!」


 別に反対する理由もないので、俺達の目的地はそこに決まった。



 ◇



 迷った。いやね、舐めてたよ。一面砂、砂、砂、砂。人もオアシスも生物も存在しない。しっかりと準備してくれば良かった。まさか、方位磁石が狂ってしまうとは。


「……どうする」

「さあ?」


 エルも頭を抱えている。桜だけは砂山で遊んでいた。


「あ、暑いにゃ」


 小さなローブに、ブーツを履いたニャルカはもうぐったりしている。

 正直、これは自業自得だ。キャラバンに便乗させてもらうか、案内人でもやとった方が良かった。金をけちった結果だろう。

 そして、今現在真っ昼間。強い日差しが照りつけている。幸い水は水筒にいれてエルと魔法のポーチとニャルカのがまぐち型の魔道具に大量に入れているので、喉が渇く事はない。ニャルカのがまぐちはどれぐらい入るか分からないが、五本入れても大丈夫だった事から、容量は結構あると推測出来る。さすがは魔道具作りの達人といわれる妖精族製だ。


「本当にどうしようか」


 カラっとした日差しが照りつける砂漠を当てもなく歩く。桜だけは日差しを物ともせずに楽しんでいる。


「はあ。どうする?」


 エルの問いかけに、少し考える。当てもなく歩きまわって体力を消耗するか、とどまって誰かが通りかかるのを待つか……。


「爆虫に乗って行くか」

「爆虫に?」

「そう。爆虫に」


 でかぽんを召喚し、上からエルに貰った大きな布を掛け、ロープで縛る。これで、でかぽんの熱を遮る即席ローブが完成。そして、目がある所に穴を空ける。これで、布に包まれた空を飛ぶ怪しい物体に変身したでかぽんの完成だ。


「これに乗って行けば体力を温存出来る」

「う、うわー」


 遠い目をしたエルに、桜とニャルカをでかぽんver.2に乗せ、飛び立たせる。


「さて、どっちに行こうか?」

「え、えーと。確かあの国境から南西に向かった所に魔法都市マルカーニャがあるんだよね」


 ここがどこだか分からないから、その情報もあまり意味がない。


「当てもなく彷徨ってたらいつか着くでござるよ」


 俺達には道しるべがない。だから、彷徨うことにした。




 なーんにもない。一面砂だらけ。サソリみたいな生物が居た以外は生物を見ていない。


「なんにもないね」

「そうでござるな~」

「にゃー」


 いったいいつまで彷徨っていたらいいのだろう。そろそろなにか見えてもいいはずだ。


「はあ。……ん?」

「にゃにゃにゃ」

「……風」


 そう思っていると、三人が真剣な顔になる。ニャルカはしきりに耳を動かし、あたりの音を拾っている。桜は一言風とだけ呟いた。


「……それだよ。風だ。とてつもなく大きな」

「大きな風。それって砂嵐か?」

「そうかもしれないでござる。砂が巻き上げられる気配がします」

「そうにゃ。大きな風。まるで生きているみたいにゃ」


 大きな風。生きているみたい。ここは砂漠。


「「…………」」


 それに当てはまる存在が一つ思い当たる。砂漠の災厄。砂嵐の上位互換。災害であり、二つ名持ち。


「「【魔風 スマッシュハリケーン】」」


 砂漠を彷徨う、最悪の自然災害だ。

更新ペース戻すとか言ってまったく戻せずすみません。やっぱり、一月の前半まではこのままの更新ペースが続きそうです。

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