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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第二章 冒険者編
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第十話 冒険者登録

「バべル君、桜ちゃん。見えたよ。あれが、農工都市ヘベーラだ!」


 旅三日目の昼。俺達は終に、農工都市ヘベーラに到着した。

 少し見た限りヘベーラは低めの壁に囲まれており、その周りに畑が密集しているような場所だ。


「やっと着いたのでござるね。早く入るでござる」

「そうだな。行くか」



 ◇



「身分証明書を提示してください」

「田舎の村から出てきたので、持っていません」


 俺達はヘベーラの門の前で、衛兵に身分確認をされていた。


「そうですか。田舎の村とは何処の?」

「ニナリ村です」

「ああ、あの村か。そちらの二人も?」

「は……」


 ……待てよ。桜って月光国からの商船にただ乗り。途中嵐に遭い沈没、そしてあの川に居た。もしかしなくても桜は不法入国じゃないか。

 ……桜の事を話すか否か。少し考え、俺は……。


「はい」


 後者を選択した。だって言ったら絶対に面倒な事になる。


「そうですか。では――」


 その後は衛兵さんにいろいろ質問され、はいいいえと答えていく。


「――分かりました。では仮身分書を渡します。七日までに市民書か、ギルドカードを発行して、提示してください。それと身分書が無い場合、入街税金として、一人銅貨十枚支払って貰う事になっています」

「そうですか……」


 そう言えば、桜はどうするんだろう。

 そう思い、後ろを振り向くと、土下座をした桜が居た。


「お金を貸してくださいでござる」

「…………」


 確かにお金を貸してくれと言われる事は考えていたけど、まさか土下座までしてくるとは。

 と言うか周囲の視線が痛い。何か俺の事をゴミを見る様な目で見てくる。


「分かったよ! 貸すから頭を上げてくれ」

「助かったござる」

「じゃあ、衛兵さん。これ銀貨一枚」

「うむ。――大銅貨一枚と、銅貨二十枚のおつりだ。では、ようこそ農工都市ヘベーラへ」


 衛兵さんはそう言うと、次の人の身分確認に戻って行った。


「主殿、エル殿。町に入れたでござるが、まずはどうするでござるか?」

「まずは冒険者登録に行こう!」

「そうだな」


 近くの人に、冒険者ギルドの場所を聞き、みんなで向かう。


「主殿、ぎるどとやらに行った後は、どうするでござるか?」

「そうだなー、まずは宿の確保かな」

「みんな、着いたよ。ここが冒険者ギルド」


 エルの指した方向には、剣と盾の看板をぶら下げ、よく酒場にありそうな両開きの扉の建物だった。


「入るか」

「うん」


 扉を開け、最初に目に飛び込んできたのは酒場だった。酒場には人があまりいず。その酒場の奥には、窓口と掲示板。二階と地下に行く階段が在る。


「あの、【依頼受付&冒険者登録】って場所じゃないかな」

「多分そうだろ。あそこに行ってみよう」



「済みません」

「はい。ご依頼ですか。登録ですか」

「冒険者登録に来ました」


 受付に居たのは、20代前半位のお姉さんだった。


「登録には、一人銀貨一枚掛かりますがよろしいでしょうか」


 受付のお姉さんにそう聞き、桜にお金の事を相談しようと後ろを振り向くと、土下座をした桜が居た。

 今は人が居なかったが、もし人が居たらこんな女の子に何をさせていると言われるだろう。


「お金を貸して欲しいでござる」

「金ないぞ」

「ガーン」


 そう、お金が無いのだ。衛兵さんに銅貨三十枚渡したので、残りは銀貨二枚に大銅貨一枚、それと銅貨二十枚。二人分の登録費用しかない。


「あの、もし魔物の素材があれば買い取りをしておりますが」


 受付のお姉さんも駄目もとで言っているのだろう。だがこっちには来る途中狩ってきた魔物が有る。それを売れば登録費用は何とかなるだろう。


「お願いします」

「え! あ、はい。あちらの買い取り受付まで移動してください」


 まさか本当に素材を持っているとは思わなかったようで、驚いていたが、プロ意識か持ち直し、すぐに案内する。


「よかったでござるー。登録が出来ないかと思ったでござる」

「良かったね桜ちゃん。じゃあ、買い取りの方に行こう」



 買い取り受付の方に行くと、筋肉ムキムキで厳つい顔のおっさんが居た。

 もう一度言おう筋肉ムキムキで厳つい顔おっさんがいた。


「やあ、少年達。買い取りかい」


 筋肉ムキムキで厳つい顔のおっさんが、見た目とは裏腹に優しそうな声で話しかけてきた。

 これがギャップ萌えと言うやつだろうか。おっさんの萌えなんて何も嬉しくないが……。


「はい、買い取りです」

「そうか、ではこの机にだしてくれ」

「はい」


 俺はオークの耳と魔核各二つ。ゴブリンの耳と魔核二つ。一角兔の角と耳と魔核をリュックから出し、机に並べた。


「ほお、オークを倒したのか。しかも二体」

「はい、ここまで来る途中で遭遇して」

「なるほど。――よし鑑定終了だ。まずオークが二体で銀貨二枚。魔核二つで銀貨一枚。ゴブリン二体で銅貨二枚。魔核も同じく銅貨二枚。一角兔耳と魔核も二つで銅貨二枚だ。角は品質も良い。銅貨二十枚の処、銅貨二十五枚で買い取ろう。締めて銀貨三枚と銅貨三十一枚だ」


 それはだとうな値段か? いちおうギルドは信用出来る組織だし、それでいいか。駄目だったら爆発させればいい。


「それでお願いします」

「――ほい、銀貨三枚と銅貨三十一枚だ」

「ありがとうございます。――じゃあ、登録しに行くぞ」


 筋肉おっさんからお金を受け取り、登録受け付けの方に戻る。




「あ、お金用意出来たんですね」

「はい、銀貨三枚です」

「確かに受け取りました。ではこちらに必要事項をお書きください」


 そう言って受け付けのお姉さんは、ホワイトボードの様な物を三つ取り出して。俺達に渡してきた。

 この板? から魔力を感じる。何かの魔法でも投与エンチャントされているのかな。


「どうしました? 読み書きが出来なければ代筆などはしますが」

「いえ、この板見たいな物の事が気になって」

「ああ、それは魔道具ですよ。書いても後から消せる物です。結構安価に売っていますよ」

「なるほど」


 魔道具か、魔道具とは魔力を使って動かす道具だ。燃料として魔力や魔核を使う。


 魔道具には、名前、年齢、特技、出身と出ている。俺もエルも教会で読み書きは習ったので、ある程度は出来る。

 よく見ると、名前と年齢の覧には必須と注意が書かれている。


 名前はバべル。年齢15歳。特技は魔法と爆発。出身ニナリ村と。


「「「書けました(でござる)」」」

「はい。――では、ギルドカードをお作りします。このカードに血を落としてください」


 目の前に、三枚のカードと、三つの針が出てきた。


 針で指を刺し、出てきた血をカードに落とす。そうするとカードが一回光り、緑色になった。


「はい、出来ましたね。ではカードの説明をします。このカードは魔力が込められており、自分の属性の色になります。風なら緑。火なら赤といった様に。それに、カードの右下の▼のマークに触れてください」

「うお!」


 お姉さんに言われた通り、マークに触れると、空白欄にユニークスキルの説明がでてきた。


「そのカードにはユニークスキルの説明が記載されます。それを表示出来るのは本人だけなので、ご安心を」

「確かに凄いカードですが、こんな高性能で良いんですか」

「はい、そのカードの技術はギルドが握っていて、作り出すのに銀貨一枚分のお値段がするだけですから」

「そうですか」

「では、カードの説明は以上です。次に冒険者の説明をさせて頂きます」

「はい!」


 ずっと後ろで聞いているだけだった。エルが身を乗り出して、興奮する。


「冒険者はFランクから始まり、E、D、C、B、Aと上がって言います。最後のSランクは世界に六名しか居ません。この国にもSランクは一人居るんですよ」

「そうなんですか」


 人外の域、Sランク冒険者。考えれば考えるほどなるのは難しい。


「依頼は同ランクか、二つ下までの依頼しか受けられません。最初はFランクからとなります。そちらに在る掲示板の依頼を達成して、実績を上げていけば、ランクは上がります。Fランクだと町のお手伝いしか依頼はありませんが、戦闘能力を計る試験をクリア頂ければ今日からEランクと成りますが、いかがいたしますか?」


 どうするか相談するために後ろを振り向くと、やる気に満ちた二人が居た。


「じゃあ、やらせてください」

「はい、そちらの階段から地下に行ってください。そこで試験を受けられます」

「はい。――じゃあ行くか」

「「おー」」



 受付の左手にある階段から地下に下りる。

 そこには、試験と書かれた扉と訓練と書かれた扉の二つが在った


「この、試験って書かれている扉だね」

「さっそく入るでござる」


 俺は扉を開け、中を見た後、……ゆっくりと扉を閉めた。


「やばいのが居た」

「何が居たんだい」

「見てみろよ」


 エルは試験と書かれた扉を開け、俺と同じようにゆっくりと扉をしめた。


「本当だ。何か居た」

「何でござるか。せっしゃも開けてみるでござる」


 桜も扉を開け、高速で扉を閉めた。


「何でござるか、あれは!」

「わからん。もう一度開けてみよう」


 俺が意を決っして扉を開けると、目の前に立った魚が居た。


「うわぁぁぁあ!」

「なんだ、試験を受けにきたギョ」

「ギョ?」

「僕はアジ。試験官だギョ」


 なるほどアジとは、というかこの二足歩行の魚は何なんだ!


「すまん、そなたは何者でござるか?」

「僕は魚人族のアジだギョ」

「魚人族?」

「しらねえのも無理ないギョ。この国は異種族自体が少ないギョ」

「そうですか」


 魚人族か。そう言えばこの世界には異種族が存在する。

 動物の耳と尻尾が付いた、獣人族。

 魔法にたけ。森と生きる耳の長い、森人族エルフ

 今のところ俺はこの二種族しか聞いたことがない。

 魚人族なんてのも居るのか。


「Eランク試験を受けに来たギョ?」

「そうだ」

「そうか。Eランク試験は簡単だ。――あの人形に攻撃を当ててくれ。合格かは俺が判断する」

「「「はい」」」


「まずはせっしゃから行くでござる」


 桜が一番手を宣言し、人形の前に行く。


「あれは、強度が高いウルガメの素材を使ってるギョ。滅多に壊れないから、全力をぶつけるギョ」

「分かったでござる。――夜桜、行くでござるよ。せっしゃが編み出した技。――秘技“桜の舞”」


 すると、まるで桜が舞うように斬激が桜の周りを舞。一斉に人形を切りつけた。


「すげ―攻撃ギョ。人形を傷つけるとは中々やるギョ。Eランク昇格ギョ」

「やったでござる」


 なるほど。桜の舞か。綺麗な技だった。


「次はボクだ」

「行くギョ。お前格好からしてシーフギョ?」

「そうです」

「そうかギョ。シーフなら、スピードと隠密せいを重視するギョ」

「わかりました。行きます」


 次の瞬間エルが消えて。数秒後、人形が数回切りつけられた。


「中々ギョ。消えたのはユニークスキルギョ? 気配の消し方。攻撃速度共に合格。Eランク昇格ギョ」

「やったー!」

「最後にお前ギョ。人形の前に来るギョ」

「わかった」


 人形の前にスタンバイして、爆虫の図鑑を出す。


「やるギョ」

「サモン『爆虫(ロケット型)』×4」


 五年前までは、2匹しか召喚できなかったが、今は最大6匹召喚できる。魔力量は数値化して300だ。


「人形を狙え。――発射」


 4匹の爆虫は一斉に人形に向かって飛んで行き、爆発した。ロケット型4匹の爆撃は人形を破壊し、地面にクレーターを作りだした。


「あー! 地面に穴が空いたギョ。修理費を給料から引かれるギョー」

「……何かすんません」

「同情するなら金をくれギョ!」


 アジの悲鳴を聞き。俺達は逃げるように、試験室からでて登録受け付けに走るのだった。




「はい、みなさんEランク昇格です」


 カードのランクと書かれた覧にEと大きくでている。


「ランクアップは済みましたので、引き続き説明をいたします。Eランクの場合一ヶ月に最低10回は依頼を受けて貰う事になっています。もし、10回のノルマが達成出来ない場合、やむを得ない事情が無いかぎり除名処分になりますのでご注意ください」

「わかりました」

「最後に。冒険者同士の争いにはギルドはいっさいの責任を負いません。説明は以上です。その他詳しい説明は、そちらの掲示板にも出ていますので、後でご確認ください」

「そうですか、ありがとうございました」


 説明を聞いた後、俺達は冒険者ギルドを出た。




「登録が終わったので、次は宿の確保でござるね」

「なに当たり前の様に一緒に行動している」

「な! 主殿。せっしゃを捨てるのでござるか」

「捨てるも何もここにくるまでだろ」


 俺達はギルドの外れで、これからの行動を話し合っていた。


「バべル君。桜ちゃんも馴染んできたし、良いんじゃない?」

「そうでござる。せっしゃとぱーてぃを組むでござる」

「うむむむむ」

「お願い!」

「荷物持ちでも、おとりでも何でもやるでござる」

「……はあ、分かった」


 ここまで頼まれたら断れないだろ。


「やったでござる」

「よかったね」

「宿の確保をするぞ」

「「おー」」


 宿を探すため、大通りを歩く事にした。



 ◇



「むりだな」

「だね」

「そうでござるね」


 大通りの宿屋を見てみたが、兎に角高い。一泊金貨一枚とか貴族しか泊まらないだろ。一番安くて一泊銀貨五〇枚。俺達の持ち金、銀貨三枚と銅貨一枚。うん、泊まれない。


「兎に角安い宿を探そう」

「うん、そうだね」


「すみません」

「ん? なんだ」


 道の外れで暇そうにしている、大工のおっちゃんみたいな人に宿の事を聞く。


「兎に角、安い宿は在りますか」

「安い宿? そうだなー。あ、大通りから外れて路地に入った所に在る“小豚亭”という所が兎に角安いぞ」

「そうですか、ありがとうございます」

「いいって事よ。そうだ、あの宿は安さが売りでな。防犯設備は整っていないから気をつけろよ」


 おっちゃんはそう言って、戻って行った。


「小豚亭でござるか。行ってみるでござる」

「おお」




 小豚亭を初めて見て感想は、吹けば飛びそうな宿、だった。ツギハギの、二階建て、路地裏にひっそりと佇むボロ屋敷。そんな感想しか思い浮かばない。


「……入ってみるか」

「はあ。でござる」


「ごめんくださーい」

「はい、なんでしょう」


 奥から出てきたのは、お爺さんだった。


「宿泊したいのですが」

「ああ、お客さんですか。ようこそ、小豚亭へ。宿泊は、一人部屋が、一泊銀貨一枚。三人部屋が一泊銀貨一枚と大銅貨一枚です。食事は一人大銅貨一枚となっております」


 相談しようと、後ろを振り向くと、土下座をした桜が居た。


「何してるんだ」

「は! 何か癖になってしまい、主殿が振り向くと土下座をしてしまうのでござる」

「お前に、侍としての誇りは無いのか!」

「そんな物、海に落としてきたでござるよ」


 侍が誇りを落として良いのかよ。


「はー。金ないし三人部屋で良いよな」

「いいでござるよ」

「それしかないよね」

「じゃあ、お爺さん。三人部屋で――」


 お爺さんに銀貨一枚と大銅貨一枚を渡す。


「確かに。食事はどうされますか?」

「ああ、外で食べてくるよ」

「そうですか、では、二階の107号室でございます」

「ああ」


 そんなに部屋あるのかな。




 お爺さんに渡された鍵を使い、部屋に入る。

 そこは、ベッドが三つだけある簡素な部屋だった。


「ふむ、しんぷるでござるな」

「そうだな」

「で、これからどうするの?」

「……依頼を受けるのは、明日からだな。夜ご飯までには時間があるし、夜の鐘が鳴るまで自由時間だ。俺の計算だと夜ご飯は全員で銀貨一枚も掛からないと考えている」

「え! 桜ちゃんは三人分は食べるよ」

「そうでござるよ」

「大丈夫だ、問題ない。秘策はある」

「ここまで言い切れるとは、秘策があるんだね」


 そう、俺には桜を食べさせる秘策がある。まあ、夜まで内緒だ。


「俺の手元には夜ご飯分を除いて、銅貨五一枚がある。これをお爺さんに崩してもらって、一人銅貨十枚渡そう。これをどう使うかは自分で決めろ。では解散」

「「おー」」


「そうだ、荷物はちゃんともってけよ」

「「はーい」」


 お爺さんは、親切に両替してくれた。一応ギルドでも両替サービスはやっているらしい。あまり高い金額だと手数料を取られるが。

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